デザイナーズ物件に自動火災報知設備を設置してみた3【既存建物に対する新規設置工事】

デザイナーズ物件に自動火災報知設備を設置してみた3【既存建物に対する新規設置工事】

既存デザイナーズ物件の自動火災報知設備設置工事

前回に続き、デザイナーズ物件の既存建物に自動火災報知設備設置工事を納品しましたので、紹介させていただきます。前回の施工については、こちらをご参照ください。

デザイナーズ物件では、鉄筋コンクリート造による躯体をむき出しにした「打ちっぱなし」デザインになることが多く、すでに建っている建物には壁内隠蔽配線をすることができません。

居室内部は広い空間を確保するために、あえて天井を組まず、スケルトンや躯体に直接クロスを貼る方法で内装を演出します。

このような躯体をむき出しにした設備の後付工事では、配線を隠蔽することが非常に難しくなります。しかしながら、露出用配線保護材のモールを際限なく貼り付けてしまい、配線が目立ってしまうとデザイナーの意図が損なわれてしまいます。そのため、露出する配線を可能な限り目立たないようにするために、我々は奮闘しております。

弊社の施工した内容をご紹介いたします。

デザイナーズ物件の消防設備追加

今回は「自動火災報知設備」、「誘導灯」、「非常灯」の設置工事です。元々は共同住宅として新築された物件を、後々「民泊施設や旅館業用途」で使用できるように改装する、というのが我々の得意とする依頼でした。

共同住宅では、延べ面積が500㎡以上であれば自動火災報知設備の設置が義務付けられています。それに対して、499.99㎡までは設置義務がありません。しかし、近年では500㎡未満の物件でも将来のことを考慮し、予め自動火災報知設備を設置しておくという依頼を受けることが増えています。

共同住宅【15項】の消防設備設置基準一例
自動火災報知設備 誘導灯 非常灯

延べ面積 500㎡以上
義務設置

不要
無窓階、11階以上の階には設置が必要
建築基準法令の設置基準により設置

↓「共同住宅」が「旅館・ホテル」になると設置基準が変わる

旅館・ホテル【6項イ】の消防設備設置基準一例
自動火災報知設備 誘導灯 非常灯

義務設置

義務設置
※一部省略規定あり
建築基準法令の設置基準により設置

自動火災報知設備の設置工事

自動火災報知設備は、「火災受信機」、「警報装置」、「手動押しボタン」、「火災感知器」といった各装置から構成され、システムを構築しています。火災受信機はシステムを制御する装置であり、居室に設置された火災感知器から送信された火災信号を受信し、ベルやスピーカーなどの警報装置に信号を送ります。これらの装置は法令の設置基準に従って確実に設置していきます。

天井内部を覗き込み、躯体に開いているスリーブを探し、専用工具を使用して配線を通します。施工作業の大半は配線作業となりますので、配線ルートを確保できれば隠蔽率が格段に上がり、非常に綺麗に仕上げることが可能となります。

弊社が使用する配線は1箱あたり200mで、新規設置の場合には1箱ほど使用します。200mの配線をどれだけ隠蔽できるか、我々は常に挑戦を続けています。

どうしても配線を隠蔽できない場合は、配線保護モールを使用します。上の画像は、躯体にMKダクトを設置したものです。弊社が使用しているモールは「ニューマサルエフモール」及び「MKダクト」です。これらの材料は色のバリエーションが豊富で、さらに曲がりなどのサブパーツも充実しています。また、施工しやすく、大変重宝しております。

天井内への配置が困難な場合でも、照明の反射具合や意匠類の色を考慮し、最適な設置工事を目指しています。天井に点検口を設置するという方法も存在しますが、その設置コストが高いため、設置工事全体のコストが上がってしまいます。そのため、保護材料を上手く使用することで、よりコスト効率の良い、かつ美しい仕上がりを実現することが可能です。

