民泊に必要な消防設備【民泊の消防設備設置工事をやってみた!!】東京消防庁

民泊に必要な消防設備【民泊の消防設備設置工事をやってみた!!】東京消防庁

民泊画像

民泊の消防設備工事をやってみた

今回は民泊に伴う消防設備の工事についての内容です。来日旅行者は増える一方でまだまだ旅館業施設が不足しているというのが現状です。そこで手軽に始められる民泊を自身でやってみたいという方が多くいらっしゃいます。今回は民泊についての記事を書いていこうと思います。

民泊は住宅宿泊事業法に基づいて、都道府県(保健所)と消防署の2つの行政機関が設ける要件に適合さなければなりません。まず民泊ができる用途を見ていくと下の6種類の用途地域になります。

民泊ができる用途地域
第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域
近隣商業地域 商業地域 準工業地域

民泊物件選びは用途地域から始まり、立地、間取り、共同住宅の場合は管理組合の承諾がとれるか否か、該当する市区町村の条例が基準を満たせる物件かどうかを検討しますが、この要件をクリアできても建物が消防法令に適合していない場合は適合する消防設備を設置する必要がでてきます。

建物によっては全体に自動火災報知設備を設置する必要が出てくるものもあるので、しっかりと検討してから物件を契約をする必要があります。

民泊に必要な消防設備

火災アラーム

民泊には主に「自動火災報知設備」「誘導灯・階段通路誘導灯」「消火器」の設置が必要になります。どのような消防設備を設置するかは「建物の規模」「仕様形態」によって変わります。。

階段通路誘導灯として階段に非常灯を設置します、「非常灯」は建築基準法令により設置される設備のため、消防設備に該当しません。※30㎡以下の居室には非常灯が不要となる場合がある。

  一戸建て 戸建て3階建て 共同住宅
自火報 全て必要 全て必要 500㎡以上で義務
【民泊部分は全て必要】
誘導灯 必要
※緩和規定あり
必要
※緩和規定あり
必要
※緩和規定あり
階段通路
誘導灯
必要 必要 必要
消火器 延面積
150㎡以上
延面積
150㎡以上
延面積
150㎡以上
備 考 原則3階を民泊として使用できな 民泊で使用する面積が延べ面積の10%未満でかつ、建物の延べ面積が500㎡未満であれば民泊部分のみ自動火災報知設備を設置すればよい。

 

戸建て、戸建て3階建ては延べ面積に関係なく自動火災報知設備の設置が必要です。ただし、延べ面積が300㎡以下の場合は「特定小規模施設用」の自動火災報知設備が使用できます。特定小規模用の感知器には電池が内蔵されており、火災感知時にそれぞれの感知器が連動し本体に内蔵する音響装置によりアラートを発します。

上記に書きました建物とは別に「特定一階段防火対象物」という特殊な形態の建物があります。この物件には例外なく面積に関係なく全ての場所に自動火災報知設備を設置しなければなりません。

特定一階段防火対象物
不特定多数の方が自由に出入りできる用途【劇場、遊技場、飲食店、物販、ホテル、病院、スーパー銭湯等】が地下または3階以上に入居している物件で、屋内階段が1系統しか無いものをいいます。 特定一階段等防火対象物に該当すると面積に関係なく建物全体に自動火災報知設備が必要になります。

今回施工する物件の概要

消火器画像

今回施工する物件は東京消防庁管内の某所、3階建ての1戸建です。
3階建ての戸建ては特定位置階段防火対象物に該当するため自動火災報知設備の設置が必要になります。

特別に民泊の場合は3階建の戸建てであっても次の要件を満たす場合は「特定小規模施設用の自動火災報知設備」を設置することができます。

3階建ての戸建てに特小自火報を使用できる要件
  • 地下を含む階数が3以下であること
  • 建物の延べ面積300㎡未満であること
  • 3階又は地下の宿泊室の床面積の合計が50㎡以下であること
  • 全ての宿泊室の出入り口扉に施錠装置が設けられていないこと(非常時に自動的に解錠できるものや屋内から鍵を使わずに容易に解錠できるものを除く)
  • 全ての宿泊室の宿泊者を1契約により宿泊させるものであること
  • 階段部分には煙感知器を垂直距離7.5mごとに設けること

よって、今回の物件では特定小規模施設用の自動火災報知設備を設置いたします。

保健所の申請に必要な「事前相談記録書」

事前相談記録書

民泊の申請は保健所へ行います。保健所への申請で必要になる要件の1つとして管轄消防署の「事前相談記録書」があります。こちらの書類をまず取得する必要があります。

この「事前相談記録書」は建物を使用するにあたる注意事項のようなもので、「カーテンや絨毯は防炎物品を使用する」「消防設備は別途事前相談を行う」など大枠について確認するためのものです。

消防設備の設置は別途「消防設備特例申請」「設置計画届」などの書類を工事着手前に届出する必要があり、どの設備をどの場所に設置する等をあらかじめ担当消防官が審査します。

事前相談記録書は民泊事業をされる方々が自ら行うケースが多いかと思います。消防法令について不安がある方は行政書士に依頼されるという方もいらっしゃいます。

無線式の自動火災報知設備を使うための特例申請

延べ面積300㎡未満の防火対象物で民泊をする場合、「特定小規模施設用の自動報知設備」が使用できます。この設備はあくまでも特例措置によって設置するものなので、特例申請の審査を得る必要があります。

注意が必要なのは、300㎡未満の場合は特定小規模用の自動報知設備を使用できると書きましたが、例外的に「特定一階段防火対象物」では使用することができません。(一戸建て3回の住宅では使用可能)

