非常放送設備リモコンを設置することで、非常放送の『遠隔操作』が可能になります。緊急放送が必要なのにアンプの設置場所までたどり着くには時間がかかってしまうよ、というような場合に設置されています。
たとえば『1階』にアンプが設置されているけれど、スタッフがいるのは上層階、または面積が広い物件で、アンプ設置場所から離れてる場合です。
非常放送設備は緊急放送設備であるため、火災や地震発生時には直ちに館内放送をし、在館者を安心させ、安全に避難誘導することが必要になります。
非常放送リモコン
今回設置するリモコンはTOA社の製品です。基本的な盤面はメインアンプと同等なので混乱することなく操作が可能でしょう。
火災感知器が作動したときの『発報放送』はメインアンプと連動し自動音声によりオートマチックに行われます。簡単に言えばメインアンプと同じ動きをするということです。メイン→リモコン間は耐熱電線で接続します。
配線工事
配線はアンプ~リモコン間の端子盤間で行います。今回使用した配線は『HP1.2×10P』であります。配線表記のHPは【heat poof】の略で耐熱を意味します。次の『1.2×20P』は1.2mmの芯線が20本【10ペア】の10Pです。
ワタクシたちは芯線経0.9mm・1.2mmの2種類を使用しています。配線距離の長さによって使い分けていますがよくわからない場合は1.2mmで施工すればOKです。少し高くなりますが。配線は予備線を含め少し多めに用意しておくと安心。
これらの配線をしかるべき端子に入れていきます。警報回路用の配線は本数が多くアレルギー反応を起こしてしまうという方もいらっしゃるそうです笑。電気職人さんでも『これほど本数が多いと頭が混乱して駄目だわ』という方もいらっしゃいました笑。
本数は多いですがシッカリと色分けされているので、順にどの回路に使用するのを決めて一つひとつ収めていけばミスもなく気がついた頃には作業が完了していることでしょう。
アンプ~リモコン間の端子接続
アンプ~リモコン間の配線が完了したら、接続作業に入ります。接続は仕様書通り行えばOKです。基本的にアンプ本体側とリモコン側は同じ端子名が付けられているはずなのでマニュアル通り施工していきます。
配線の本数が多いので、1本1本しっかりチェックしながら接続すれば問題ありません。配線の接続は電源を落とし、予備電源バッテリーのコネクタを抜いておきます。
電源を落としただけの状態だと予備電源が作動し本体に電気が流れている状態になっているので、電源がOFFの状態を確認し作業にかかります。
接続はリモコンを側から行います。なぜかというとリモコン側の配線がショートしていた場合に非常放送アンプの基盤が損傷することがあるからです。なのでリモコンを結線が完了してからアンプの結線を行います。
さらに注意することは、基盤に過電流を送り込まないようにすることです。電流が流れてもヒューズが飛びますが、電流によっては基盤までイッてしまうことも十分にありえます。基盤が壊れてしまうと放送設備が機能せず緊急設備としての機能を失ってしまうのでご注意くださいませ。
接続完了・試験
試験は本体側、リモコン側の相互で行います。どちらで操作しても同じように連動すれば問題ありません。非常放送ボタンを押せば連動し非常放送ボタンが点灯、業務放送ボタンを押せば連動し業務放送ボタンが点灯します。まったく同じ動きをします。
非常起動を試験するときは『カットリレーOFF』モードにしておくことで、カットリレーを作動させず試験可能となります。カットリレーとは非常放送時に店内放送などのBGMを強制的にカットする装置で、放送内容が周りの音響でかき消されないようにするためのリレーです。
参考記事:非常放送のカットリレー工事で注意すること
画像では警戒区域の記入がまだ完了していませんが、このような感じで設置完了となります。今回は同時に自動火災報知設備の副受信機も施工しており、こちらは別記事にて紹介いたします。
参考記事:自動火災報知設備の副受信機を設置工事してみた
参考記事:非常放送設備の紹介・アンプ実機による作動内容と使い方
まとめ
- 非常放送設備を遠隔操作するリモコンがある
- アンプ本体・リモコン間は耐熱配線で接続
- 配線の本数は予備線を含め少し多めにしておく
- 端子接続前は電源・バッテリーOFF
- 端子接続は同じ名称同士接続する
- 配線に電気が流れるとヒューズが飛び基盤が故障することがある
- 試験操作ではカットリレーOFFモードが便利