廊下に設置した煙感知器
キッチンに設置した熱感知器
躯体はPF管を使用し煙感知器を設置

無窓階に該当しない居室では、熱感知器を使用します。しかし、無窓階になると、煙感知器の使用が必要となります。煙感知器は熱感知器に比べて価格が約6倍ほど高くなります。階段室と地下では、煙感知器を使用します。

今回使用した感知器類は下記の通りです

居室 階段室・廊下 地下
熱感知器
居室「差動式」
キッチン、脱衣場「定温式」
煙感知器
「光電式2種」
煙感知器
「光電式2種」
一般的に使用する火災感知器の種類と特性
差動式感知器【熱式】 温度上昇率を感知 居室
定温式感知器【熱式】 一定の温度で作動 キッチン、押入れ
光電式感知器【煙式】 煙の侵入を感知 廊下、地下、無窓階

誘導灯の設置工事

共同住宅では、無窓階や11階以上の階でなければ誘導灯の設置は必要ではありませんが、ホテルや旅館においては誘導灯の設置が強制的に必要とされます。

この設置要件は、消防法施行令の第26条に基づいています。下記の条文中、赤く示された部分【5項イ】がホテルや旅館に該当し、共同住宅は【5項ロ】に該当します。

第二十六条 
誘導灯及び誘導標識は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める防火対象物又はその部分に設置するものとする。ただし、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものについては、この限りでない。
 避難口誘導灯 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに同表(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)項から(十五)項まで及び(十六)項ロに掲げる防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分

e-gov:消防法施行令

非常灯の設置工事

非常灯設置と省略

非常灯は建築設備に該当し、消防設備ではありません。設置は建築基準法令に基づいた基準に従って行います。床面積が30㎡以下の居室で、地上に通じる通路や階段に
①非常灯が設けられている場合、または
②採光が有効な採光廊下や屋外階段である場合は、居室内の非常灯の設置を省略することが可能です

今回のケースでは、条件①および条件②に該当していました。しかし、居室の構造により非常灯の設置が省略できるものとできないものが存在していました。そのため、一部の居室に非常灯を設置することになりました。

ホテル、旅館等の多数の者が利用する建築物等については、原則として、すべての居室(共同住宅の住戸、寄宿舎の寝室等は対象外)とその避難経路に非常用の照明装置の設置が義務付けられています。

 今般、避難行動に関する調査研究等を踏まえ、非常用の照明装置を設置すべき居室の基準を合理化することとし、以下のとおり、告示を改正いたしました。本改正により、ホテル、旅館等の整備費用の低減に加え、既存の建築物における用途変更が円滑化されることが見込まれます。

 なお、住宅宿泊事業法における非常用照明器具の設置方法に関する基準及び国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の用に供する施設の建築基準法における取扱いについては、いずれも建築基準法に基づく非常用の照明装置の基準を引用していることから、今回の見直し内容が同様に反映されます。

<改正の概要>
「規制の適用を受けない居室」として、次の居室を加える。

 ・床面積が30㎡以下の居室で、地上への出口を有するもの
 ・床面積が30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分が次の(1)又は(2)に該当するもの

(1) 非常用の照明装置が設けられたもの 
(2) 採光上有効に直接外気に開放されたもの

国土交通省ホームページ

非常灯の設置

今回設置した非常灯はLEDタイプの埋込み型です。今回の物件では、非常灯の設置が必要な部分に天井が設置されており、天井の間隙が十分にあったため、埋込み型を使用しました。露出型非常灯よりもスッキリとした仕上がりで、内装デザインの邪魔になりにくいため、可能な場合は積極的に埋込式を使用しています。

まとめ

この度、ザイナーズ物件に自動火災報知設備、誘導灯、非常灯を設置するプロジェクトを紹介しました。鉄筋コンクリートの躯体や広い空間に配線を隠蔽しながら、内装デザインを尊重した作業を行い、また、非常灯の設置については、建物の構造に応じて、天井の間隙を活用し埋込み式を使用しました。

法令を守りつつ、最小限の配線露出で施工いたします。設置をお考えの方がいらっしゃいましたらぜひご連絡お待ちしております。

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