火災受信機・非常放送設備を移設・交換してみた!!【自動火災報知設備】

火災受信機・非常放送設備を移設・交換してみた!!【自動火災報知設備】
自動火災報知設備の幹線
自動火災報知設備の幹線

今回は火災受信機(自動火災報知設備)のリニューアルについて書いていきます。火災受信機は、建物の火災(煙・熱)を感知し周囲に警報を発するシステムです。

このシステムを制御している機器が『火災受信機(かさいじゅしんき)』です。火災受信機はシステムの心臓部でビル各所に設置しているセンサー類の信号を集め、信号を受信したら音響や各種連動システムに信号を送り防災システムを展開していきます。

連動するシステムは主として防火シャッター、防火扉などの防火設備、屋内消火栓のポンプ、または消防署への自動通報などの連動関連を制御します。

今回のミッション

火災受信機移設交換
火災受信機移設交換

火災受信機、非常放送の交換依頼は定期的に頂いておりますが、今回は移設を伴った交換工事です。もともと設置してある場所へそのまま交換する作業と異なり、移設を伴うとなると幹線を延長していく作業が追加されます。

自動火災報知設備のシステムはたくさんの配線を使用するため慎重に行わないと訳がわからなくなり、警戒系統がめちゃくちゃになってしまいます。そうならないように一つ一つ慎重に配線をチェックしながら進めていきます。

今回のミッションは画像の火災受信機と非常放送をこの場所から別のフロアに移設する工事を行います。

手順の紹介

今回は移設を伴う火災受信機・非常放送のリニューアル工事のため、まず移設先へ配線を引き、新しい受信機と放送アンプを設置したあと旧機器を撤去、配線の接続という流れとなります。

  • 移設先へ配線を引く
  • 新規受信機・非常放送アンプを設置し結線
  • 旧受信機・放送アンプを撤去
  • 旧配線と新規配線を接続
  • 各種試験

上記の工程を一つ一つクリアしていきます。全てではありませんが触り程度レポートしていきます。

新規配線と新規機器の設置

配線と新規機器の設置
配線と新規機器の設置

はじめに、移設元から新規設置をする場所へ新しい配線を引きます。もともとの機器に接続している配線を今回設置する機器類の配線を延長し新規システムと結びます。配線は耐熱配線の1.2ミリを使用します。0.9ミリを使用することもありますが、既存が1.2ミリであったので合わせました。

配線が完了したら使用する配線を1本1本整線し並び替え新しい受信機、放送アンプに接続します。このタイミングで接続することで、旧受信機を撤去した後すぐに新規配線と接続し、新旧すばやいシステムの切り替えが可能となります。

既設側の配線はジョイントボックスを用意

ジョイントボックスで接続
ジョイントボックスで接続

既存側の配線はジョイントボックスを用意しました。今回はジョイント部分を天井を設け隠蔽する計画なので、絶縁不良を起こさないようプラスチック製容器を設置しました。

このボックス内では新規配線と旧機器類から切り離し引っこ抜いた線とを接続します。接続前に1本1本どの線を何の用途で使用するかを総チェックし間違えがないよう何重にも確認します。確認ができればいよいよ既存受信機を撤去していきます。

既存の受信機を撤去

受信機撤去
受信機撤去

撤去の前にやることは、既存のシステムが正常に作動しているか、エラーが出ていないかなどをチェックします。移設前に確認しておかないとシステムを切り離してしまってからでは訳がわからなくなるため、断線、絶縁、システム障害などを中心に確認します。

配線の切り離し
配線の切り離し

特に問題がなければ切り離すための準備をしていきます。配線1本1本にマーキング、編組、色分けを行い、すべての情報をメモに記録していきます。万が一施工中にミスを起こしても、情報をしっかりと記録しておくことでリカバリーが可能になります。

ミスが起こることを前提に何重にもミス予防を行い、確認ができてから配線を切り離していきます。今回は移設を伴う工事のため、切り離す前に配線を延長します。

撤去後すぐにボックス内で配線を接続

先程紹介しましたボックス内部で配線同士を結線していきます。接続部分は絶縁不良を起こしやすく様々なエラーを誘発するおそれがあるため、絶縁不良に注意ししっかりと確実に接続していきます。

使用している配線は耐熱配線のため、接続部分には耐熱処理が必要になります。耐熱テープまたは耐熱性のある圧着スリーブにて接続していく必要があります。弊社ではスリーブを使用します。

接続が完了したらシステムを試験

受信機・放送アンプ試験
受信機・放送アンプ試験

結線後システムを立ち上げ各種試験を実施します。不具合があるとシステム上でエラー内容を教えてくれるので1つずつ潰していけば完成となります。

各種工程での配線確認や結線が正常に行われていればエラーが出ることはないので、確認作業を怠らずにしっかりと進めていくことが非常に大切になってきます。

ということで完成です

移設・交換完了
移設・交換完了

ということで、新規リニューアル・移設同時工事が完成しました。すべての作業工程が完了したら消防署へ設置届提出→消防立会検査という運びとなります。【※検査省略となることもある】

今回の作業中に防火扉を常時閉止で使用することになり、5回線空きとなってしまいました。。。

参考:消防法施行令 自動火災報知設備の副受信機を設置工事してみた

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