消防設備には『火災通報装置』という消防署へ自動的に通報可能なシステムがあります。今回は通称『火通・かつう』について書いていきます。
消防設備点検をしているときお客様より火災報知機は消防署とつながっていますか?と聞かれることがあります。みなさま誤作動があった場合に消防車が来てしまうことを心配しているようです。実際のところ火災報知機が作動しても消防署とはつながっていない場合がおおく自動的に消防署が来るわけではありません。なぜつながっていない場合が多いのかはこれから書いていきます。
火災通報装置とは
『火災通用装置』は消防署へ自動的に通報することができる装置です。この装置は自動火災報知設備が作動した場合や火災通報装置本体に設置された『火災通報ボタン』を押したときに、電話回線を使い119番に通報。予め機械に録音していある音声データで住所物件名を消防署へ伝えることができる装置です。火災時にパニックにならず機械により確実に消防署へ情報を伝達することができます。
火災通報装置が必要になる場合
火災通報装置にはある一定の条件によって設置が義務になります。例えば入院が可能な病院や助産所、老人短期入所施設はすべて義務になります。その他の施設は延床面積の大きさで設置義務になります。詳細は下記のリンクへ記載。
消防機関へ通報する火災報知設備の設置基準
- 有床の病院、診療所 (全部)
- 老人短期入所施設 (全部)
- 地下街/準地下街 (全部)
- その他の用途 (基準面積以上で必要になる)
上記の条件と消防署による指導によって設置するケースもあることでしょう。
火災通報装置が設置されていない場合
前に書いた病院、老人施設、地下街などはすべての施設に設置されます。その他の用途では基準面積で設置することになっていますが、実際のところ基準面積以上あるのに火災通報装置が設置されない場合が多いのです。それはなぜなのでしょうか。
消防法施行令第二十三条
消防法施行令
消防機関へ通報する火災報知設備は、次に掲げる防火対象物に設置するものとする。ただし、消防機関から著しく離れた場所その他総務省令で定める場所にある防火対象物にあつては、この限りでない。
一 別表第一(六)項イ(1)から(3)まで及びロ、(十六の二)項並びに(十六の三)項に掲げる防火対象物
二 別表第一(一)項、(二)項、(四)項、(五)項イ、(六)項イ(4)、ハ及びニ、(十二)項並びに(十七)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が五百平方メートル以上のもの
三 別表第一(三)項、(五)項ロ、(七)項から(十一)項まで及び(十三)項から(十五)項までに掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
2 前項の火災報知設備は、当該火災報知設備の種別に応じ総務省令で 定めるところにより、設置するものとする。
3 第一項各号に掲げる防火対象物(同項第一号に掲げる防火対象物で 別表第一(六)項イ(1)から(3)まで及びロに掲げるもの並びに 第一項第二号に掲げる防火対象物で同表(五)項イ並びに(六)項イ (4)及びハに掲げるものを除く。)に消防機関へ常時通報することができる電話を設置したときは、第一項の規定にかかわらず、同項の 火災報知設備を設置しないことができる。
令第23条はうんと消防署から遠いか『消防機関へ通報することができる電話を設置したとき』は火災通報装置を設置しなくて良いですと言っております。また、
消防法施行規則第二十五条
消防法施行規則
令第二十三条第一項ただし書の総務省令で定める場所は、次に掲げる防火対象物の区分に応じ、当該各号に定める場所とする。
一 令別表第一(六)項イ(1)及び(2)、(十六)項イ、(十六の二)項並びに(十六の三)項に掲げる防火対象物(同表(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物にあつては、同表(六)項イ(1)又は(2)に掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。) 消防機関が存する建築物内
二 前号に掲げる防火対象物以外の防火対象物 消防機関からの歩行距離が五百メートル以下である場所
消防機関からの歩行距離が500メートル以下である場所とあります。なので都市部の場合は『通報できる電話』か『消防機関から500m』の条件に該当する場合が多く火災通報装置を設置している物件が少ないのです。
さいごに
火災通報装置は事前にROMに音声を登録する必要があります。この音声内容は消防署と協議して決めていくことになります。もしも独自の判断で決めてしまい消防審査が通らななったら、再録音をすることになり、再録音料金と日数がかかってしまいますのでご注意くださいませ。
ただいま火通施工中
デモ機を使用した試験についての記事も書いてみましたのでご参照いただけたら幸いでございます。
参考記事:火災通報装置の練習・模擬試験をやってみた