放火、消火妨害、失火による刑罰について【刑法に記載されている条文について】

放火、消火妨害、失火による刑罰について【刑法に記載されている条文について】

放火、消火妨害、失火に関する刑罰は刑法条文に記されている

令和5年総務省消防庁のデータによると、日本における火災の出火原因として、最も多いのは「たばこ」で、総出火件数36,314件中3,209件(8.8%)となっています。

次いで多いのが「たき火」で、3,105件(8.6%)です。その他の主な原因には、「こんろ」2,771件(7.6%)、放火2,242件(6.2%)、電気機器1,960件(5.4%)があります。

特に注目すべきは、「放火」及び「放火の疑い」の合計が3,710件(10.2%)に上り、これが多い都道府県として東京都597件(15.0%)、神奈川県319件(16.8%)、埼玉県275件(16.2%)、大阪府251件(13.6%)、愛知県230件(12.3%)となっています。

火災の種別別で見ると、建物火災20,167件の主な原因は「こんろ」2,713件(13.5%)、「たばこ」1,844件(9.1%)、電気機器1,499件(7.4%)となっています。林野火災1,239件では、「たき火」452件(36.5%)、「火入れ」241件(19.5%)が主要原因です。車両火災3,409件では、「排気管」595件(17.5%)、交通機関内配線344件(10.1%)が多く、船舶火災78件では「溶接機・切断機」及び「交通機関内配線」が各8件(10.3%)となっています。航空機火災は2件と少なく、原因は「不明・調査中」です。その他火災11,419件では、「たき火」2,208件(19.3%)、「火入れ」1,454件(12.7%)が多い原因となっています。

総務省消防庁:令和5年火災の状況確定値について

刑法第108条〜第118条の概要

刑法における放火、消火の妨害、失火および関連行為の条文は、犯罪の種類とけ重大性に応じて、厳格な刑罰を定めています。

人の生命や財産に直接的な危険を及ぼす放火行為(刑法第108条)は、最も重い刑罰(死刑、無期または5年以上の懲役)が科される一方で、使用されていない建造物などへの放火(刑法第109条)は、比較的軽い刑罰(2年以上の有期懲役)が定められています。

また、消火活動の妨害や失火についても罰則が定められています。

刑法条文 対象となる行為 刑罰の内容 備考
第108条 住居に使用中の建造物、人がいる建造物、車両、船舶、鉱坑などへの放火 死刑、無期または5年以上の懲役 人の生命に直接危険を及ぼす放火行為に対する重い刑罰
第109条 使用されていない建造物、船舶、鉱坑などへの放火 2年以上の有期懲役 自己の所有物に限り、公共の危険がなければ罰せられない
第110条 前二条に規定されない物への放火 1年以上10年以下の懲役 自己の所有物であっても罰せられる
第111条 自己の物に放火し、他の建造物等に延焼させた場合 3月以上10年以下の懲役
第112条 第108条および第109条の罪の未遂 法律による罰
第113条 第108条または第109条の罪を犯す目的で行われた予備行為 2年以下の懲役
第114条 火災時に消火活動を妨害する行為 1年以上10年以下の懲役
第115条 差押え、物権負担、賃貸、配偶者居住権、保険付の物に放火 他人の物を焼損した場合と同様
第116条 失火による焼損 50万円以下の罰金
第117条 激発物による損壊 放火罪に準ずる、または過失による場合は失火の例による
第117条の2 業務上の過失による失火や激発物破裂 3年以下の禁錮または150万円以下の罰金

刑法条文

第九章 放火及び失火の罪

(現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(非現住建造物等放火)
第百九条 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。

 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

(建造物等以外放火)
第百十条 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

 前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(延焼)
第百十一条 第百九条第二項又は前条第二項の罪を犯し、よって第百八条又は第百九条第一項に規定する物に延焼させたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。

 前条第二項の罪を犯し、よって同条第一項に規定する物に延焼させたときは、三年以下の懲役に処する。

(未遂罪)
第百十二条 第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。

(予備)
第百十三条 第百八条又は第百九条第一項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。

(消火妨害)
第百十四条 火災の際に、消火用の物を隠匿し、若しくは損壊し、又はその他の方法により、消火を妨害した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

(差押え等に係る自己の物に関する特例)
第百十五条 第百九条第一項及び第百十条第一項に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。

(失火)
第百十六条 失火により、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を焼損した者は、五十万円以下の罰金に処する。

 失火により、第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

(激発物破裂)
第百十七条 火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。

 前項の行為が過失によるときは、失火の例による。

(業務上失火等)
第百十七条の二 第百十六条又は前条第一項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、三年以下の禁錮又は百五十万円以下の罰金に処する。

(ガス漏出等及び同致死傷)
第百十八条 ガス、電気又は蒸気を漏出させ、流出させ、又は遮断し、よって人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 ガス、電気又は蒸気を漏出させ、流出させ、又は遮断し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

e-GOV:刑法第9章

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