スプリンクラー圧力漏れの探し方

スプリンクラー圧力漏れの探し方

スプリンクラーの目視点検でゲージによる圧力は正常だったけど、実際に設備を作動させる点検・増設や改修工事などを行ったら原因不明の圧力漏れが発生してしまい、ポンプが回ってしまう・・・ということががあります。

スプリンクラー設備は配管のあらゆる場所に逆止弁・仕切弁が設置されています。水が滴って目視で確認できればいいのですが、実際は見てわからない圧力漏れが多く、とても厄介で悩みの種であります。今回は圧力漏れの探し方と原因について書いていこうと思います。

スプリンクラー圧力漏れの原因

まずは原因から

  • フート弁によるもの
  • ポンプ立ちあがり配管の逆止弁によるもの
  • 送水口直近の逆止弁によるもの
  • 各階のアラーム弁によるもの
  • スプリンクラーヘッド周辺の漏れ
  • 配管からの漏れ
  • 高架水槽の逆止弁によるもの

大体の原因はこんな感じかとおもいます。これらを個別に検証し探していくわけです。配管漏れの場合は天井に水がポタポタたれて濡れてくるため特定しやすいですが、各種バルブ関連の場合はそうはいきません。私は天井などに水漏れがない場合の原因の大半が弁関連であるかと考えております。特定できない限り圧力が抜けて自動起動がかかりポンプが回ってしまいますのでなんとか早く特定したいところです。

どこの圧力が漏れているのか圧力ゲージでエリアを絞ってく

圧力が漏れるエリア

スプリンクラー設備は配管のあちこちに圧力ゲージが設けられているためある程度エリアを特定することができます。どこの圧力ゲージが落ちているかを確認し圧漏れを探していきます。

フート弁の漏れ

フート弁の漏れ

フート弁は水槽から消火水を汲み上げる際、汲み上げ配管に入った水が水槽に戻っていかないようにするための弁になります。この弁が漏れていると水槽が満水になりあふれたりします。フート弁漏れのみではスプリンクラー配管内の圧力を低下させる原因にはなりませんが、配管内の圧力が下がったり、ポンプが起動してしまう場合は同時にポンプ立ち上がり間の逆止弁と、他のどこかが同時に漏れている可能性が高いです。

立ち上がり管の逆止弁漏れ

スプリンクラー立ち上がり間の漏れ

ポンプ立ち上がり管の逆止弁が効いていなくフート弁が効いていないと各階のアラーム弁の1次側圧力が落ちていきます。各階アラーム弁の1次側の圧力は同時に落ちていくのでわかりやすいです。この現象が起こった場合は立ち上がり配管の逆止弁とフート弁が原因です。フート弁が壊れていると水槽に水が戻ってしまうので水があふれてしまいます。その時は水槽の満水警報が出ていることでしょう。一時的に立ち上がり管の逆止弁直近に設置してあるメインバルブを閉め水が落ちていかないようにし逆止弁、逆止弁とフート弁を交換する必要があります。交換すれば圧力は安定するでしょう。

送水口直近の逆止弁からの漏れ

建物の入り口付近に設置されているスプリンクラー送水口付近には逆止弁が設置されています。この弁がないと送水口から消火水が逆流して出て行ってしまうからです。このバルブが原因の場合は送水口のふたを開けてみてください。そうするとここにも逆流防止の弁が付いています。こいつを奥に押し込んでみてください。通常は比較的簡単な力で押し込むことができますが、逆止弁が壊れている場合は圧力が送水口の方へ逃げてしまっているために硬くなって押し込むことができません。ガチガチになります。そうなっている場合はたいていこの逆止弁が原因なのでこいつ交換すれば圧力は安定するでしょう。

アラーム弁による漏れ

アラーム弁の漏れ

アラーム弁はポンプから送られてきた配管から各階(各エリア)に分配するときに経由する弁です。この弁はスプリンクラーヘッドから放水したときに流水を感知し火災受信機に信号を送る役割をしています。アラームを発するという意味でアラーム弁というネーミングになっています。このアラーム弁はポンプ側を1次側、スプリンクラーヘッド側を2次側とし一旦2次側に入った水は逆止弁により1次側には戻らない仕組みになっています。また、スプリンクラーを工事するときに配管内の水を抜く場合はこのアラーム弁に付いている水抜き用の仕切弁で水を抜くことができます。アラーム弁が原因の場合はこの仕切弁が効いていないことが考えられます。ポンプから圧力を送って(ポンプアップ)圧力がかかっている状態で1次側と2次側の圧力が同時に落ちいていく場合は、アラーム弁の逆止弁とまた別の場所が漏れていることが想定されます。アラーム弁の逆止弁が効いていない場合でも他の箇所が漏れていない場合は構造的に圧力は安定します。

スプリンクラーヘッド周辺による圧力漏れ【配管漏れ含む】

スプリンクラーヘッド周辺の漏水はアラーム弁の2次側の圧力と1次側圧力が低下します。この場合は該当するアラーム弁の2次側と1次側のみで、漏水のない階(エリア)のアラーム弁の2次側圧力は安定しているはずです。なので2次側圧力【各階の枝管】の改修をすれば圧力は安定するでしょう。また、実は2次側は正常なのだけどアラーム本体の逆止弁が壊れていて、その他が原因で圧力が漏れてる場合もあるのでその場合はアラーム弁のバルブを全閉して原因を特定する必要があります。全閉して2次側の圧力が安定すれば原因はアラーム弁不良でいいでしょう。しかしほとんどありませんが全閉したけども2次側が漏れていき1次側にも漏れていくことがあります。その場合は全閉めしたゲートバルブが効いていない場合もありますので注意が必要です。このあたりが原因特定の難しいところなのです。

高架水槽の逆止弁から漏れ

屋上に上がったら高架水槽があります。この高架水槽はスプリンクラー配管に水を送るための補助的な水槽になります。この水槽の直近にも逆止弁が設置されています。Spポンプから送られた消火水が高架水槽に入っていかないようにするために設置します。この弁が壊れている場合は、高架水槽が満水警報を発報したり、ポンプを回し水槽内の水に動きがある場合はこの逆止弁が壊れていると考断定できます。その場合はいったん逆止弁付近に設置してあるバルブを全閉めしてポンプアップして圧力を再チェックしてみてください。その結果圧力が安定すればこのバルブが原因で確定です。

原因が1、2か所でない場合

ざっと簡単な圧力漏れの探し方を書いてみましたが複数箇所の漏れが起こることも大いに考えられます。その場合は一つずつ原因を特定して行くしかありません。経年劣化したバルブでパッキンが固くなっていたり、配管の水中にサビが混入して弁に引っかかったりすることがあります。これらは圧力が漏れていく原因になります。根気のいる作業になりますが一つ一つじっくり探してみてください。と10年前の自分に向けたメッセージを書いてみました。

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