自動試験機能付の火災感知器のメリットとコストについてついて【P型とR型と機能等】

自動試験機能付の火災感知器のメリットとコストについてついて【P型とR型と機能等】
PA感知器
自動試験機能付き煙感知器

自動火災報知設備の火災感知器には機械自ら自動で定期的な試験を行う自動試験機能付きの感知器があります。24時間365日何らかの異常があったあ場合でも火災受信機のにエラー表示があがる仕組みになってます。

このシステムのいいとろこは自動で試験を行ってくれるので、消防設備点検を行う場合には実際に煙を入れて作動させる必要はありません。これが自動試験機能の最大のメリットです。

P型システムとR型システム

少し専門的な内容になりますが、自動火災報知設備設備は主に「P型」と「R型」が使用されています。P型は小規模物件や中規模物件で使用されることが多く、R型は大きめの施設などで使用されます。

PとRの違いは、P型は一般的でR型はハイスペック型と言えます。今回のテーマである自動試験機能はR型に搭載されています。

R型感知器は火災感知器の全てにアドレスを持っており、火災が起こり反応した感知器を個別に制御盤である火災受信機により断定することができます。

一方でP型の自動火災報知設備はもともと自動試験機能という概念がありませんでしたが、近年の技術革新によりP型システムに自動試験を行える機能を搭載した製品が登場しました。

R型で自動試験機が行える場合 全てR型のシステムで構築されている
R型で自動試験機が行えない場合 R型のシステムではあるが、P型のシステムを部分的に採用している
P型で自動試験機が行える場合 自動試験に対応した機器類を設置し、自動試験機能付きの火災感知器を設置した場合
P型で自動試験が行えない場合

自動試験機能に対応した機器類を設置し、自動試験機の付いていない火災感知器を設置した場合

自動試験機能のない機器類を設置している場合

ただ、Rだから全て自動ということではなく、設置するパターンによって変わるので注意が必要です。

自動試験機のメリット

PA定温式スポット型感知器
自動試験機能付き熱感知器

冒頭に記載しましたが、自動試験機能を採用することにより消防設備点検の実試験が不要になります。実際に煙や熱を加えて試験する必要はなく、目視による外観点検で良いとされています。

自動試験機能付きの感知器ボディは樹脂でできているので、加熱試験を行うと樹脂が溶けてしまうので注意が必要です。試験をしたいときは受信機から遠隔試験をすれば問題ありません。自動試験のない熱感知器は金属を使用していますが、樹脂メインで製造できればかなりコストを下げられると想像できます。

どの感知器が作動したか火災受信機で確認できる

自動試験機能付き火災受信機

自動試験機能付きの感知器が作動した時に、どの感知器が作動したかが火災受信機で分かるようになっています。各感知器にアドレスが割り当てられているので火災時や誤作動時にすぐ特定でき現場に直行できます。

画像の表示窓を見ると003.02という番号が表示されています。警戒番号3番のアドレス2の感知器が作動したということを示しています。受信機の周囲には感知器のアドレスが書いてある図面があると思うので図面と番号を照合し現場を特定します。

現在の感知器設置台数が受信機により分かる

自動試験機能付きの火災受信機は、感知器のアドレスと常に紐づけを行っているため、各回線ごとの感知器設置数や総数をセグメント表示により確認することができます。

また、受信機と感知機関で紐づけを行っているため、感知器を外したりすると、受信機側で感知器のアドレスが途絶えてしまいます。そうなると受信機に感知器が取り外されているというエラーが出るとともに警報音を発します(火災ベルではなく受信機の警報音)。

仮に工事関係で感知器を撤去する必要がある場合はエラーが出るので注意が必要になります。

器具の金額について

P型1級5回線 P型1級10回線
自動試験なし 自動試験付き 自動試験なし 自動試験付き
定価 385,000円 定価 765,000円 定価 446,000円 定価 800,000円
参考:P型2級5回線 定価155,100円

通常の感知器に比べ倍以上高めの設定になっています。実施にメンテナンス性、利便性を考えたら考える余地があるのではないでしょうか。行政も自動試験機能付きを推進しているようなので今後自動火災報知設備は全て自動試験機能付きに置き換わることが想像できます。

