防火管理者が必要になる建物の用途【甲種・乙種 防火管理者講習について】

防火管理者が必要になる建物の用途【甲種・乙種 防火管理者講習について】

甲種・乙種防火管理者は、一定条件を満たす防火対象物(建物・物件)に置かれる『防火責任者』のことをいいます。防火管理者は『防火管理の原則』である『自らの生命、身体、財産は自らで守る』ために『避難訓練・消防設備の点検の指揮・火気の監督・その他防火管理上必要なこと』など、火災予防に関するさまざまな業務を行います。

防火管理者の選任が必要な防火対象物

防火管理者を選任する必要があるかどうかを確認します。必要である場合は『甲種防火管理者』または『乙種防火管理者』のどちらかを取得すればよいのか確認します。

  1. 防火管理者が必要かどうか確認する

  2. 必要な場合は『甲種』『乙種』どちらの防火管理者が必要か確認する

甲種乙種の詳細は後に書いていきますが、ざっくり分けると下記のとおりです。

甲種防火管理者  【比較的大きい建物】

乙種防火管理者  【比較的小さい建物】

甲種防火管理者は『2日間の講習』が必要であり、乙種防火管理者は『1日の講習』で取得できます。

では、どのような場合に防火管理者の選任が必要であるかを見ていきます。

防火管理者の選任が必要な条件

海外の誘導灯

防火管理者の選任は特定用途と非特定用とによって基準が異なります。

特定用途防火対象物   収容人数が 30人以上
非特定用途防火対象物   収容人数が 50人以上
老人短期入所施設【6項ロ】

  収容人数が 10人以上

特定用途とは『いろいろな人が自由に出入りできる用途・火災による被害が大きくなると想定できるもの』で、映画館、劇場、飲食や物販のお店、ホテル、病院、老人施設、などが挙げられます。

対して非特定用途は『建物を使用する人が、あらかた決まっている・火災による危険度が比較的低い』用途で、マンション(共同住宅)、学校、図書館、神社、美容室、事務所などがあります。

特定用途の場合は『建物全体の収容人数が 30人以上』の場合は防火管理者の選任が必要になります。

非特定用途防火対象物は『建物全体の収容人数が 50人以上』で選任が必要になります。

老人短期入所施設【6項ロ】は特定用途でありますが、収容人数が30人ではなく『10人以上』で防火管理者を選任する必要があります

防火対象物【令別表第一】特定用途は赤 必要【収容人数】
劇場等  
集会場等 
1イ
1ロ
30人以上
キャバレー
遊技場
性風俗特殊営業
カラオケ・個室ビデオ
2イ
2ロ
2ハ
2ニ
30人以上
料理店
飲食店
3イ
3ロ
30人以上
物品販売・百貨店 30人以上
旅館・ホテル
共同住宅など
5イ
5ロ

30人以上
50人以上

・避難介助が必要な病院 ※1
・避難介助が必要な診療所 ※1
・上記2つを除く病院/診療所・有床助産所

・無床診療所/無床安産所

6イ1
6イ2
6イ3


6イ4

30人以上

老人短期入所施設
老人デイサービス
特別支援学校

6ロ
6ハ
6ニ

10人以上
30人以上
30人以上

学校など 50人以上
図書館 50人以上
蒸気浴場
一般浴場
9イ
9ロ
30人以上
50人以上
車両停車場 10 50人以上
神社など 11 50人以上
工場
スタジオなど
12イ
12ロ
50人以上
車庫など
航空機などの格納庫
13イ
13ロ
50人以上
倉庫 14 50人以上
前項以外【事務所・美容室など】 15 50人以上
複合用途【特定用途が入居】
複合用途【特定用途が入居なし】
16イ
16ロ
30人以上
50人以上
地下街
準地下街
16・2
16・3
30人以上
30人以上
文化財 17 50人以上
アーケード 18  

次に、防火管理者選任が必要である場合は『甲種防火管理者』『乙種防火管理者』のどちらに該当するのかを確認していきます。

甲種防火管理者と乙種防火管理者

避難経路図

防火管理者の選任が必要である場合は『甲種』・『乙種』どちらの防火管理者が必要になるかを確認します。

※甲種防火管理者は乙種も兼ねることができます。乙種でOKだけど、今後のことを考えて甲種を取得されている方もしゃいます。

特定用途で    延面積『300㎡以上 甲種防火管理者
特定用途で    延面積『300㎡未満』 乙種防火管理者
非特定用途で 延面積『500㎡以上 甲種防火管理者
非特定用途で 延面積『500㎡未満』 乙種防火管理者
老人短期入所施設 『10人以上』  甲種防火管理者
老人短期入所施設 『10人未満』 乙種防火管理者