基準の特例申請
基準の特例適用申請書

民泊、旅館やホテルは消防法施行令別表によ【5項ロ】に該当し、ホテル、旅館関係用途に使用している物件には面積に関係なく自動火災報知機の設置が義務になります。

通常の自動火災報知設備を設置する場合、少なくとも概算で100万円【税別】はかかってしまいます。特定小規模用であれば無線式で電池式のため配線工事が不要なので比較にならない金額で施工可能です。

特例申請の審査期間は消防署により異なりますが2週間から1ヶ月くらいです、。

誘導灯の工事計画届を提出

誘導灯の新規設置は「設置計画届」を工事に着手する10日前までに提出する必要があります。この計画書は誘導灯が建物に対して適切な場所に、また必要な数が法令通り設置されるかを審査するための書類です。民泊の場合、最終避難口に避難口誘導灯が1台と階段に階段通路誘導灯【非常灯】が設置されることが多いですが、0設置が省略できる場合があるので事前相談時に省略できるかについて判断してもらう必要があります。

設置計画届

いざ施工へ!!

無事特例申請が通りましたらいよいよ施工開始となります。今回は延べ面積300㎡未満の3階建てのため自動火災報知設備は特定小規模用自動火災報知器を使用し、誘導灯、階段通路誘導灯(非常灯)を計画通り施工します。

設置場所は火災感知器を各居室、階段に、誘導灯は玄関に、階段通路誘導灯(非常灯)は階段に設置します。使用する部材は下の通り。

  • 特定小規模用自動火災報知機
  • 避難口誘導灯【C級】
  • 階段通路誘導灯【非常灯】
  • ブレーカーボックスとブレーカー
  • 配線材料【Fケーブル、モールなど】

既存の建物に隠蔽配線を施すのはなかなか至難の業ですが、弊社には配線のスペシャリストが在籍しており、配線を隠すことをポリシーとしているため極限まで露出箇所を無くす思いで施工します。内装デザイン的にも配線は無い方が綺麗ですし。

天井内の配線

在来型の木造住宅はツーバイフォー構造と違い比較的配線が通しやすく隠蔽配線がしやすくなっています。全ての隠蔽はなかなか難しいこともありますが、隠蔽率100%を目指します。

通った配線に器具をつけていく

配線が完了したら器具を取り付けていきます。
今回は隠蔽配線が成功したので器具の設置も非常にスッキリした仕上がりです。内装のデザインと配線は相反するものなので、線が見えてしまうとスタイリッシュさが消えてなくなります。

誘導灯設置前
誘導灯設置前
誘導灯設置後
誘導灯設置後
非常灯設置前
非常灯設置前
非常灯設置後
非常灯設置後

自動火災報知設備は無線式のため【特定小規模施設用自動火災報知設備】配線工事は不要です。各所に器具を取り付けて連動試験及び加煙試験を行います。

消防署に設置届を提出

消防設備は工事が完了したときから4日以内に消防署に設置届を提出する決まりになっています。設置届には設置に関する各試験データを添付します。今回は「特定小規模用自動火災報知設備」「誘導灯」「消火器」3種類を提出します。

最初の事前相談記録はおもに施主側(運営される方又は行政書士など)が行い設置工事は消防設備業者が行うことが多いかと思いますが、設備に関する届出は通常設備業者が行います。

使用開始届を提出

「使用開始届」を提出する必要があります。この届出は物件をいつから誰が使用するといった内容です。主に内装がどのようになっているかをするための資料を添付します。例えば各図面関係、内装仕上げ表、厨房機器、物件の地図等です。こちらの届出も施主又は行政書士が行います。

書類の記載事項に設備業者や設備設置者の名前を記載する場所がないためです。弊社は行政書士事務所を併設していますのでこちらの届出も同時に行います。

消防検査

全ての工事、届出が完了しましたら消防検査の予約を入れます。
消防検査は管轄する消防官が現地に立入り、届出した内容どおりに施工されているかをチェックするもので、内容に不備がある場合や法令に適合していない場合は、法令の規定通りにやり直す必要があります。

全ての法令要件が問題ない場合は検査済証が発行されます。

検査済証の発行

検査済所は消防法令に適合していることを証した書面で、保健所に検査済書の写しを届出ることにより晴れて民泊が開始できるということになります。

事前相談から検査済証発行までは早くて1ヶ月で、場合によっては2ヶ月ほどかかる場合があります。

まとめ

今回は民泊案件にたいする一連の流れを説明しました。弊社でお力になれることがありましたらお問い合わせのほどよろしくお願いいたします。

東京消防庁:民泊QA

民泊工事承ります【使用開始届作成届出サービス】

弊社は消防消防設備保守施工会社ですが代表が行政書士であるため、お客様に代わり使用開始届を作成届出することが法律により認められております。

弊社で消防設備の設置をご依頼を頂いたお客様には無料にて使用開始届の作成及び届出を行っております。法令に則った施工を実施しかつ、法律に基づいた書類の作成代行及び届出を行いコンプライアンスを遵守いたします。

発注から完成までの流れ

ご発注

①無線式感知器の特例申請をいたします。 
↓【消防書審査期間はおおむね2~3週間】
②申請が下りましたら工事を開始。 

③設置後の各種消防書へ届出を行います。届出時に消防検査の予約。

④消防署の立入検査があります。

⑤検査から約1週間後に検査済証が発行されます。

通例で①~⑤まで1ヶ月~1ヶ月半程かかる見込みです。極力前倒しで行います。

お問い合わせは下記リンクから

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