火災受信機の断線エラーで終端抵抗を入れても改善されないときは抵抗値をチェック

火災受信機の断線エラーで終端抵抗を入れても改善されないときは抵抗値をチェック

自動火災報知設備断線エラーはまず終端抵抗をチェック

自動火災報知設備の火災受信機のエラーで断線があります。断線は火災感知器回路のどこかが切れてしまっているときに起こります。断線は感知器回路の終端に抵抗や、終端器を設置する方法や、火災感知器内部のロムに情報を埋め込む方法があります。今回は前者の終端抵抗についての内容で書いていきます。

火災感知器回路の説明

火災感知器の回路は、火災受信機から総合盤を経由して各火災感知器に電気を送ります。送った電気は戻りの電線で総合盤を経由し受信機に戻ります。断線はこのどこかしらで不具合があるということになります。

火災感知器回路図

火災感知器の回路は熱や煙に反応し、スイッチが入る仕組みになっています。どこかしらの感知器が反応すればその感知器のスイッチが入り火災信号を発します。

感知機回路断線図

もし回路のどこかで断線がおこると断線した場所以降に設置された感知器に電気が送られず作動しません。

もし断線が起こって制御盤等で何らかのエラーが出ないとなると、感知器が作動しないことに気づかずそのまま放置されてしまうことになります。

そのような状態にならないように火災感知器回路には断線を判別するための仕組みが設けられています。

感知器回路終端抵抗の図

断線確認の仕組み

自火報の断線画像

火災報知器回路で断線エラーが起こったときは、感知器回路の終端に抵抗(終端器)が外れているときに起こります。抵抗そのものが外れているというだけではなく、途中の配線が切れていることによって結果、終端抵抗が外れているという意味を含みます。

終端抵抗が設置されているかどうかについては「火災受信機」で常にモニターしており、通常、感知器回路の末端に「10kΩ」の抵抗が使用されます(ニッタン社は専用の終端器なので別)。

火災受信機で火災感知器回路の抵抗値を常に測定しており、抵抗値が適正状態でなくなった場合に断線エラーを発する仕組みになっています。

断線につきましては別記事にも記載しています

火災受信機における回路導通試験

回路導通試験時の画像

火災感知器回路の断線を確認するには「回路導通試験」を行います。火災感知器に終端抵抗(終端器)が設けられているかどうかを火災受信機上で確認することができます。
(※現行の火災受信機は断線が発生すると対象エリアのLEDが点滅する)

画像の赤いゲージを示すと断線判定で、緑の範囲内は正常となります。このゲージは抵抗値をモニターしており、抵抗値が小さくなると0に近づき、抵抗値が大きくなると40に近づきます。

完全に回路が断線していると数値は0になります。また、接触が悪い場合は数値が上がったり下がったり不安定になることがあります。

今回伺った現場であったことですが、回路導通試験の数値が高めに出た回路がありました。ギリギリ緑なので正常と言えるのかもしれませんが、とりあえず調べることにしました。

終端抵抗は火災感知器の終端に設けることになっています。終端は2芯工事の場合は火災感知器の最後の部分、4芯工事の場合は発信機(押し釦)に設けることになります。

4芯工事だったので発信機に終端抵抗がついており確認すると10kΩの抵抗が接続されていました。他の階の終端抵抗を確認すると5kΩほどだったので、前に設備をさわった方が抵抗を持ちあわせていなく、現行の終端抵抗で対応したことが予測できます。

これについての対応は最後の節の「応急的な対処法」により施工いたしました。よろしければご確認ください。

終端器の抵抗値について

工事をするメリット

現行の火災受信機の終端抵抗値は「10kΩ」です(ニッタン社は専用製品を使用)。現行では10kですが、一昔前のシステムは抵抗値が5kのものがあったりします。断線の改修や、自動火災報知設備の工事で断線が消えない場合は、火災報知システムが一昔前のものである可能性があります。

そのようなシステムで10kΩの抵抗を使用しても断線エラーは復旧しません。受信機内部の予備抵抗を探して設置するか、電子部材のお店で同等品を探すしかありません。

応急的な対処法

もし該当するシステムが5kの抵抗で断線を判別するシステムで、予備の抵抗がない場合の対処法を書いていきます。

抵抗の特性を利用した簡単な方法で、消防設備士試験や電気工事士の電気回路を用いた試験にも出てくるので、知ってい方は多いと思いますが、実際の現場で活用することは多くはないことでしょう。

抵抗は同じ値の抵抗を並列に接続すると抵抗値は半分になります。なので、10kΩの抵抗を2本並べて使用すれば、5kΩの終端抵抗として使用することができます。

世代を超えて長年使用している終端抵抗の金属部分は折れやすかったり、受信機内部に予備の抵抗を備え付けていない場合があります。そのようなときは現行の10kΩの終端抵抗を並列に使用することで応急的な対応が可能になります。

根拠法令:消防法施行規則第24条

(自動火災報知設備に関する基準の細目)
第二十四条 
自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。
 配線は、電気工作物に係る法令の規定によるほか、次に定めるところにより設けること。
 感知器の信号回路は、容易に導通試験をすることができるように、送り配線にするとともに回路の末端に発信機、押しボタン又は終端器を設けること。ただし、配線が感知器若しくは発信機からはずれた場合又は配線に断線があつた場合に受信機が自動的に警報を発するものにあつては、この限りでない。

e-gov:消防法施行規則第24条

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