消防設備業務は国家資格を取得した資格者が業務を行います。消防設備は設備ごとに項目が分けられており、7種類の類別があります。更に甲種、乙種の2種類があります。甲乙全て合わせると合計で13種類の資格になります。
甲種は工事・整備を行うことが可能で、乙種は整備を行うことができます。乙種のみでは工事はできません。工事をする場合は甲種消防設備の免状の交付を受ける必要があります。
消防設備の整備は乙種消防設備士の資格があれば業務を行うことができます。ただ、すべて取得するのは時間がかかり過ぎてしまうため、消防設備点検資格者を取得することで消防設備士を取得するよりも早く点検業務を行うことができます。
また、消防設備士でなくても簡単な整備であれば行うことができる項目があります。表示灯の交換、消火栓のホース、ノズルの交換、ヒューズ類の交換などはどなたでも行うことができます。
消防設備業務に必要な資格と除外業務
消防設備士の業務範囲
種類 | 該当設備 | 除外業務 |
特類 | 特殊消防設備 | |
1類 | 水系消火設備類【消火栓・スプリンクラー】 パッケージ型消火設備 |
電源・水源・配管工事 |
2類 | 泡消火設備・パッケージ型消火設備 | 電源工事 |
3類 | ガス系消火設備・粉末消火設備 パッケージ型消火設備 |
電源工事 |
4類 | 自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報器 非常放送・火災通報装置等警報関連 |
電源工事 |
5類 | 避難器具関係【避難はしご・緩降機 救助袋・滑り台など】 |
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6類 | 消火器 | |
7類 | 漏電火災警報器 |
消防設備点検資格者の点検可能な業務範囲
点検資格者種別 | 消防設備士の類 | 実施できる点検設備 |
第1種 | 1類 | 屋内消火栓・屋外消火栓・スプリンクラー・水噴霧消火設備・共同旧宅用スプリンクラー |
2類 | 泡消火設備 | |
3類 | 動力消防ポンプ・消防用水・連結散水・連結送水管・不活性ガス消火 | |
6類 | 消火器・簡易消火用具 | |
1.2.3類 | パッケージ型消火設備 | |
第2種 | 4類 | 自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報器・火災通報装置・自動火災報知設備関連 |
5類 | 避難器具 | |
7類 | 漏電火災警報器 | |
4類・7類 | 非常放送・非常警報・排煙設備・非常コンセント・無線通信補助設備・加圧排煙設備 |
消防設備を設置する場合、甲種消防設備士が工事、施工をすることになります。設置後は資格者の名前と設置後の試験データを提出する必要があり、無資格者の施工では届出を行うことができません。
『無資格者が施工し有資格者の名前貸を借りて届出をしている』ということがあるかは不明ですが、ワタクシの周りに聞いてみた所そのような業務を行っている方は皆無でした。
除外業務とされている電気、水源、配管工事は消防設備でなくても行うことが可能です。電気は電気工事士さん、配管工事は配管工事業者さんが施工することが多いです。
第十七条の六
消防法第17条の6
消防設備士免状の種類は、甲種消防設備士免状及び乙種消防設備士免状とする。
2 甲種消防設備士免状の交付を受けている者(以下「甲種消防設備士」という。)が行うことができる工事又は整備の種類及び乙種消防設備士免状の交付を受けている者(以下「乙種消防設備士」という。)が行うことができる整備の種類は、これらの消防設備士免状の種類に応じて総務省令で定める。
(消防設備士でなければ行つてはならない工事又は整備)
消防法施行令第36条の2
第三十六条の二
法第十七条の五の政令で定める消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置に係る工事は、次に掲げる消防用設備等(第一号から第三号まで及び第八号に掲げる消防用設備等については電源、水源及び配管の部分を除き、第四号から第七号まで及び第九号から第十号までに掲げる消防用設備等については電源の部分を除く。)又は必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等若しくは特殊消防用設備等(これらのうち、次に掲げる消防用設備等に類するものとして消防庁長官が定めるものに限り、電源、水源及び配管の部分を除く。次項において同じ。)の設置に係る工事とする。
一 屋内消火栓
二 スプリンクラー設備
三 水噴霧消火設備
四 泡消火設備
五 不活性ガス消火設備
六 ハロゲン化物消火設備
七 粉末消火設備
八 屋外消火栓設備
九 自動火災報知設備
九の2 ガス漏れ火災警報設備
十 消防機関へ通報する火災報知設備
十一 金属製避難はしご(固定式のものに限る)
十二 救助袋
十三 緩降機
消防設備士以外でも整備することができるもの
消防設備士以外でも可能な整備 |
屋内消火栓の表示等の交換 |
屋内・屋外消火栓のホース又はノズルの交換 |
ヒューズ類、ネジ類などの部品交換 |
消火栓箱、ホース格納箱などの補修 |
その他これらに類するもの |
上記の項目は消防設備士でなくても整備することが可能とされています。消防設備士、消防設備点検資格者を取得していない方でも作業を行うことができます。
無資格者が施工して後々問題になるパターン
資格のない人が消防設備業務を実施したらどうなるでしょうか。
設備を自前で設置したけれど無資格者であったため設置の届出ができない、ということが起こります。後々無資格者が設置したということが発覚することがあります。それはどのような場合かと言うと、、
設備設置後、消防設備点検や消防の査察が入った場合です。消防設備点検は半年に1度実施される法定点検で、特定用途の場合は年1回、非特定用との場合は3年に1度消防署や市町村に報告する義務があります。
参考:特定用途と非特定用
設備が入れかわると報告書のデータも新しい設備機器データに更新されます。点検データでは更新されているのに、設備の設置届出がされていない場合は管轄の消防署より確認の連絡が来ることがあります。そこでインタビューで発覚といった流れです。あとあとトラブルになることが想定されるので有資格者の施工、届出が必須になります。
おすすめ参考書
参考:消防法施行令