自動火災報知設備と非常放送
自動火災報知設備と非常放送は消防法では同じ【警報設備】に属しています。火災信号をキャッチして周囲に火災を周知させるための自動火災報知設備、館内の人々へ音声やサイレンで危険を知らせる非常放送設備。いずれも音響で警報を発する設備であります。
火災が発生した場合、まず火災感知器が煙や火を感知し火災信号を受信機に送ります。そうなると建物内部に「火災ですよ」ということを教えるためにベルやサイレンが鳴り響くことになります。その音響の鳴動方法がベルなのかサイレンなのかは設置している設備の組み合わせで決まります。
火災受信機と非常放送は連動させることができ、あらかじめ設定しておけば、どのエリアの火災感知器が作動したのかを自動音声警報で教えてくれます。
『只今3階の火災感知器が作動しました。確認しておりますので・・・』
『火事です、火事です。ただいま3階で火災が発生しました』
音声警報の例
警報をベルで鳴らすか放送で鳴らすか
火災警報を発する場合は非常放送を連動させる場合とそうでない場合があります。非常放送の設置がある場合は火災受信機との連動方式を取ることが多いですが、連動させないければいけないということはありません。実際に、自動火災報知設備のベルで鳴動させるけど非常放送も設置しているという物件もあります。
簡単にいうと『非常放送設備』の設置がある無しで決まります。
- ベルで鳴らす場合 --- 火災受信機が出力する
- 放送で鳴らす場合 --- 非常放送が出力する
非常放送があるかないか
非常放送設備の設置基準
1項イ 劇場 1項ロ 集会場 | 収容人数300人以上 |
2項イ キャバレー 2項ロ 遊技場 2項ハ 性風俗関連 2項ニ カラオケボックス等 | 収容人数300人以上 |
3項イ 料理店 3項ロ 飲食店 | 収容人数300人以上 |
4項 物販 | 収容人数300人以上 |
5項イ 旅館・ホテル 5項ロ 共同住宅 | 収容人数300人以上 収容人数800人以上 |
6項イ 病院等 6項ロ 老人短期入所施設等 6項ハ 老人デイサービス等 6項ニ 特別支援学校 | 収容人数300人以上 |
7項 学校等 | 収容人数800人以上 |
8項 図書館等 | 収容人数800人以上 |
9項イ 蒸気浴場等 | 収容人数300人以上 |
16項イ 複合用途【特定用途】 | 収容人数500人以上 |
16項ロ 複合用途【非特定用途】 | 各用途部分に応じて設置 |
16の2、16の3 地下街、準地下街 | 全部必要 |
上記に該当しない場合は非常放送設備の設置義務がありません。設置がない場合は自動火災報知設備のベルで火災を周知させることになります。
関連記事:非常警報の設置基準
放送内容がはっきり聞こえるようにするための措置【カットリレー】
非常放送は避難誘導のための大変重要な設備になります。一つ間違えると人命に関わり最悪な結果になってしまこともあり確実に放送内容を聞き取れるようにすることが必要になります。放送中は余計なBGMなどの音響を停止させるために『カットリレー』を設置します。カットリレーが作動することにより音響を強制的に停止させることができます。この装置は各入居テナント内に設置されていることが多いです。
関連記事:非常放送カットリレー工事で気をつけること
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まとめ
- 火災周知はベル(ゴング)式とサイレン方式がある
- 火災報知設備の場合はベル(ゴング)
- 非常放送設備の場合はサイレン、自動音声警報
- 非常放送には設置基準がある
- 放送内容が聞こえるようにカットリレーを設置する