屋内消火栓の種類と性能の違いについて説明します【1号・易操作性1号・2号・広範囲型2号・パッケージ型】

屋内消火栓の種類と性能の違いについて説明します【1号・易操作性1号・2号・広範囲型2号・パッケージ型】

屋内消火栓は大きく分けて『1号消火栓』『2号消火栓』の2タイプが存在しています。ものすごく簡単に言えば放水量が異なり、1号は2号よりも放水量が大きく性能が高いといえます。

1号、2号の2種類の他に『易操作1号消火栓』『広範囲型2号消火栓』がラインナップに加わりました。さらに、水源工事やポンプなどの設置が不要な『パッケージ型消火設備』も追加されています。

今回は簡単にそれぞれの違いについて書いていきます。

屋内消火栓の種類

消火栓ポンプ
消火栓ポンプ

消火栓は次の種類があります。

  • 1号消火栓
  • 易操作性1号消火栓
  • 2号消火栓
  • 広範囲型2号消火栓
  • パッケージ型消火設備 (※屋内消火栓設備ではありません)

それぞれの特徴について簡単に書くと下記の通りです。

1号消火栓

標準的な消火栓
易操作性1号消火栓 1人で操作できる1号消火栓
2号消火栓 1号消火栓よりややダウングレード
広範囲型2号消火栓 2号消火栓をややアップグレード
パッケージ型消火設備 パッケージ型の消火栓 水源・ポンプ不要

性能の序列を書いていきますと、

1号消火栓 > 易操作性1号消火栓 > 広範囲型2号消火栓 > 2号消火栓 > パッケージ型消火設備

という性能の順番になります。この性能序列は吐出放水量が大きい順で、1号消火栓がより多く放水することができます。

参考記事:屋内消火栓の設置基準・どのような建物に設置が必要か?
参考記事:易操作性消火栓とは【いそうさせいしょうかせん】

基本的な性能の違いについて

消火栓ポンプ性能試験

  1号 易操作1号 広範囲2号 2号
放水量 130L/分以上 80L/分以上 60L/分以上
放水圧力 0.17MPa~0.7MPa 0.17MPa~0.7MPa 0.25MPa~0.7MPa
警戒範囲 25m 15m
ホースの種類 折りたたみ 保形ホース
ホース長 15m×2 30m×1 20m×1
操作人数 2人 1人
水源水量 2.6㎥×
消火栓個数
(最大2基)
1.6㎥×
消火栓個数
(最大2基)
1.2㎥×
消火栓個数
(最大2基)

各消火栓にはこのような性能の違いがあります。建物の用途やサイズによって、適正なモノを選択していくことになります。ただし、設置に関して1つだけルールがあり、1号消火栓・易操作性1号でなければダメな用途があります。

1号・易操作性1号でなければ設置不可の用途

1号消火栓を設置しなければならない用途は、

  • 工場
  • 倉庫
  • 指定可燃物貯蔵所、取扱所   です。

これらの用途で消火活動を行う場合、よりたくさんの水を使用する必要があるため、2号消火栓・広範囲2号は設置できないという決まりになっています。そのため工場、倉庫、指定可燃物関連施設では1号消火栓を使用します。

ホースの種類の違い

屋内消火栓
折りたたみ平ホース
補助散水栓
保形ホース

消火栓ホースは折りたたんで収納されているホースと水路が形状記憶してある保形ホースがあります。1号消火栓では2人で操作することを想定しているため、1人がホースを最後まで引き延ばした後、もう1人が放水バルブを開放する操作を行います。

1号消火栓以外の易操作型、2号、広範囲2号では、ホース引き延ばしからバルブ開放までの操作を1人で行うため、保形ホースを使用します。

操作する人数の違い

易操作ノズル
易操作ノズル

1号消火栓は2人で操作しますが、それ以外の消火栓は1人で操作が可能です。なぜ1人で操作できるかというと、1号消火栓以外のホースノズルにはバルブが設置されているからです。

消火栓は押しボタン(発信機)を押すことで消火栓ポンプを遠隔起動します。ポンプが動いたら押しボタンの横の表示灯が点滅します。この点滅はフリッカーとよばれポンプ起動中を示します。

消火栓バルブ
消火栓開閉バルブ

次に消火栓箱についているメインバルブを開けます。このバルブを開くとホーズ先端まで水が送り込まれます。1号消火栓の場合、ホースノズルが空洞になっているためそのまま水が外に流れていきます。

易操作1号、広範囲2号、2号消火栓場合、消火ノズルの先端にはバルブが設けられており、ポンプ起動操作後消火栓箱のバルブを開いてからホースを引っ張り出します。この状態では先端のノズルで水がストップしています。

火元に近づきながら徐々にバルブを開放することで1でも放水活動を行うことができます。

パッケージ型消火設備について

パッケージ型消火設備
パッケージ型消火設備

消火栓設備の代替としてパッケージ型消火設備が設置される場合があります。パッケージ型は設置できる条件が消火栓と比べ大きく絞られますが、条件に合う場合は低コストで設置することが可能になります。

パッケージ型消火設備は、消火栓が1つのユニットになっているため、水源、ポンプ、配管、補助水槽の設置工事が不要で、大がかりとなる配管、給水、ポンプがらみの電気関連工事を省略することができます。

パッケージ型消火設備には1型と2型があります。

Ⅰ型・Ⅱ型スペックの違い

  Ⅰ型 Ⅱ型
ノズル 棒状/棒状・霧状切り替えできるもの
ホース長 25m以上 20m以上
放射時間(20℃時) 2分以上 1分30秒以上
放射距離 棒状で10m以上

強化液 40L/分以上 40L/分以上
第1種機械泡 40L/分以上
第2種機械泡 24L/分以上
第1種潤滑剤等入水 40L/分以上
第2種潤滑剤等入水 24L/分以上
第3種潤滑剤等入水 16L/分以上
充填された消火薬剤を90%以上放射できるものであること

消火薬剤の量

消火薬剤の量

強化液 200L 以上 60L 以上
第1種機械泡 200L 以上
第2種機械泡 120L 以上
第1種潤滑剤等入水 200L 以上
第2種潤滑剤等入水 120L 以上
第3種潤滑剤等入水 80L 以上

参考記事:パッケージ型消火設備を設置しよう!

まとめ

  • 1号消火栓は消火栓の中でもハイスペック
  • 1号消火栓は全用途で使用できる
  • 2号消火栓は工場、倉庫、指定可燃物関連施設には設置できない
  • 1号消火栓は2人操作だが、1号以外では1人で操作が可能
  • 条件により消火栓を設けずにパッケージ型消火設備を使用できる場合がある

 

参考:消防法

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