消防法令では防炎規制について定められていて、特定の用途で使用する場合には防炎製品を使用しなければいけないという決まりになっています。
防炎規制の対象になる物品はじゅうたん、カーテン、のれん等です。これらの製品を使用する場合は防炎のものを設置することが求められます。また、防炎ではないが後から防炎加工をすることによって防炎化できる場合もあります
防炎製品の設置が必要な建物や用途
防炎防火対象物
まず、防炎製品の設置が義務となる建物や用途を防炎防火対象物と言います。防炎防火対象物の指定は、消防法で指定されているもの、政令で指定されているもの、規則で定められているものに分かれます。
- 高層建築物【高さ31メートルを超える建物】(法8-3)
- 地下街(法8-3)
- 政令で指定されている用途の防火対象物【下の表で記載】
- 工事中の建築物 (規則4-3)
- プラットフォーム上屋 (規則4-3)
- 貯蔵庫 (規則4-3)
- 化学工業製品製造装置 (規則4-3)
政令で指定されている防火対象物
1項イ 1項ロ |
劇場・映画館・演芸場 公会堂・集会場 |
2項イ 2項ロ 2項ハ 2項ニ |
キャバレー・カフェー・ナイトクラブ 遊技場・ダンスホール 風俗営業店舗 カラオケボックス・個室ビデオ |
3項イ 3項ロ |
待合・料理店 飲食店 |
4項 | 物品販売店舗 |
5項イ | 旅館・ホテル |
6項 | 病院・老人ホーム・デイサービス・幼稚園・福祉施設全般 |
9項イ | 公衆浴場のうち蒸気浴場、熱気浴場に類するもの |
12項ロ | 映画スタジオ・テレビスタジオ |
16項 | 複合用途で上記の用途が入居するもの |
16の3 | 地下道と特定用途上記の用途が存在するもの(12項ロを除く) |
以上が設置が必要になる用途や建物になります。皆様が管理する用途がこの表に該当していた場合は防炎製品の設置が必要になります。では、次に防炎製品はどのようなものを言うのかについて書いていきます。
防炎製品とはどのようなものか
防炎対象物品は下記のものが対象
1 | カーテン |
2 | 布製のブラインド(木製はOK) |
3 | 暗 幕 |
4 | じゅうたん ※面積2㎡以下のものを除く |
5 | 毛せん(フェルトのカーペット) |
6 | タフテッドカーペット、ニッテットカーペット、フックドラッグ、接着カーペット、ニードルパンチカーペット |
7 | ご ざ |
8 | 人 工 芝 |
9 | 合成樹脂製床シート |
10 |
床敷物のうち毛皮製床敷物、毛製だん通り及びこれらに類するもの以外のもの |
11 | 掲示用の合板、掲示板、バックボード |
12 | どん帳、水引、袖幕、暗転幕 |
13 | 舞台に多いて使用する大道具の合板 |
14 | 工事用シート |
15 | 仕切りに用いられる布製アコーディオンドア |
16 | 室内装飾のために壁に沿って下げられる布製品 |
17 | 布製のレン、装飾幕、紅白幕で下げ丈が1m以上のもの |
18 | 映写用スクリーン(劇場や映画館で使用されるもの) |
19 | 展示会場で用いられる合板で台、バックスクリーン、仕切りなどで使用されるもの |
20 | 店舗部分で商品の陳列としてではなく天井から下げられている状態で使用される合板 |
21 | 屋外の観覧席、通路等の部分にしかれているじゅうたん等 |
22 | 体育館で使用される目隠し布 |
23 | 昇降機(エレベーター)の床、壁の内面保護等のための敷物 ※2㎡以下のものを除く |
自身の管理する物件が防炎防火対象物に該当している場合で、上記の製品を使用する場合ば必ず防炎製品の物を使用しなければなりません。どれも燃えたら一気に火の手が上がりそうなものなので防炎製品であれば安心できます。
防炎製品には防炎表示がある
防炎製品には画像のような表示により確認することができます。というより、防炎製品かどうか外観で判別できる状態にしておく必要があります。
消防署の査察や、我々のような業者が実施する防火対象物点検では、この表示を基に防炎製品であるか否かを確認します。防炎カーテンには防炎ラベルが設置されているので問題ないかと思いますが、じゅうたん、その他の物によっては防炎ラベルが付いていないものがあるので、購入したお店や設置した業者に問い合わせてみると良いかと思います。
防炎でない製品を防炎加工する裏技
防炎規制についての知識がなく、防炎製品でない物を設置してお店オープンしてしまったということがあるかと思います。私のお客様でもこのようなパターンは意外に多いです。このような場合は、またカーテンを買い直すというのも大変なので、防炎加工を施し防炎化するという方法もあります。
防炎加工ができる業者さんが全国にいくつかありますので問い合わせてみると良いでしょう。【防炎加工 業社】で見つかると思います。
防炎製品を取り扱う場合は業者登録が必要
防炎製品を扱う場合は業者登録が必要になります。日本防炎協会のホームページを参照すると登録した業種ごとに分けられ登録番号が発行されています。業種ごとのカテゴリー分けは
- 製造業者—A
- 合板の製造、防炎処理業者—B
- 防炎処理業者—C
- 防炎処理業者(吹付け)—D
- 裁断、加工、縫製業者—E
- 輸入業者—F
画像のコードはEなので『裁断加工縫製業者』であることがわかりました。
まとめ
- 防炎製品を使用しなければならない防火対象物がある
- 防炎対象物にはじゅうたん、カーテンをはじめいろいろ
- 防炎表示が必要になる
- 防炎加工することができる