前回は、どのような場合に消火器の設置が必要になるか?について書きました。
振り返ってみると、『必ず設置が必要な用途』、『延べ面積150㎡以上で必要な用途』、『延べ面積300㎡以上で必要な用途』の 3つのグループに分けました。属するグループの面積に該当すれば設置が必要になり、該当しなければ不要になりました。
また、『無窓階』『地下』『3階以上』は上記の基準ではなく、すこし厳しい基準が適用されました。グループ1で『必ず設置』で変化なし。グループ2、グループ3はどちらも『床面積50㎡以上』という基準になっています。
前回の学習:乙種6類を取得しよう①
乙6の学習
3.消火器を何本設置するか?『単位面積』『今回』
4.消火器を何本設置するか?『消火器の能力単位』『今回』
5.消火器の付加設置が必要な場所について
6.消火器の歩行距離と設置する高さ
6.消火器の種類と適応性
7.火災の種類『A火災・B火災・C火災』
8.大型消火器について
9.能力単位を減らせる場合
10.自動車用消火器について
11.消火器の放射能力
12.使用温度・耐食・厚さ
13.キャップ・プラグ・パッキン
14.ホース・ノズル・ろ過網
15.安全弁・使用済表示など
16.携帯運搬装置・安全弁など
17.圧力調整器・指示圧力計
18.加圧源ガス・その他内部部品
19.本体塗料・表示について
20.消火器の内筒
21.二酸化炭素充填比率
22.本体塗色・表示について
③ 消火器を何本設置するか?『単位面積』 ※超重要
消火器を何本設置するかどうかは『単位面積』から『能力単位』を求め計算していきます。まず単位面積は下記の図の通り設定されています。
Aグループ |
劇場・キャバレー・パチスロ・風俗・カラオケ・個室ビデオ |
Bグループ | 集会場・飲食店・百貨店・物販・旅館・共同住宅 病院・助産所・デイサービス・特別支援学校 蒸気浴場・一般浴場・工場・スタジオ・車庫・倉庫 |
Cグループ | 学校・図書館・車両停車場・神社・事務所・美容師 その他の事業所(令別表第一15項) |
単位面積について
単位面積は各グループに設定されている面積のことで
消火器を何本設置するかどうかを確認していくためには『必要能力単位』を知る必要があります。必要能力単位は、①②で学習したグループ分けの『単位面積』で定められているので、計算して算出していきます。③のチャートを見れば簡単に分かりますのでご参照ください。
必要能力単位 = 延床面積または床面積 ÷ 単位面積
『単位面積』は下記の通りです(原則)
単位面積【原則】
Aグループ | 50㎡ 【単位面積】 |
Bグループ | 100㎡ 【単位面積】 |
Cグループ | 200㎡ 【単位面積】 |
建物の構造により単位面積が変わる※超重要
建物が燃えにくい構造で作られている場合は単位面積が変わります。燃えにくく、安全性が高いので通常よりもユルくてもいいですよ、という理由で面積基準が2倍に設定されています。
燃えにくい構造とは
- 主要構造部が耐火構造 かつ、
- 壁・天井・室内の仕上げが難燃材料のもの
である必要があります。どちらの条件にも該当していなければダメです。難燃材料は燃えにくいものであり、その中には『準不燃材料』『不燃材料』も含みます。難燃材料以上であればOKということになってます。
主要構造が耐火で難燃材料の場合の『単位面積』
Aグループ |
50㎡ → 100㎡ 【単位面積】 |
Bグループ | 100㎡ → 200㎡ 【単位面積】 |
Cグループ | 200㎡ → 400㎡ 【単位面積】 |
④ 消火器を何本設置するか?『必要な能力単位』※超重要
たびたびですが、わかりやすくするためにチャートを貼っておきます。
必要な能力単位について
単位面積が分かったので次に『必要能力単位』について書いていきます。必要能力単位は建物の用途と面積でどのグループに属するかを求めると『単位面積』が出てきます。単位面積で実際の面積で割ることにより、『その建物自体に必要な能力単位』を求めることができます。
例:床面積が3000㎡の劇場の能力単位を求めよ
- 建物は耐火構造
- 内装仕上げ材料を不燃材料としている
- 上記の条件により単位面積は『100㎡』
この建物の場合は複合用途防火対象物『16項イ』で、それぞれ用途が異なっています。そのため、ABCのグループもバラバラであります。このような場合は各用途の単位面積にて算定していくことになります。
- 劇場はAグループのためすべてに消火器が必要
- Aグループの単位面積は『50㎡』
- 耐火構造で内装が不燃のため『50→100㎡』にアップグレード
床面積が『3,000㎡』で単位面積が『100㎡』であるので
3,000㎡ ÷ 100㎡『単位面積』 = 30 『必要能力単位』
ということになります。
必要な能力単位について少しだけ説明すると、
消火器は各々に『能力単位』が設定されています。画像では『A-3』『B-7』『C』と記載されています。ABCは火災の種類を指し『A・普通火災』『B・油火災』『C・電気火災』となっています。
この数値をもとに消火器の本数を確定させていくことになります。能力単位が『30』、画像消火器の能力単位『A火災(普通火災)の能力単位が3』のため、今回のケースではこの消火器が『10本以上必要』ということになります。
例2 床面積が1,000㎡の図書館『Cグループの場合』
- 床面積が『1,000㎡』
- 耐火構造ではない
- 上記の条件で単位面積は『200㎡』
この場合はさきほどと同様に
- 図書館はCグループに属するため『300㎡以上』で設置義務
- 耐火構造でないため単位面積『200㎡→☓400㎡』アップグレードなし
1,000㎡ ÷ 200㎡『単位面積』 = 5 『必要能力単位』
耐火構造で内装仕上げを難燃材料とした場合
- 図書館はCグループに属するため『300㎡以上』で設置義務
- 耐火構造でないため単位面積『200㎡→400㎡』アップグレード
1,000㎡ ÷ 400㎡『単位面積』 = 2.5 『必要能力単位』
以上、ざっくりですが消火器の必要本数についてご理解いただけたかと思います。
まとめ
- 『必要能力単位』を求めるために『単位面積』を確認する
- 必要能力単位がわかったら『該当用途の面積』で割る
- 『用途の面積』÷『単位面積』=『必要能力単位』となる
- 消火器の本体に消火器の能力単位が記載されている
次回は⑤消火器の付加設置が必要な場所・⑥消火器の歩行距離と高さについて書いていきたいと思います。