コロナウィルスと消防点検

コロナウィルスと消防点検

只今コロナウィルスが世界中で猛威を奮っており世の中が混乱しているなか、先週4月7日本国政府より『非常事態宣言』が発令されました。
私どもは東京都の池袋というターミナル駅近をアジトとしておりますが、普段道を埋め尽くす程の人々の姿が明らかに激減しております。人々が去った道にはさみしげな隙間風がサーっと音を立てて通り過ぎているように感じます。

『不要不急の外出を自粛せよ』との号令で外に出ることを我慢し巣ごもり消費が加速しつつあります。そんな中で 郵便各社ではコロナウィルス対策として荷物の『対面受け取以外の届出』で対応するという流れになりました。

感染拡大を防ぐために巣ごもりしているのに外部から人がやってくる場合はどうなのか?自粛するべきなのか否か??入居者さん、クライアントさん、WEBなどの意見をふまえて考えてみました。

マンション住まいの皆様の意見

消防点検は事前にご案内

 

どこの業者様も消防設備点検の周知はA4程度のチラシ配布で行っていると思われます。インテリマンションなどは端末を使用した回覧板など。。個人の日程調整サービスがあるので、近い将来アプリなんかでできるようになると思われますが、今のところは今まで通り紙ベースでのご案内が主流であります。

弊社の場合も約1ヶ月前にご案内をしております。点検時間の予約、不在等のご連絡を電話、LINE等で受けつけております。

世の中がコロナ一色になり点検のご案内後お客様からよせられた声はというと・・・

弊社管理物件の入居者さんから寄せられた問合せ

  • 中に入らなければダメなんですよね?
  • 延期にしていただけませんでしょうか?
  • 部屋に入らない方法はありますか?
  • 他のお部屋はどうのうな感じですか?

などなど

またTwitter、WEBのサーチでは

  • コロナ終わったら来てください
  • おっさんがコロナ持ってそうで入れるのいやだ
  • コロナで消防点検の延期ってよくわからん。。。

などの意見があるようです。やる派やらない派どちらもありますが、あまりよいイメージではないですね・・・


ワタクシたちは失火責任と火災予防上、防火管理者から依頼をうけ、入居者さまにご協力をいただき点検させていただくといった立場であります。マンションの場合は個人宅なのでダメと言われてしまえば当然に入室はできません。

で、ワタクシたちはどうするか

今後の点検応対について

※日頃から弊社で実施している物件で、全てを把握しているという前提で記述致します。

コロナウィルスのために消防点検を自粛しているところもあるようですが、ワタクシは自粛すべきでないと考えております。なぜかというと火災により1日あたり4人が亡くなっているという事実があるためです。自分たちが預かっている物件に事故が起こり自粛のせいで最悪なことになってしまった場合を考えると悔やんでも悔やみきれません。
しかし、今現在の状況を考えると消防対策以上にコロナ対策もすべきと考えております。なので、弊社ではクライアントさんと協議して決めいていくのでありますが、できる範囲で消防点検を実施するというスタンスで取り組んでいきます。

  • (原則)対面接触の点検を延期
  • インターホンで点検実施の確認 ご説明
  • 火災感知器に傷、腐食、凹みなどがないか確認してもらう
  • 対面接触のない共用部などの点検を実施
  • 火気、タバコ等の処理に十分注意してもらう(お願い)
  • 避難器具については今までのデータと外部から外観点検で行う

今できることを最大限実施し最善を尽くし、ウィルスの終息を祈るのみであります。

※管轄の消防署へ実施する点検概要の説明、報告書への点検方法の記載をいたします。

Q.火災報知器をチェックしないで大丈夫なのか?

火災受信機で異常信号を受信できる

入室しない点検と書きましたが、火災のリスクは大丈夫なのか??という疑問が発生します。正直なところ点検しないとわからないというのがワタクシの回答です。相手は機械のためいつどのような形で正常な状態でなくなるのかはまったくもって不明であります。

なので、今まで経験してきたことをふまえて書いていきます。

点検では実際に火災報知器に熱や煙を加え試験していきます。熱や煙をセンサーが感知し親機(火災受信機)で信号を受信するしくみになっています。

感知器-受信機間のはほとんど有線で配線には電気が流れています。もしその電気が配線不良などにより途中で途絶えてしまっているような場合は、火災感知器が作動することができませんが、親機である火災受信機でエラーがでて確認できるようになっています。
※この修理に関しては部屋に入る必要がある

また、共同住宅は熱感知器(差動式スポット型、低温式スポット型)は自然原理を使用した仕組みになっています。そのため機械的な故障の可能性は低いと考えております。居室に使用する差動式スポット型感知器は、『作動しなくなった』よりも『すぐ反応するようになって誤作動がおこりやすくなった』というケースが多かったです。実際に今までワタクシは何万子、何十万個という感知器を点検してきました。

※点検をしなくていいということを言っているのではなく、非常事態時の対応方法の一つとして、ワタクシが経験した事実を書いているだけであります。

  • 電気的なエラー、断線は外部から確認できる
  • 感知器の故障は比較的おこりにくい(弊社管理物件の感知器)
  • 危なそうな機器は6ヶ月前に把握済、交換済み(弊社管理物件の型式や感知器の種類に限る)

という理由から原則室内の点検を自粛する方向です。あくまでも原則です。

入室しないくても試験可能な火災報知設備もある

PA火災報知器とシステムの遠隔試験

自動試験機能付きのPA感知器やR型感知器は遠隔で自動試験機能が付いているため居室部で作動試験をする必要がありません。また、共同住宅用の感知器の場合は『外部試験機』という装置で点検できる場合もあります。今まで消防点検に来たことがないという場合は遠隔試験や、外部試験を実施していることも考えられます。

参考記事:自動試験機能付き火災報知設備とPA感知器について

遠隔試験を実施した場合でも実際に現場の感知器を目視で確認する外観試験も必要になりますが、どうしても点検の都合が悪く立ち会えない場合であっても、感知器の故障は確認できますので火災被害のリスクを大幅に減らすことができます。

ビルオーナーさん、不動産関係者さま、全ての関係者の方々がこのような設備について理解を深めてくれるといいなと、イチ消防設備士として思っております。

さいごに

火災被害を最小にするためにできる限り自粛しつつ業務をおこなっていきます。

  • 原則対面接触の点検は延期
  • インターフォンにて点検の確認
  • 感知器を外観から見てもらう
  • 火気タバコの処理に十分をお願い
  • 共用部は点検
  • 点検概要を管轄消防署へ説明
  • 点検報告書に点検概要を記載
  • ウィルスに打ち克つ!!

Blogカテゴリの最新記事