スプリンクラーヘッドを増設してみた【新規区画に配管とSPヘッドの取り付け工事】

スプリンクラーヘッドを増設してみた【新規区画に配管とSPヘッドの取り付け工事】

未使用区画にスプリンクラーを設置してきた

東京都にある某建物の未使用区画にプリンクラー、自火報、非常放送、誘導灯をしてきました。消防設備工事一式を行ったのですが今回のメイン工事はスプリンクラー設備です。

今までは将来的に使う区画のため、区画内には何もなくかつ、外部から入れないようにしていたため設備の設置を免れていました。今回新たにこの区画を使用することになったので各種消防設備を設置することになりました。

スプリンクラーの設計と作動原理

スプリンクラーの設計概要

スプリンクラーを設置するには大まかに「スプリンクラーヘッド」と「配管」が必要になりす。ヘッドと配管を取り付けるための決まりがあります。

まず、スプリンクラーヘッドには警戒できる半径(r)が決まっています。製品によって半径「2.3m」「2.6m」「2.8m」などがあります。

今回は元々設置されている設備の配管を延長してヘッドを取り付けるため、既存のスプリンクラーヘッドと同様の半径(r)のヘッドを使用します。既存のrが2.6mであったので今回工事する区画をr2.6mで設計します。

次に配管です。配管は「SGP配管用炭素鋼鋼管」を使用します。この配管は太さがいくつかあり、プリンクラーヘッドの取り付け個数によって太さが変わります。50Aの配管はスプリンクラーヘッドが10個まで、25Aの配管はヘッドが2個まで取付可能です。簡単な表を記します。

配管とスプリンクラーヘッド数の関係(流量80L/分のヘッド)
80A 65A 50A 40A 32A 25A
21個以上 20個以下 10個以下 5個以下 3個以下 2個以下

配管の根元が太く先端に行くに連れて細くなっていきます。80Aの配管は何個でもSPヘッドを取ることができるので80Aから新たに分岐させることができればSPヘッドの個数を気にすることなく設計ができます。

スプリンクラーヘッドの作動原理

スプリンクラーヘッドには閉鎖型と開放型があります。閉鎖型はスプリンクラヘッドが熱を感知するとヘッド内部の温度ヒューズが溶けバルブが開放し放水を開始する原理です。

一方で閉鎖型はスプリンクラーヘッドに温度ヒューズを持たない機構になっており水を通せばそのまま放水ができるものです。一般的には閉鎖型のヘッドが使用されます。

今回は閉鎖型の閉鎖型のヘッドを使用した施工となります。詳細につきましては別の記事に記載していますのでご参照お願いいたします。

閉鎖型スプリンクラーヘッドの作動と原理【実験してみた】

配管から分岐させるためのマル秘ツール

今回使用したマジックジョイント

今回のような配管の増設工事でヘッドを多数私用するときは、80Aの配管から新規に引いてくるのが手っ取り早いです。その時に使用するパーツが「マジックジョイント」や「トップアウトレット」という部品です。

この2つには決定的な違いがあります。マジックジョイントは既存のスプリンクラー配管に取り付けたまま配管を延長し設置することができます。スプリンクラーの工事では既存配管内の水を抜き取ることが必要になりますが、マジックジョイントを使用すれば水を抜くことなくそのまま施工を開始できます。

分岐し新たに設置した配管工事が完了し、スプリンクラーヘッドを取り付けた後マジックジョイントの一部分をハンマーで叩けば内蔵されている火薬が弾け既存のメイン配管を削り取ります。

削り取られた既存配管から新規に設置した配管に水が流れ込み工事が完了となります。といった流れで既存の配管の水を抜くことなくそのまま新規に配管工事ができる素晴らしいアイテムなのです。

一方、トップアウトレットでは既存の配管内部の水を一旦空にします。水が抜けた既存配管にホルソーで穴を空け、取り付けたトップアウトレットから配管を延長していきます。配管工事が完了しスプリンクラーヘッドを取り付けた後配管内部への水張り作業を行うことで工事が完了となります。

マジックジョイントは非常に便利な分それなりの費用がかかります。一方トップアウトレットは非常に求めやすい価格になっています。作業のボリュームを考慮し、作業量が多ければマジックジョイント、そうでない場合はトップアウトレットと使い分けるとパフォーマンスの良い仕事になるかと思います。

マジックジョイントもトップアウトレットも我々にとってはなくてはならない素晴らしい製品です。

配管の設置

今回は既存の80A配管からマジックジョイントを使用し新規区画に配管を設置していきます。前述したとおり配管はスプリンクラーヘッドの個数によって太さが決まるため、太い配管から細い配管へ絞りながら施工していきます

今回は9発のヘッドをとりつけるため既存配管から80A→50A→40A→30A→25Aという感じで絞ってきます。将来的に区画内で増設工事を行うことを想定し、予算の範囲内である程度太めの配管で施工していきます。

