居抜き店舗物件で必要な消防申請と消防設備の工事

居抜き店舗物件で必要な消防申請と消防設備の工事

居抜き物件の消防各種申請

スケルトン現場

居抜き物件の最大の魅力は何といっても初期コストを圧倒的抑えられること。設置されていた設備や備品をそのまま使うことによりイニシャルがかかりません。間仕切りなどの部分的な工事がなければ消防設備を移設したり増設工事もする必要がないため、当然に消防設備の届出申請も不要になります。

何にもない状態から店舗を作っていくスケルトンはすべて自前でそろえる必要があるため居抜きと違って凝った分だけ費用がかさんでしまいます。

消防設備に関しては、延べ面積が大きくなればなるほど装備されている設備数が増え、移設や増設をした消防設備は当然消防署へ申請する必要があります。費用面でも間仕切りが多ければ多いほど不利になってきます。資金力が潤沢にあるよという方は問題ないのでしょうが、居抜き物件と比較検討されているような場合は当然金額が別世界と感じてしまうのではないでしょうか。

居抜き工事で必要な消防申請と種類

内装工事現場

消防署へ申請する書類は3つのカテゴリーに分かれます

申請書類は入居者記名で届出をするため届出者は入居者ということになりますが、書類自体は専門性が高く各業者が申請書類を作ることが一般的になっているためここでは担当する業者ということで書いております。

届出の種類 担当する業者(原則) 届出書類
建築・内装の届出 建築内装業者 工事計画届・使用開始届
消防設備の届出 消防設備業者 着工届・設置届
防火管理の届出 テナントを使用する者 防火管理者選任届
消防計画

◆建築・内装の届出【必要】

1つ目は内装工事業者または設計者が担当する届出になります。
工事をする7日前までに『工事計画届』を提出します(東京)。この書類は「どのような材料を使って、これこれこんな感じで間仕切りをたてて仕上げていきます」というような設計書になります。次に『使用開始届』を提出します。

※工事前の言った言わないや、施工後のやり直しを防ぐために東京では事前確認書類である『工事計画届』を提出します。工事計画届がない場合もありますのでその場合は工事計画届が使用開始届にかわります。内容はどちらも同じ。

◆消防設備の届出【既存をそのまま使う場合は不要】

2つ目は消防設備の届出になります。スケルトンからの内装工事で間仕切り変更をする場合は法令で決められた通り各種消防設備を設置していきます。設置後は試験結果、設計図などを添付した『設置届』を申請をする必要があります。 この届出には『甲種消防設備士資格』が必要になります。

もしも既存の器具をそのままの状態でを使用する場合は届出は不要です。居抜き工事などで間仕切りに変更がなければそのままでもOKです。

※居抜き状態で消防設備が適切に設置されていることが必須

◆防火管理の届出【建物が該当していれば必要】

テナント入居しその建物に防火管理者の選任が必要な場合は各種防火管理の申請が必要になります。申請は『防火管理者選任届』と『消防計画』です。この手続きは、テナント入居者が防火管理資格を取得後、消防署へ提出することで申請がが完了します。『消防計画』も同時に作成し申請が必要になります。

※面積が大きくなると『防災管理者・防災計画』が必要なりますが、そのような場合は内装監理室などから指示があると思いますので省略いたします。

参考記事:店舗出店で必要な消防手続き

使用開始届は各種資料が必要になる

使用開始届には各種図面が必要になります。

内装仕上げ表 床壁天井などの素材、仕上げを記載したもの
平面図 平面の図面
天伏図 天井の図面
立面図 壁面などの図面
電気図面 電気の図面
ダクト図面 吸気排気がわかる図面
火器設備図(厨房図面) 厨房などの配置図面
火器設備リスト
熱量計算書
火器設備のリストと各種機器の熱量を記載
火器設備承認図 火器設備の単品図面
案内図 現場の地図
その他 その他提出を求められたもの

使用開始届には上記の表に記載する添付書類を一式にまとめて提出します。原則これらの書類が必要になります。『分からないからそのままでいいや』などと放置してしまった場合、後々厄介な問題が起こるかもしれません。居抜き物件を検討する場合各種届出が必要であるということを知っておく必要があります。

防火管理者について

防火管理者手帳

防火管理者はテナントにおける防火責任者です。 防火管理者が必要であるかどうかは建物の条件によって変わってきます。詳細につきましては下記をご参照ください。

参考記事:防火管理者の選任基準【甲種・乙種 防火管理者講習について】

『各種消防点検実施の指揮』『消防訓練』『日々の火器管理』などの業務を行います。消防点検の実施は自分実施する責任があるという意味で、専門業者に依頼します。テナントの場合は主に『防火対象物点検』『防災対象物点検』です。※テナントによっては消防点検が不要な場合もあります。

まとめ

  • 居抜き工事でも消防申請が必要である
  • 使用開始届を提出する必要がある
  • 消防設備は既存の場合は申請が不要
  • 防火管理者が必要な物件は届出が必要である

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