火災受信機を始めシステムの交換を承ります

弊社は主に消防設備の工事を行っている消防設備業者です。当記事に記載したような内容でお困りの方、もしくはリニューアルをお考えの方がいらっしゃいましたらぜひお問い合わせください。

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根拠法令

(受信機の自動試験機能等)
第十三条の三 受信機に中継器規格省令第二条第十二号に規定する自動試験機能又は同条第十三号に規定する遠隔試験機能(以下「自動試験機能等」という。)を設けるものにあつては、次に定めるところによらなければならない。

 自動試験機能等に係る制御機能は、次によること。
 作動条件値(異常の有無の判定を行う基準となる数値、条件等をいう。以下同じ。)は、設計範囲外に設定及び容易に変更できないこと。
 作動条件値を変更できるものにあつては、設定値を確認できること。

 自動試験機能等による試験中に、他の警戒区域の回線からの火災信号、火災表示信号又は火災情報信号を的確に受信すること。

 受信機に自動試験機能を設けるものにあつては、次に定めるところによらなければならない。

 予備電源に係る機能を確認する装置は、次によること。
 第四条第八号ロに規定する装置の作動状況を容易に確認することができること。
 予備電源に異常が生じた場合、音響装置及び表示灯が自動的に作動すること。

 火災信号、火災表示信号又は火災情報信号を中継器を介して受信するものの火災表示試験装置及び注意表示試験装置は、当該中継器を介して発する火災信号、火災表示信号又は火災情報信号(火災表示又は注意表示をする程度に達したものに限る。)を受信することにより火災表示又は注意表示の作動を確認できるものであること。

 導通試験装置又は第九条第一項若しくは第二項第一号に規定する終端器に至る外部配線の断線及び受信機から中継器に至る外部配線の短絡を検出することができる装置は、外部配線に異常が生じたとき、音響装置及び表示灯が自動的に作動すること。

 次に掲げる事項が生じたとき、音響装置及び表示灯が自動的に作動すること。
 受信機から中継器に至る電力の供給に係る電路の断線又は短絡
 第三条第十二号に規定するヒューズ、ブレーカその他の保護装置の作動
 主電源及び主回路の電圧並びに感知器又は中継器に供給する電力の異常
 信号処理装置又は中央処理装置の異常

 次に掲げる事項が生じたとき、百六十八時間以内に音響装置及び表示灯が自動的に作動すること。
 自動試験機能等対応型感知器(感知器等規格省令第二条第十九号の三に規定するものをいう。以下同じ。)に係る機能の異常
 地区音響装置を接続する回線に係る電路の断線又は短絡

 中継器から次に掲げる場合に発せられる信号を受信したとき、音響装置及び表示灯が自動的に作動すること。
 感知器又は他の中継器に至る電力の供給に係る電路及び地区音響装置を接続する回線に係る電路の断線又は短絡が生じた場合
 外部負荷に電力を供給する回路において、ヒューズ、ブレーカその他の保護装置が作動した場合
 主電源及び主回路の電圧並びに感知器又は他の中継器に供給する電力に異常を生じた場合
 信号処理装置又は中央処理装置に異常を生じた場合
 自動試験機能等対応型感知器の機能に異常が生じた場合
 中継器から終端器に至る外部配線の断線又は短絡が生じた場合

 前各号に定める作動を行つたとき、当該表示の状態に関係なく、その内容を記録又は保持すること。

 受信機に遠隔試験機能を設けるものにあつては、次に定めるところによらなければならない。

 自動試験機能等対応型感知器の機能に異常が生じたとき、遠隔試験機能により当該感知器の異常を容易に検出することができるものであること。この場合において、受信機に外部試験器(遠隔試験機能の一部の機能を有する装置をいう。以下同じ。)を接続することにより、機能の確認を行う方式のものにあつては、当該装置を操作したときに異常を確認することができる機能を含むものとすること。

 外部試験器を受信機に接続する場合にあつては、次に掲げる措置を講ずること。

 外部試験器を受信機に接続した場合、当該受信機の機能(現に試験している警戒区域の回線に係る機能を除く。)に有害な影響を与えない措置
 外部試験器を受信機に接続した状態が継続した場合、点滅する注意灯その他によつて当該受信機の前面において確認ができる措置又は当該受信機の機能に有害な影響を与えない措置

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