消防設備の中で最もメジャーな設備に消火栓があります。消火栓を起動させると消火ポンプが起動し加圧された消火用水を勢いよく放出することができます。
消火栓にはバルブが設置されており、通常2人~3人で操作するように設計されていいましたが、技術の進化により1人でも簡単に使用できる易操作性消火栓が開発されました。また、1998年より使用されています。
現在では広く使用されており目にする機会が非常に多くなってきています。今回は簡単に易操作性消火栓について書いていきます。
易操作性消火栓
易操作性消火栓は書かれているとおり、操作を易しくした消火栓です。どのように易しいかというと、1人でも簡単に操作することができるという易しさです。その前に従来の消火栓との違いがわからなければ説明が難しいので、その点についてまず触れていきます。
従来の消火栓との違い
消火栓はBOXからホースを引き延ばし、BOXに設置されているバルブを解放して使用します。ホースを持った状態で操作することも可能ですが、ホースがよれていたりすると、水路が遮られ適切に放水できなくなるため、どうしても2名以上が必要になります。その問題をクリアするためにホース、ノズルが改良され1名で操作が可能となりました。
ホースの改良
ホースは保形ホースとよばれる筒状に保たれたホースを使用しています。保形ホースを消火栓箱から引っ張り出しても、元から筒状に保たれているため、よじれることがなく、水路を確実に確保することができます。
消火栓以外では、スプリンクラーの補助散水栓で使用されています。
ノズルの改良
消火栓ノズルは一般的にテーパーがかった空洞で筒状のものが使用されています。易操作型の消火栓ではノズル自体に開閉機構が設けられています。消火栓は消火栓箱のメインバルブを開けると勢いよく水が出てきます。
従来の消火栓では、ノズルが空洞で筒状のためバルブを解放するとそのままノズルから水が出ていきます。ノズルに開閉機構があると、一旦ノズルでストップするため、メインバルブを解放した後にノズルを開くことで、確実に1人でも操作することができるようになります。
その他の改良
消火栓を使用するためには、まず消火栓ポンプを起動させなければいけません。起動は自動火災報知設備の発信機を押すことにより行います。
最近では発信機を押すことなくバルブを解放するだけで消火栓ポンプを遠隔起動させる製品があります。発信機内蔵タイプの放水バルブなので、2つの行程を1動作で行います。
バルブ本体と自動火災報知設備が電線で接続され、バルブを解放するとポンプ起動信号をおくる仕組みになっています。
使用方法手順
- 消火栓箱を開ける
- メインバルブを解放し、同時にポンプ起動を確認
(ポンプが起動したら表示灯が点滅する) - ホースを消火栓箱から引っ張り出す
- ノズルバルブを解放し放水を開始する
消火栓の使用手順は、消火栓箱を開けると書いてますが、日頃の訓練で確認し手置くことをお勧めいたします。
参考:消防法施行令 消防法施行規則
屋内・屋外消火栓を起動する方法について
易操作性消火栓の水抜きには変換継手が便利