火災通報装置と自火報連動の有無について【民泊等宿泊施設の合計が500㎡以上のときは要注意】

火災通報装置と自火報連動の有無について【民泊等宿泊施設の合計が500㎡以上のときは要注意】

外国人旅行者によるインバウンド需要に伴い民泊開業の盛り上がりが見られます。弊社に案件のほとんどが500㎡未満のため火災通報装置の設置が義務になる防火対象物ケースが少なく、無線式の特定小規模施設用感知器で済場合と、場合によってはビル全体に自動火災報知設備を設置するようなこともあります。

この記事のタイトルに書きました「民泊施設を設置する上での注意点」があります。それは建物の民泊施設を設置する場合で宿泊施設の専有面積が500㎡以上となった場合は消防機関に通報する火災通報装置(火通)が義務になる場合があります。今回は火通が義務になるばあいについて書いていきます。

消防機関に通報する火災通報装置とは

消防機関に通報する火災通報装置とは自動的に消防署へ119通報ができる消防設備です。本来であれば119通報をした際に「どこの建物で火災がおこった」などの情報を口頭により指令センターへ情報提供することになります。

火災の被害が著しく大きくなることが想定される施設には、火災通報装置を使用することであらかじめ機械に録音しておいた音声情報を指令センターに伝達することが求められます。

火災通報装置は電話回線とつながっており装置のボタンを1回押せば自動的に建物情報を伝達することができます。

火災通報装置は自火報連動型と単独型がある【民泊は単独型でOK】

火災通報装置は自動火災報知設備が作動したときに連動しそのまま消防119通報する場合と、連動はさせず通報装置の起動ボタンを手動により通報する2パターンがあります。この2つの方法は建物の用途によってどちらを選択するかが決められています。

まず自火報との連動が必要な用途は「避難介助が必要な病院(6項イ-1)」「避難介助が必要な診療所(6項イ-2)」「老人短期入所施設(6項ロ)」「複合用途(16項イ)・地下街(16項の2)・準地下街(16項の3)内に入居する避難介助が必要な病院、診療所、老人短期入所施設」です。

この用途で使用する場合は自動火災報知設備の作動とともに119通報をオートマチックで行うことが求められます。この基準には例外規定があり、防災センターなどの常時人がいる場合は連動をしなくてもよい場合があります。

これら以外の用途で火災通報装置を使用する場合は自火報連動は必要ないことになります。民泊や旅館業による宿泊施設も自火報連動は求められていません。

 令別表第一(六)項イ(1)及び(2)並びにロ、(十六)項イ、(十六の二)項並びに(十六の三)項に掲げる防火対象物(同表(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物にあつては、同表(六)項イ(1)若しくは(2)又はロに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。次項において同じ。)に設ける火災通報装置にあつては、自動火災報知設備の感知器の作動と連動して起動すること。ただし、自動火災報知設備の受信機及び火災通報装置が防災センター(常時人がいるものに限る。)に設置されるものにあつては、この限りでない。

消防法施行規則第25条3項5号

火災通報装置が必要になる用途【宿泊用途は500㎡以上で義務】

火災通報装置が必要になる用途は別の記事に書いているのでご参照ください。
民泊、旅館業、ホテルなどは消防法令ではすべて「5項イ」となり、ホテル用途で使用する面積が500㎡以上になるときに設置が義務になります。

消防機関からの距離で装置の設置を免除できる場合がある

火災通報装置が面積基準により必要になった場合は用途に応じで装置の設置が必要となります。一方で面積基準により設置が義務になった場合でも火災通報装置の設置が必要でない場合について法令条文に記載されています。

設置義務の例外は3つあります。
1つめは「消防機関から遠い場所」で、2つ目は「消防機関に常時通話することができる電話を設置した場合」最後に3つ目「消防機関から近い場所(総務省令で定めた場所)」です。

消防機関から著しく遠い場合や、500m以下の近い場合は理解しやすいかと思います。消防機関に常時通話することができる電話を設置した場合とは、一昔前は固定電話が主流でした。現在は設置も何も、携帯電話により119通報ができるため、火災通報装置の設置基準が実質的に緩和されたと言えます。

これらの3パターンに当てはまる場合は火災通報装置設置義務の例外となります。

消防機関へ通報する火災報知設備は、次に掲げる防火対象物に設置するものとする。ただし、消防機関から著しく離れた場所その他総務省令で定める場所にある防火対象物にあつては、この限りでない。

消防法施行令第23条

 第一項各号に掲げる防火対象物(同項第一号に掲げる防火対象物で別表第一(六)項イ(1)から(3)まで及びロに掲げるもの並びに第一項第二号に掲げる防火対象物で同表(五)項イ並びに(六)項イ(4)及びハに掲げるものを除く。)に消防機関へ常時通報することができる電話を設置したときは、第一項の規定にかかわらず、同項の火災報知設備を設置しないことができる。

消防法施行令第23条3項

総務省令で定める場所とは下の条文の赤い部分です。

 令別表第一(六)項イ(1)及び(2)、(十六)項イ、(十六の二)項並びに(十六の三)項に掲げる防火対象物(同表(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物にあつては、同表(六)項イ(1)又は(2)に掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。) 消防機関が存する建築物内

 前号に掲げる防火対象物以外の防火対象物 消防機関からの歩行距離が五百メートル以下である場所

消防法施行規則第25条2項1号・2号

免除できる場合
  • 消防機関から著しく離れた場所にある建物

  • 消防機関へ常時通報できる電話を設置した場合

    1.「避難介助が必要な病院(6項イ-1)」
    2.「避難介助が必要な診療所(6項イ-2)」
    3.「上2つを除く病院/診療所・有床助産所(6項イ-3)」
    4.「老人短期入所施設(6項ロ)」
    5.「ホテル・旅館で500㎡以上(5項イ)」
    6.「無床診療所/無床安産所で500㎡以上(6項イ-4)」
    7.「老人デイサービスで500㎡以上(6項ハ)」
    上記以外の場合は免除できる

  • 消防機関からの距離が500m以下の場所の場合

    1.「避難介助が必要な病院(6項イ-1)」
    2.「避難介助が必要な診療所(6項イ-2)」
    3.「複合用途(16項イ)・地下街(16項の2)・準地下街(16項の3)に入居する避難介助が必要な病院、診療所」
    上記以外の場合は免除できる

まとめ

以上のことから民泊、旅館業施設、ホテル用途(5項イ)の用途で使用する面積が500㎡以上ある場合で「消防機関の距離から著しく離れた場所」と「歩行距離が500m以下の場所」では消防機関に通報する自動通知装置いわゆる火通の設置を免れるということになります。

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