副受信機は自動火災報知設備が作動したときに『どこで火災表示が出ているか』を確認する表示機です。火災受信機との違いは、ベル・サイレン等の停止スイッチがなく、各種試験や火災復旧操作ができません。副受信機自体の音響を停止するスイッチのみ設置されています。
対象の建屋や敷地が広く、管理人室・事務室などが複数ある場合や、同一敷地内に数棟建物があり火災受信機を共有しているような物件では、火災受信機の確認に時間がかかることでしょう。このような物件では、副受信機を設置することで素早い火災確認と消防活動が可能になります。
※副受信機は消防法による設置基準はありません
副受信機を設置してみた
今回は今まで使用していた事務所を分割し、はなれに事務機能を一部移転することになりました。そのため副受信機と非常放送リモコンを設置する運びとなりました。
関連記事:非常放送リモコンを設置工事してみた!【非常放送設備】
工事はざっくり下記の3工程で行います。
- 配線をする
- 機器を取り付け接続をする
- 試験をする
順に書いていきます。
配線をする
今回設置する副受信機は30回線用×2台の合計60回線であります。回線数が増えると配線の本数は当然に増えていきます。今回の工事では65本程使用します。
内訳:電源2本 音響1本 電話1本 警戒窓60本 合計64本
配線本数が60本なので『HP1.2×20P』『HP1.2×15P』の2種類を使用します。配線材料にはさまざまな表記があり、配線の太さ本数で異なります。今回は耐熱配線(HP)を使用。
HP1.2×20P:HP(heat proof) 1.2mm(芯線) × 20P(20ペア・40芯)
太い配線を引っ張るのは重くて大変なのでペア数を下げて複数本引っ張ったほうが体力的に有利であります。
機器を取り付け接続する
配線が終わったら結線へ。結線方法はマニュアルに書いてあるので、マニュアルどおりに施工していきます。現行の自動火災報知設備はとても親切丁寧なマニュアルが同封されているので、結線図どおり『副受信機』~『受信機』間で配線接続します。
結線は副受信機側から行います。なぜかというと、受信機側から結線をすると副受信機側へ電気を送った状態で副受信機の結線をすることになります。間違った配線でショートさせると受信機内部の基盤が損傷してしまう可能性があります。
基板側にはヒューズがついているので損傷前にヒューズが飛んで保護されますが、念には念を入れ、受信機結線は副受信機側が終わった後に行います。
結線が完了したら試験を行います。
試験をする
副受信機の取り付けが完了したら試験に移ります。試験は火災受信機側で『火災試験』モードで警戒番号1番~60番まで順番に手動試験をしていきます。受信機側で発報させることで同時に副受信機の表示窓が点灯します。
火災受信機~副受信機間は専用の電話を接続する必要があるので、電話機を使ってこっちとあっちで確認し合いながらチェックしていきます。
副受信機側には音響停止スイッチが付いているので警報音確認も行います。火災発報時、副受信機の音響がならないと火災に気が付けない可能性があります。確実に鳴るかどうかを確認します。
試験時に副受信機側の音響が鳴らない場合
試験をしているのに全く音響が鳴らない?おかしいな??ということがあるかもしれません。その時は火災受信機側の『主音響停止スイッチ』を解除してみてください。解除することで副受信機の音響がなることでしょう。
ということで試験を済ませすべて工事が完了となります。
まとめ
- 副受信機を工事してみた
- 配線は耐熱配線を使用した
- 本数が多く必要な場合は少ない本数の配線を複数使用
- 配線の接続は副受信機側から行う
- 試験は火災受信機の火災試験で実施
- 電話機の試験・音響試験も行う
- 音響が鳴らないときは火災受信機の『主音響スイッチ』を確認
副受信機について設置・増設移設などのご相談がございましたらタイムランへ!