防火対象物点検が必要な建物について【用途と収容人数】

防火対象物点検が必要な建物について【用途と収容人数】

屋内消火栓イメージ

消防関連の法定点検は主に2つあります。一つは消防設備点検、もう一つは防火対象物点検です。消防設備点検は施設内の消防設備が確実に作動するかの点検で、防火対象物点検は防火管理体系の維持管理、火災予防における消防設備以外の点検です。

この防火対象物点検は全ての建物が該当するわけではなく、比較的火災の被害が大きくなることが想定される物に点検義務が課せられています。例えば、収容人員が300人を超えるような建物は必須になります。また、避難困難者施設や、避難階以外に不特定多数が使用できるような用途が入居しているものも点検が必要になる場合があります。

この防火対象物点検は年1回点検をし、管轄の消防署へ点検結果報告書を届出ることになっています。点検は防火対象物点検資格を持っている資格者が行います。

防火対象物点検が必要な建物 ①と②の条件で決まる

統括防火管理者が必要な場合は、次の①の用途が②の防火対象物に入居している場合に必要になります。まずは入居する又は、運営する用途を確認し、どのような防火対象物に入居しているのかを確認することで点検の有無が確定します。

大抵は、不動産仲介会社さんや、ビル管理会社さんに確認してみるのも良いかと思います。

①入居する用途 

1項イ 劇場・映画館・演舞場
1項ロ 公会堂・集会場
2項イ キャバレー・カフェー・ナイトクラブ
2項ロ 遊技場・ダンスホール
2項ハ 風俗営業店舗
2項ニ カラオケボックス・個室ビデオボックス
3項イ 料理店・待合
3項ロ 飲食店
4項 物品販売店舗
5項イ ホテル・旅館
6項ロ 老人短期施設・老人ホーム(避難困難者施設)
乳児院・障害児入所施設
6項ハ 老人デイサービス・軽費老人ホーム(6項ロ以外)
更生施設・助産所・身体障害者福祉施設
6項ニ 幼稚園・特別支援学校
9項イ 蒸気浴場・熱気浴場
16項イ 上記の用途が複数入居していいるもの(特定用途複合)
16の2・16の3 地下街

これらの用途は『特定用途』と呼ばれ、不特定多数の方々が利用できる、火災の被害が大きくなることが予想されているものです。

用途の分類については消防法施行令別表第一により定められています。別記事に記載していますのでご参考いただけたら嬉しいです。
消防法施行令別表第1の覚え方・語呂合わせ歌【特定用途と非特定用途】

②建物と入居する条件

条件 建物全体収容人員
①の全用途(特定用途)に該当する建物 300人以上

【1】次の(1)又は(2)に該当するもので特定用途が
  避難階以外に入居するもの

1、①の6項ロに該当するもの

 2、①の16項イに該当するもので
  ①の6項ロが入居するもの

及び

【2】特定用途が地下または3階以上に
【6項ロ:避難困難者施設】が入居するもの

避難階以外の階から避難階又は地上に
 直通する屋内階段が1しかないもの

(特定一階段等防火対象物)

10人以上

特定用途が地下または3階以上に入居するもの

避難階以外の階から避難階又は地上に
 直通する屋内階段が1しかないもの
(特定一階段等防火対象物)

30人以上

ここで言う避難階以外の階とは1階と2階を除いた階のことを言います。建物によっては山裾に立っているものがあります。そのような物件は1階の他に山側に入り口があるような建物があるため、山側の出入口も避難口として取り扱わることになります。

特定用途は300人以上、6項関係は10人以上、6項を除く特定用途が避難階以外に入居するもの及び、避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が1しかないものは30人以上ということになります。

少しややこしいですがこのような基準になっております。

防火対象物点検では何を見ていくのか?

避難口

防火対象物点検では、防火管理状況、日々の火災予防状況、災害が起こった場合にどのように行動するのか?使用している火気設備の運用状況はどうか??などの項目を検査していきます。

防火対象物点検が必要な防火対象物には、火災害予防についての計画書である『消防計画書』を作成することになっています。この消防計画書を基に実際の火災予防状況を照らし合わせ災害による被害を最小限に抑える目的を持っています。

参考記事:防火対象物点検でチェックする項目

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