屋内消火栓を移設してみた!【撤去から届出まで】

屋内消火栓を移設してみた!【撤去から届出まで】

消火栓移設

とある事情により既存の消火栓ボックスを移設することになりました。ボックス内部には消火栓ポンプから伸びてきている配管と配管に接続されたホースが格納されています。

また、消火栓ボックスにはポンプを起動させるための発信機が内蔵されているため、ボックスを撤去する場合には配管類と自動火災報知設備の同時施工が必要となります。

今回は簡単にですがその模様を記事にしてみたいと思います。

消火栓を移設してみた

まず消防設備を施工する場合は事前に消防署への届出が必要になります。この届出は着工届と呼ばれ、事前に法令に適合している施工かどうか、現場と官庁との認識の違いがないか等を確認します。

着工届の提出は原則必要となりますが、例外があります。それは軽微な工事に該当する場合はこの届出を省略することができます。詳しくは別記事に記載しておりますので下記リンクをご参照ください。

参考記事:消防設備の着工届が省略できる軽微な工事

軽微な工事の一例

軽微な工事一例
各設備ごとに基準が異なる

今回の施工は、同一警戒範囲内の移設であるため軽微な工事に該当します。そのため着工届を省略できます。着工届を省略した場合は各種試験データ、図面、使用機器類を記した「設置届」を届出します。設置届により事後審査することになります。

水抜きと自火報幹線を切り離し

消火栓撤去後
消火栓撤去後

消火栓ボックスを撤去するために、事前準備として配管内部の消火用水を抜き取り自動火災報知設備の幹線を切り離します。

配管の水を抜かず配管の消火水を冷凍させて施工する方法もあるようですが、今回の施工では水を抜き取ります。抜き取った後、既存配管からさらに延長し移設先までのばしていきます。また水抜き作業前に屋上の高架水槽仕切弁を閉めておきます。

配管、配線は埋設工法が一般的です。今回は既存改修工事であり、最小限度の補修で済むように一部露出配管にて施工することになりました。

配管と配線を移設先まで延長する

天井内部配管

天井内部配管

既存改修であっても隠せるところは隠したいという思いで施工しております。今回はある程度天井に懐があったので比較的長めの配管を天井裏に入れることができました。

天井が浅いと長い配管を天井裏に上げることができません。そのようなときは短い配管をいくつも接続延長して施工することになり、大変手厳しい作業になってしまいます。

天井裏イラスト

配管・ボックスはアンカーで固定

長い打ち込み棒

配管やボックスはある程度重量があるためアンカーで固定します。現状すでに仕上がっている壁があり、アンカーが打てる躯体までは少し距離があります。そのような時は超ロングドリルと打ち込み棒を使用します。

ロングドリル

設置準備が整ったらいよいよ最終取付け

消火栓固定

先に打ち込んだアンカーに消火栓ボックスと配管をがっちりと固定します。ボックスは箱内部からアンカー固定しています。ちょっとやそっとでは動きません。上部の発信機周りも自火報幹線を元の場所から延長し接続します。この工程が完了したら作業は終了となります。

配管塗装

開口補修と配管塗装は別の専門の方にやっていただきました。

設置が完成したら通常の警戒状態へ

設置が完成したら通常の警戒状態に戻します。施工中配管内部は空になっていたので消火栓ポンプを使用し徐々にやさしくエアを抜きながら水を送り込みます。高架水槽の仕切弁も元通り開けておきます。

次に自動火災報知設備及び発信機の試験を行います。ボタンを押し消火栓ポンプが起動するか? 電話機能が使えるか? 火災発報するか? また即時発報するかなど、消防署提出が必要なデータを記録していきます。

記録したデータは施工完了後4日以内に提出する「設置届」に必要になります。また、後日実施される消防署立会い検査時に消防官の前で試験を行い、提出したデータが正確であるかどうかを確認します。

まとめ

  • 施工前に着工届を提出
  • 着工届は省略できる場合がある
  • ボックス撤去前に水抜きと自火報幹線を切り離す
  • ボックスと配管はアンカーで固定する
  • 設置後各種試験を行い設置届を作成提出する
  • 後日消防官の前で実際に試験をする

参考:消防設備の着工届が省略できる軽微な工事  消防法

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