防火管理者・統括防火管理者の責務と任務遂行のための役割【消防法3条の2・4条の2】

防火管理者・統括防火管理者の責務と任務遂行のための役割【消防法3条の2・4条の2】

防火管理者の責務とは

ある一定規模の建物や入居するテナントには「防火管理者」を選任することになっています。防火管理者は防火に関する重要な役割を持つものとして、様々な責任を担い、どのように任務を遂行するかが消防法3条の2に記されています。

統括防火管理者は複数権原が存在するテナントビルなどで、各々の防火管理権原についてとりまとめます。防火管理者と統括防火管理者の責務については基本的に同じです。

消防計画の届出

防火管理者講習を受講すると「修了証」が発行されます。この時点ではまだ防火管理者ではありません。防火管理者は管轄の消防署に届出を行った後防火管理者となります。このときに行う届は「防火管理者選任届」といいます。

このとき並行して「消防計画」の作成、届出を行う必要があります。消防計画は火災や震災時に身の安全を守るための計画です。消防法では防火管理者が消防計画を作成し届け出ることが義務付けられています。

統括防火管理者は「全体の消防計画」を作成、届出を行います。

消防計画の記載されてる事項の実施

作成した消防計画の内容に従って次のことを行わなければなりません。

防火管理者が実施すること
  • 消火、通報、避難訓練を実施
  • 消防設備、消防用水、消火活動上必要な施設の点検整備
  • 火気の使用、火の取り扱いに関する監督
  • 避難、防火上必要な構造の設備の維持管理
  • 収容人員の管理
  • その他防火管理上必要な業務

これらは予め消防計画に記載されている項目です。消防計画の内容を確実に実行するために防火管理者は防火管理に関連する業務を行う必要があります。

防火管理者の仕事について

権限者に対する指示の求め

防火管理者は重要な役割を担っていますが、すべて自分自身で決断、行動できるわけではありません。そのようなときは建物所有者や、テナントの権原者に指示を求め防火管理上必要な業務を行うことになっています。防火管理者が主体となって能動的に動くことが重要視されています。

業者や担当者への指示

防火管理者は消火栓、スプリンクラー、自動火災報知設備、非常放送、避難器具などの消防設備の点検を実施します。これらは専門の業者を手配して実施することが一般的となっており、防火管理者がその監督を行うときは必要な指示を与えなければなりません。

また火の使用や取扱いについて監督を行うときにも防火管理者が必要な指示を与えなければなりません。

根拠法令

(防火管理者の責務)
第三条の二 
防火管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防火対象物についての防火管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。

 防火管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防火対象物について消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わなければならない。

 防火管理者は、防火管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防火対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない。

 防火管理者は、消防の用に供する設備、消防用水若しくは消火活動上必要な施設の点検及び整備又は火気の使用若しくは取扱いに関する監督を行うときは、火元責任者その他の防火管理の業務に従事する者に対し、必要な指示を与えなければならない。

(統括防火管理者の責務)
第四条の二 
統括防火管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防火対象物の全体についての防火管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。

 統括防火管理者は、前項の消防計画に基づいて、消火、通報及び避難の訓練の実施、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設の管理その他当該防火対象物の全体についての防火管理上必要な業務を行わなければならない。

 統括防火管理者は、防火対象物の全体についての防火管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防火対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない。

e-gov:消防法

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