自動火災報知設備は『火災受信機』『総合盤・機器収容箱』『火災感知器』の3つの機器類で構成され、各設備間は配線で接続されています。※無線式の場合、総合盤~感知器間は無線、火災受信機~総合盤間は有線による接続。
総合盤の結線については、消防設備士甲種4類の実技試験(製図)で出題されるため理解しておくことが必須です。今回は簡単に結線について書いてみたいと思います。ぜひ消防設備士試験に役立てていただければいいなと思います。
各配線の役割
自動火災報知設備の回路は下記の配線によって決められています。メーカーによって記号の名称はまちまちですが配線の機能は同じであります。
ベル+ | ベルを鳴らす線 | B・BL |
ベル- | ベルを鳴らす-線 | B-・BC |
ランプ+ | 表示灯用 | PL・U1 |
ランプ- | 表示灯用-線 | PLC・U2 |
電話 | 電話線(共通線とペア) | T |
応答 | 蓄積解除用・消火栓起動(共通線とペア) | A |
共通 | 電話線・応答線・火災感知器警戒線とベア | C |
火災感知器警戒 | 各エリアの火災感知器を警戒(共通線とペア) | L1・L2・Ln |
これらの配線は『火災受信機』~『総合盤』間で端子接続します。
ベル線【B】
ベル線はベルを鳴らすための配線で、プラス線とマイナス線のペアで使用します。通常この回路に電圧はかかっていません。火災感知器が作動したときに火災受信機からこのベル線に電気が流れベルを鳴らします。通常DC24Vが流れます。
非常放送設備連動で非常放送をベルの代わりに使用するシステムの場合は、このベル線を省略することがあります。その場合はベルが総合盤にありません。もし総合盤を覗いてベルがないな??という場合は非常放送連動型のシステムを採用していると考えられます。
ランプ線【P・U】
ランプ線は表示灯を光らせるための配線です。この配線もベル線と同様に専用の+-線を使用しています。この配線には通常AC24V、AC12Vが流れています。
この線がショートしてしまったら、火災受信機内部のヒューズがハジけ、接続しているランプを一斉に消してしまいます。電球やLEDランプは正常なのに点灯しないという場合は、受信機内のヒューズが飛んでいる可能性が考えられますのでチェックしてみるとよいでしょう。
電話線【T】【P型2級にはありません】
電話・テレフォン線は共通線とペアで使用します。総合盤の発信機には電話ジャックを差しこむ穴が空いています。
受信機側にも電話を差す穴があり、2台の電話機で相互の会話が可能になります。最近の受信機にはマイク内蔵型のものがあり、受信機に電話を差すことなくそのまま話せるタイプのものもあります。
消防設備士試験ではよく出題されていますが、P型2級に電話機はありません。P型2級に電話回路は不要とおぼえてください。
応答線【A】
応答・アンサー線は発信機に接続するために使用します。発信機は人間が火災を発見して押すためのものなので、押したらすぐに火災信号を出力する必要があります。そのために火災感知器で使用している蓄積機能を解除してやる必要があります。発信機を押せば同時にA-C回路がショートし蓄積機能を解除します。
また、応答線は消火栓の起動装置の役割を果たしています。発信機を押すことで消火栓ポンプを遠隔起動することができるようになります。発信機に接続されているA線が断線している場合、消火栓は起動しません。
発信機を押すと火災受信機で『発信機』の表示が点灯します。
共通線【C】
共通線・コモン線は『電話線』『応答線』『火災感知器回路線』の相方として使用されます。そのため共通線【com】と呼ばれています。共通線が断線するとさまざまなエラー信号が火災受信機に表示されます。
火災感知器回路【L】
火災感知器回路・L線は総合盤~火災感知器間で使用します。相方には先程出てきたC線を使用します。L線とC線がショートすると火災発報し、火災受信機内部でベル回路【B】に電圧がかかりベルを鳴らします。
Lは火災受信機の回線数により回路数が変わってきます。例えば【P型2級3回線】の場合はLが3回路、【P型1級10回線】はLが10回路になります。R型に回路数はありません。
C1・L7ルール
消防設備士試験の必須項目である『L7・C1ルール』というものがあります。これは共通線『C』1回路に付き、火災感知器回路『L』は7回線まで使用してOKという決まりになっています。なのでLを8回路使用したら、Cは2回路必要になります。7回路を超えなければC線は1本でOKです。
覚え方
C1 カープ背番号1 鈴木 | L7 ライオンズ背番号7 松井 |
C1 カープ背番号1 前田 | L7 ライオンズ背番号7 片岡 |
C1 中日背番号1 種田 | L7 ライオンズ背番号7 石毛 |
などなど、自分の好きな選手で覚えるとよいでしょう。
配線経路のイメージ
覚えることは『C』『L』の関係で、Lは7回路まで使用できるということです。L8からはC2をペアにすればOKです。
まとめ
- 消防設備士4類に出題される総合盤について書いてみた
- TはP型2級には付いていない(不要)
- Aは蓄積解除と消火栓がある場合は遠隔起動用として使う
- CはL7回線まで使用できる