自動火災報知設備を初めとする消防設備は365日、年中無休で稼働し続けています。常に施設を監視し、生命を火災、災害から守ってくれています。そんなタフな機器でも、使用し続けることにより経年劣化し、適切に作動しなくなってしまい。定期的なメンテナンスや、リニューアルが必要になります。
消防設備のリニューアル時期は、法令により決まっているわけではなく、おおよその期間を目安として実施されています。自動火災報知設備の場合ですと、日本火災報知器工業会の推奨するおおよその期間は下記のとおりです。
火災受信機 | 15年 |
火災受信機・・・電子機器を多用していないもの | 20年 |
煙感知器 | 10年 |
熱感知器【半導体式】 | 10年 |
熱感知器 | 15年 |
発信機 | 20年 |
地区音響装置 | 20年 |
各機器にはおおよその更新目安が示されています。個人的な感想ですが、定期的に点検やメンテナンスをしていれば、示された期間より長く使えるであろうと考えております。
設置状況が悪かったり使用状況に問題があるような場合では劣化が早まりますので、この交換時期指標を目安にリニューアルをご検討いただければよいかと思います。
火災受信機 リニューアル目安【15年・20年】
火災受信機は自動火災報知システムを制御する装置であります。この装置により火災信号を入力し、各箇所に設置している非常ベルを鳴らすための制御を行います。また、警備会社、エレベータ停止、電気錠解除などを火報連動で各種装置を動かす役割があります。
旧式のリレー装置を多用している火災受信機は20年が交換目安とされています。また、現行の受信機は電子部品を使用しているため15年が交換目安となっています。
劣化しやすい環境
- 湿気が多い場所に設置されている
- 開放廊下などの風通しの良い場所に設置されている
- 共用部に設置され、人の目に触れやすい場所に設置されている
湿気が多い場所や風通しの良い場所は非常に劣化しやすい環境といえます。湿度で受信機内部のリレーや基盤が腐食したり、ホコリやチリが溜まりやすいため誤作動を起こす原因になります。対策としては防水ボックスを設けたり、頑丈のストロングタイプの火災受信機を使用することが挙げられます。
感知器類 10年【煙感知器・半導体の熱感知器】
煙感知器と半導体式の熱感知器は10年が交換目安とされています。煙感知器劣化が進むと、反応速度が早くなったり、反応しなくなったり。煙感知器は内部にLED光を飛ばし、光に煙がぶつかり光を反射して受光部でキャッチし作動します。
半導体の熱感知器もサーミスタを使用し電子部品により熱を感知します。劣化することでうまく機能しなくなることがあります。これらの火災感知器は10年が交換目安となっています。
熱感知器 リニューアル目安【15年】
定温式スポット型・差動式スポット型感知器はバイメタルやダイヤフラムの金属特性を使用した仕組で、基盤などは搭載されていません。これらの感知器の目安は15年とされています。
発信機 リニューアル目安【20年】
発信機は手動で起動させる火災報知器です。ボタンを押し起動させることによりベルを鳴ります。また消火栓の設置がある建物では、消火栓ポンプの遠隔起動ボタンも兼ねています。
消防設備点検時に発信機ボタンを押して実際に起動させるチェックを行いますが、未点検でボタンを押すことなく長年そのまま放置されてしまうと、固くなって上手く押し込めなくなります。また、ボタンを押しても復旧しなくなる(ボタンがもとにもどらなくなる)場合があります。発信機の交換は20年が目安となっています。
非常ベル リニューアル目安【20年】
非常ベルは『地区音響装置』と呼ばれています。火災時、火災受信機よりDC24Vが送り込まれその電圧を利用してゴングベルを作動します。劣化すると、ゴングを鳴らすためのモーター機構がうまく作動しなくなります。そのような状況になると『音が弱くなる』や『空回りして音が鳴らなくなる』といった状態になります。非常ベルは発信機と同様に20年がリニューアルの目安となっています。
リニューアルのご相談を承っております
弊社にて消防設備のリニューアルを承っております。設備についての号不明な点、ご相談などございましたらご遠慮なくお問い合わせのほどよろしくお願いいたします。
まとめ
自動火災報知設備は設置状況やメンテナンス状況により使用できる年数が変わってきます。短期間で劣化することもありますが、交換目安を過ぎてはいるけれど使用できるということもあります。
突然設備が故障してしまった場合、改修までの時間がかかり、その間は未警戒状態になるため大変危険であります。また長年使用していると交換部品がなくなることもあるため、計画的な交換が望まれます。