スプリンクラー設備は消防設備のなかでも意外と知られていという印象があります。実際にワタクシが現場に行くと『コレはスプリンクラーですか?水が出るんですね??』と質問がされることがあります。
そこで今回は実際に各種スプリンクラーヘッドに熱を加えたらどのような感じで作動するのか実験をしてみたいと思います。
作動させる前に
スプリンクラーヘッドの原理と温度
機器の作動原理は基本的に同じであります。
簡単に説明すると、スプリンクラーヘッドの受熱部に熱が加わると温度ヒューズが溶けて弁が開きヘッド内の放水路が展開します。弁が開いたら、ポンプから繋がれてきた配管から水が送り込まれます。送り込まれた水はヘッドに装備されているデフレクターという水を拡散する部品にぶつかり広範囲に水が撒かれます。
またヘッドが溶ける温度についても様々タイプがあります。
スプリンクラーヘッドの色と感熱温度
色 | 感熱温度 |
60℃未満 | 黒 |
60℃~74℃ | なし |
75℃~120℃ | 白 |
121℃~161℃ | 青 |
162℃~199℃ | 赤 |
200℃~259℃ | 緑 |
260℃以上 | 黄 |
といった感じで色分けされています。スプリンクラーヘッドに色がつけられていることで外観でこのヘッドはどの温度で作動するものか?を簡単に判別することができます。
またスプリンクラー保護するためのカバーがあり、こちらにも色がつけられている場合がありますが、カバーの色はヘッドの色とは別物で、工事する側の人間がパット見でわかるようになっています。このカバーは工事が終わったあとに取り外します。
ヘッドは大変デリケートなためものがぶつかり変形したり傷が付てしまった場合うまく作動しなくなったり、ぶつかった衝撃で放水してしまうことがあります。
実験会場に移動
今回使用する機材
弊社タイムライン防災トレーニングセンター【トレセン】にて実験を行います。ガスバーナーで加熱するため石膏ボードと消火器も直近に設置しておきます。
今回使用する機材や材料は以下の通り。
- スプリンクラーヘッド
- ガズバーナー
- ヘッドを固定するためにフレキ
- 延焼を考慮して石膏ボード
- 粉末消火器
になります。
今回は閉鎖型、フラッシュ型、マルチ型、フレーム型の3種類のヘッドを使い実験いたします。
フラッシュ型【埋め込みでよく使われるもの】
作動温度については前章にてご説明させていただきました。このフラッシュ型はヘッド先を残しそれ以外は天井内に隠れるように設置されています。
通常は72℃(無地)程のヘッドを使用します。厨房などの火気設備を使用し多少高温になるような場所へ98℃前後(白)のものを設置します。
今回は青いヘッド【139℃】を使用します。このヘッド身近で言うとサウナなどで使用されます。
決定的瞬間
マルチタイプのヘッド
重厚感があるヘッドになります。こちらのヘッドも大変よく使用されています。このヘッドは天井面に設置する場合本体のほとんどが外側に露出します。
決定的瞬間
温度ヒューズが溶解時になんというか『ボロッ』っという感じで落下するという印象です。先程の埋込み型と比べるとさほど勢がありませんでした。
実際のスプリンクラーではもともと0.9Mpa(10キロ)程の水圧がかかっているので火災時の作動の場合はものすごい勢いで展開します。
フレーム型のヘッド
フレーム型のヘッドは上向きタイプ、下向きタイプがあります。このヘッドは上向きタイプになります。今回の実験では下向きで行いました。
送られてきた水がでギザギザのパーツ(デフレクター)にぶつかり水を拡散させていきます。
決定的瞬間
フレーム型は一気に崩れ落ちるといった印象です。熱を加えジワジワとゆがみながら一気に崩壊します。。
ヘッドその後
スプリンクラーヘッドはいくつものパーツから成り立っています。複雑な構造をこのサイズで収めてしまうという技術は本当に尊敬していおります。
実験動画【スローモーションあり】
まとめ
自分が新卒でお世話になった会社がメカトロニクスのメーカーであったこともあり、精密機械の凄さは多少理解できていると思っています。スリンクラーヘッドは大変シンプルな原理であるにも関わらず、ヘッドの中にいくつもの大変細かい技術が詰まっています。発明した方、今まで改良改良を繰り返し現代のモノへと進化させてきた技術者の皆様を大変尊敬しております。
- 閉鎖型スプリンクラーヘッドは熱を感知し作動する
- 作動温度によって色分けされている
- フラッシュ、マルチ、フレーム型のヘッドを作動させた
- ものすごい技術で作られておりなおかつ大変コンパクトである
- スプリンクラーは人命救助に欠かせない設備である
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