甲乙分けは、各用途に対しての『基準延べ面積』があり、基準面積より大きければ甲種・小さければ乙種ということになります。

老人短期入所施設だけ『収容人数』で甲か乙か決めいているので注意が必要になります。10人より多ければ『甲種防火管理者』が必要になります。

防火対象物【令別表第一】特定用途は赤 甲種(延面) 乙種(延面)
劇場等  
集会場等 
1イ
1ロ
300㎡以上 300㎡未満
キャバレー
遊技場
性風俗特殊営業
カラオケ・個室ビデオ
2イ
2ロ
2ハ
2ニ
300㎡以上 300㎡未満
料理店
飲食店
3イ
3ロ
300㎡以上 300㎡未満
物品販売・百貨店 300㎡以上 300㎡未満
旅館・ホテル
共同住宅など
5イ
5ロ
300㎡以上 300㎡未満

・避難介助が必要な病院 ※1
・避難介助が必要な診療所 ※1
・上記2つを除く病院/診療所・有床助産所

・無床診療所/無床安産所

6イ1
6イ2
6イ3


6イ4

300㎡以上

300㎡未満

老人短期入所施設

老人デイサービス

特別支援学校

6ロ


6ハ


6ニ

10 以上※

300㎡以上

300㎡以上

※1

300㎡以上

300㎡以上

学校など 500㎡以上 500㎡未満
図書館 500㎡以上 500㎡未満
蒸気浴場
一般浴場
9イ
9ロ
300㎡以上
500㎡以上
300㎡未満
500㎡未満
車両停車場 10 500㎡以上 500㎡未満
神社など 11 500㎡以上 500㎡未満
工場
スタジオなど
12イ
12ロ
500㎡以上 500㎡未満
車庫など
航空機などの格納庫
13イ
13ロ
500㎡以上 500㎡未満
倉庫 14 500㎡以上 500㎡未満
前項以外【事務所・美容室など】 15 500㎡以上 500㎡未満
複合用途【特定用途が入居】
複合用途【特定用途が入居なし】
16イ
16ロ
300㎡以上
500㎡以上
300㎡未満
500㎡未満
地下街
準地下街
16・2
16・3
300㎡以上
300㎡以上
300㎡未満
300㎡未満
文化財 17 500㎡以上 500㎡未満
アーケード 18    

※1 複甲種防火対象物の複合用途(16項)テナントとして入居する場合は『10人以上』で甲種防火管理者、『10人未満』で乙種防火管理者の選任が必要になります。

防火管理者講習を受講または申込みをする

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防火管理者はまず指定講習期間が主催する防火管理者講習を受講する必要があります。申込みは、最寄りの消防署や日本防火・防災協会で申し込むことが可能です。
弊社のお客様は東京消防庁管内多いので最寄りの消防署へ行ってもらってます。

東京消防庁の場合はHP上から空席状況、講習案内など防火管理に関する情報を取得できます 。

防火管理者講習とはどのようなものか??

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は 30_zed.jpg です

講習機関によって多少異なると思いますがおおむね、朝の9時頃から16時30分まで行います。防火管理に関する内容をテキストを使い講師の先生が解説しながら進めていきます。講習の最後に効果測定がありますが、講義の中で重要なところを強調して教えてくれますので、内容をシッカリ聞いていれば問題なくクリアできるでしょう。

防火管理者を取得した後

皆様が防火管理者講習を無事に終えて、実際に防火管理者として業務を行う場合は消防署に各種届出を行う必要があります。防火管理者の属性により提出する書類が異なります。

各種書類の届出先は「管理する物件」を管轄する消防署になります。

防火管理者の属性 届出る書類
テナント入居者
単一のビルを管理する者
防火管理者選任届
消防計画
複合用途を統括する者 防火管理者選任届
消防計画
統括防火管理者選任届
全体の消防計画

消防計画の作成代行を承ります

消防特化型行政書士事務所

タイムラン防災は行政書士事務所を併設しておりますため、消防計画の作成代行を初めとする防火管理関連書類の作成、届出依頼を請けることが可能です。お困りごとがございましたらお問い合わせください。【タイムラン行政書士事務所】

まとめ

  • 防火管理者は特定用途の場合収容人数が30名以上で選任
  • 非特定用途の場合は50名以上で選任
  • 老人短期入所施設(6項ロ)は『10名以上』で選任
  • 甲種・乙種2種類の防火管理者がある
  • 防火管理者は消防署や指定講習機関で申し込みが可能
  • 講習はテキストを使用し講師による講習を実施
  • 最後に効果測定があり
  • 効果測定はしっかり聞いていれば問題なし

参考:消防法

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