鉄筋コンクリート物件の自動火災報知設備設置工事と金属管露出工事
鉄筋コンクリート物件に自動火災報知設備を設置する際の主な課題は、建物の内部に配線を埋め込むことにあります。配線が露出すると、建物の美観に影響を与え、デザイン性を損なう可能性があります。
しかし、配線を埋め込むことが不可能な場合、露出工事にて配線を引くことになります。この露出配線の選択肢としては「プラスチックモール」、「MKダクト」、「PF管」、「合成樹脂管（VE管）」、そして「金属管」があります。それぞれの方法は建物のデザインや構造に合わせて選ばれます。
今回のプロジェクトでは、うちっぱなし鉄筋コンクリート物件であることを考慮し、オーナー様との相談の上で金属管を採用しました。金属管は打ちっぱなしコンクリートとの相性が非常に良く、デザインのアクセントとしても機能します。
ただし、この選択には一つのデメリットがあります。金属管を使用すると、材料費や作業工数が増えることにより費用が多少かさむ点です。しかしながら、今回のプロジェクトではデザインの優先度が高かったため、費用よりもデザインを重視して金属管による自動火災報知設備の新設工事を行うことになりました。
結果として、デザインの優先度を考慮して、金属管を使用することにより、機能性と美観のバランスを取りながら、物件の価値を高めることができました。
工事依頼の経緯
今回の依頼は、既設のRC造レジデンス物件に自動火災報知設備を設置する工事です。共同住宅で延べ面積が500㎡以上の物件では自動火災報知設備の設置が義務付けられます。
しかし、この物件の延べ面積は約400㎡強であり設置義務の範囲外です。それにもかかわらず、近年の火災による被害を受け、オーナー様の判断で安全対策の一環として設備の設置が決定しました。
弊社がこのプロジェクトを受注できた理由は、過去施工事例による隠蔽配線の施工が高く評価された点です。また、金属管工事が可能であることも重要な決め手となりました。金属管を使用すればオーナー様が求める物件の美観を損なわずに安全性を向上させることが可能です。
弊社は、オーナー様の意向を受け、機能性とデザインのバランスを考慮しながら、適切な自動火災報知設備の設置を行います。これにより、物件の安全性を高めるとともに、居住者の安心感も提供することができると考えています。
金属管を用いた効率的な工事について
冒頭の文章に記述した通り、金属管を設置し金属管内に配線を通す工事を行います。工事の前にまず、最短ルートで各所に配線が行き届くように設計を行います。事前にどのようなルートで設置していくかを建物のバランスを確認しながら決めていきます。工事の流れについては以下の通りに進めていきます。
1.最適な設計の計画
露出する配管を最短ルートにすることで材料のコストを抑えかつ、余計な配管により建物のデザインを損ねないよう考慮する必要があります。また露出箇所を最小限に抑え、建物のデザインに与える影響を最小限にします。
2.入居者に配慮した配線
居室の内装、特に居室内の石膏ボードにて内装された天井、壁には、配線が目だな内容に配慮しながら埋め込みます。天井のダウンライトやコンセント類を外し配線が通る場所を探って聞きます。
3.金属管とボックスの仕様
金属管工事はストレートの金属管やボックス類を使用します。これらの金属管は各居室から送られてくる配線を集めてボックス内で接続します。ボックス内では火災報知器回路特有の工法である「送り配線」のための接続を行います。
送り配線についての記事：自動火災報知設備の4芯工事と2芯工事
4.将来的なメンテナンスの容易さを考慮
もし将来的に配線を引き換えることが必要になってもアウトレットボックスを設けているので比較的容易に改修等の作業を行うことができます。メンテナンスも考慮して施工していきます。
受信機、総合盤、火災感知器の設置
実際に自動火災報知設備を設置した画像をご覧ください。
打ちっぱなしコンクリートには金属管が良く合います。主観的な意見になりますが金属管自体がアクセントになると思っています。今回の物件に関わらず、既存の物件でも適正な配線、配管素材を選択することにより配線の存在を別のものに転換することが可能となります。
話がそれますが金属管による配管工法はデザイン重視の内装工事に広く採用されています。スケルトン天井のおしゃれな飲食店舗や美容室で金属管が使われている場合はそれなりに予算を組んでお店を作ったということが言えると思います。
弊社で行った施工事例
