スプリンクラー設備(湿式)の作動と復旧方法【自衛消防技術試験対策】

スプリンクラー設備(湿式)の作動と復旧方法【自衛消防技術試験対策】

もしも現場でスプリンクラーから水が出てしまったらどのように対処すればよろしいでしょうか。スプリンクラーヘッドは熱(一般的には72℃)を受け、または、よからぬ衝撃が加わって水が漏れてポンプが起動するということも起こったりします。

スプリンクラーが作動する理屈を知るためにはまず設備の系統図を理解する必要があります。

スプリンクラーの系統図と作動する理屈

スプリンクラー系統
スプリンクラー系統図と作動する原因
スプリンクラーが作動する原理
スプリンクラーは水の特性を利用した非常にシンプルな原理によって構成されています。スプリンクラー(一般的なスプリンクラーは湿式なので、ここでのスプリンクラーは湿式とします)はあらかじめ配管内部に1メガパスカル(10kgf)程度の圧力を加えた水を張って火災を警戒しています。

この圧力がスプリンクラー設備の核で、配管内部の圧力が下がると②に設置されている圧力スイッチが起動し、スプリンクラーポンプに起動を命じます。ポンプが起動すると配管全域にポンプから加圧水を送り込みます。

圧力が下がる原因はいろいろと考えられますがざっくりと

  • スプリンクラーヘッドが熱により開放した
  • スプリンクラーヘッドにモノをぶつけて漏水した
  • 配管から圧力漏れが起こった
  • チャッキバルブから圧力が外部に漏れている

これらの原因により圧力が下がった場合は、当該箇所から勢いよく水が放出されることになります。しかし、もしも消火活動としての放水ではないときは直ちに復旧作業をしないと大きな水損被害につながってしまします。そのような場合はどのようにたいしょすればよいでしょうか?

復旧作業の手順

スプリンクラーヘッドから水が放水されていると仮定してこの水を止めるために何をすればよいでしょうか。

スプリンクラーは各階又は各エリアごとに必ずアラーム弁というバルブが設置されています。このアラーム弁は、ポンプからのメイン管と各エリアに分岐させる管のクロスポイントとしての役割があります。

つまり、放水箇所の水を止めるにはアラーム弁のメインバルブを閉める支流へ流れる水路を断ち切ってやれば放水を止めることができます。メインバルブを閉めても残水がたくさん残っているので水抜きバルブを開放することで早めに放水がおさまることでしょう。

アラーム弁を閉めきったらポンプを停止

アラーム弁のメインバルブを締めたら次に消火ポンプを停止させます。なぜポンプを先に停止しないのかを質問されることがあります。その理由は次の通りです。

先に消火ポンプを停止できない理由
火災警戒時スプリンクラー設備の配管内部には10メガパスカル程度の加圧水が充満しています。スプリンクラーヘッドが開放し、ヘッドから圧力が抜けていくと同時に配管内部の圧力も低下します。

10メガパスカルが徐々に低下し、あらかじめ設定された起動圧力まで下がったときにスイッチが入り起動する仕組みになっています。

スプリンクラーヘッドが開放している状態でポンプ停止ボタンを押しても、あらかじめ設定されているポンプ起動圧力よりも低くなってしまっているため、ポンプ停止をしても再度自動起動になってしまします。

なので、先に放水エリアのアラーム弁を閉めてからポンプ停止をする必要があります。

この2つの流れでスプリンクラー復旧の応急処置は完了となります。締め切ったアラーム弁の警戒エリアではスプリンクラー設備が機能していない状態のため、即刻の改修、復旧作業が必要になります。

まとめ

復旧作業の工程は

①アラーム弁のメインバルブを閉める
②水抜きバルブを開放する
③スプリンクラーポンプを停止させる

④開放したスプリンクラーヘッドの復旧作業を実施

このような流れで復旧作業を行います。非常にシンプルですね。

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