配管が太ければその分だけ材料費が掛かってしまうので程よいバランスをみて最適に設計施工をいたします。

ヘッドの取り付けと仕上げ作業

配管作業が完了しましたら管末にスプリンクラーヘッドを取り付けていきます。ヘッドを取り付ける前に「警戒半径」と「作動温度」を確認する必要があります。

スプリンクラーヘッドの包含距離

まず警戒半径はスプリンクラーヘッドが包含できる距離です。場所によりこの半径は2.3m、2.6m、2.8mと異なります。増設の場合は既存設置のヘッド半径に合わせます。今回は半径2.6mの警戒で設計しています。

ヘッドから円を書いて区画の部屋の角まで警戒する必要があるため、実際に設計施工してみると2.3mと2.6mでは設置するヘッド個数がかなり変わってきます。最近は2.8mのヘッドが出ているので、距離の大きいヘッドが使用できれば設置するヘッド数が減りかつ配管から取り出せる個数も増えることになります。

ヘッドの設定温度

次に設置するヘッドの設定温度です。通常72℃で作動するタイプを設置します。ヘッドの作動温度設定はいくつかあり、厨房など比較的温度が高くなる場所では98℃、更に高音になるサウナ施設では139℃を使用することがあります。※サウナでは開放型ヘッドを使用する場合があります。管轄の消防署と打ち合わせにより確定します。

スプリンクラーヘッド設置の注意点

スプリンクラ-ヘッドヘッド取り付け

スプリンクラーヘッドは天井面から30cm以内に取り付けます。また、スプリンクラヘッドから横方向「30cm」、下方向「45cm」には何もない状態でなければなりません。このことに留意する必要があります。

その他法令の基準は下記をご参考ください。

 第一項及び第二項に規定するスプリンクラーヘッドの設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。
 閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドは、次に定めるところによること。
 スプリンクラーヘッドは、当該ヘッドの取付け面から〇・四メートル以上突き出したはり等によつて区画された部分ごとに設けること。ただし、当該はり等の相互間の中心距離が一・八メートル以下である場合にあつては、この限りでない。
 給排気用ダクト、棚等(以下「ダクト等」という。)でその幅又は奥行が一・二メートルを超えるものがある場合には、当該ダクト等の下面にもスプリンクラーヘッドを設けること。
 スプリンクラーヘッドのデフレクターと当該ヘッドの取付け面との距離は、〇・三メートル以下であること。
 スプリンクラーヘッドは、当該ヘッドの軸心が当該ヘッドの取付け面に対して直角となるように設けること。
 スプリンクラーヘッドのデフレクターから下方〇・四五メートル(易燃性の可燃物を収納する部分に設けられるスプリンクラーヘッドにあつては、〇・九メートル)以内で、かつ、水平方向〇・三メートル以内には、何も設けられ、又は置かれていないこと。
 開口部に設けるスプリンクラーヘッドは、当該開口部の上枠より〇・一五メートル以内の高さの壁面に設けること。
 乾式又は予作動式の流水検知装置の二次側に設けるスプリンクラーヘッドは、デフレクターがスプリンクラーヘッドの取付け部より上方になるように取り付けて使用するスプリンクラーヘッドとすること。ただし、凍結するおそれのない場所に設ける場合は、この限りでない。

e-gov:消防法施行規則第13条の2の4

作業が完了したら配管に水を張り漏れチェック

スプリンクラーポンプを起動させ配管に水を流し込みます。一気に加圧するとバルブや配管に影響がを及ぼすことがあるので徐々にバルブを開放しゆっくりと作業を行います。同時に末端試験弁(スプリンクラー配管の末端にある弁)を開閉し配管内部に溜まった空気を抜きとります。エアが抜け規定水圧がかかった状態になったらポンプを停止させ配管に漏れが無いかチェックしていきます。

今回接続したマジックジョイント接合部、配管接続部、スプリンクラーヘッド取付部に水がに滲み出ているか留年にチェックしていきます。配管の接続が緩かったり、接続部のネギ切りが甘い、シールテープやヘルメシールが適正な状態で使用されていない場合に水漏れが起こります。

施工場所で水漏れが確認できなかった場合はある程度時間が経過した後圧力ゲージにて圧力降下がないことを確認します。この作業は工事したスプリンクラー配管の始まり「アラーム弁」にて確認します。

作業場所で漏れは確認できないけれどどこかしらで漏れがある場合はアラーム弁の圧力ゲージが下がっていきます。もしアラーム弁2次側のゲージが下がっている場合は今回工事した配管系統で圧力が下がっていることがわかります。一方で1次側のゲージが下がっていて2次側のゲージが下がっていない場合は今回工事した場所には漏れがなく、その他の場所で水漏れが起こっていることがわかります。

アラーム弁以外にも、スプリンクラーポンプに設置されている起動用圧力タンクのゲージも確認しておきます。こちらのゲージに降下が見られる場合はスプリンクラーポンプが自動的に起動するので圧力ゲージに以上がないことが確認できたらすべての作業が完了となります。

建物の設備が古くなるとバルブやパッキンに劣化が起こり工事以外の場所に不具合が出るようなことがあります。日頃から設備をメンテナンスすることでこのようなトラブルを回避することができます。

スプリンクラーの原理について別記事にて記載していますのご参照ください。

工事前/工事後

Blogカテゴリの最新記事