防火管理者の選任をしたら消防計画を作成し消防署に届出なければなりません。この消防計画には5つの種類があり順番に「小規模用」「中規模用」「大規模用」「共同住宅用」「一時使用店舗用」があります。
消防計画は自身の建物がどれくらいの大きさ(面積)、規模に該当するのかを確認した上で作成する必要があります。共同住宅用と一時店舗用は字のごとくそのまま解釈ができるのでここでの記載は省略し、小規模、中規模、大規模用の消防計画について書いていきたいと思います。
建物の規模・収容人数により変わる消防計画の内容
冒頭に記載した消防計画には「小規模」「中規模」「大規模」があることを記載しました。所有している建物や入居している建物がどのようなものに該当するのかによって作成する内容が異なってきます。
小さな物件はシンプルな消防計画でよく、サイズが大きくなるにつれて記載する内容が細かくなります。東京消防庁のホームページに物件のフローチャートがわかりやすく掲示されています。
フローチャートを見てみると乙種防火対象物の場合は小規模用の消防計画を作成すればよいとかいてあります。乙種防火対象物とはどのような建物なのでしょうか?
乙種防火対象物とは
乙種防火対象物を言葉で説明するのは難しいので簡単に下の表にしてみます。
乙種防火対象物とは? | |
特定用途防火対象物 ※6項ロを除く |
非特定用途防火対象物 |
延べ面積300㎡未満 かつ 収容人数が30人以上 |
延べ面積500㎡未満 かつ 収容人数が50人以上 |
小規模用消防計画でOK |
乙種防火対象物は特定用途防火対象物で延べ面積が300㎡未満で30人以上収容する建物と、非特定用途防火対象物で延べ面積が500㎡未満で50人以上収容する建物を指します。
ざっくり、建物は小さいがそれなりに人を収容する建物です。使用する人が大きいとそれだけ災害に対するリスクが大きくなるので乙種防火対象物にも防火管理者と消防計画が必要ということになっています。
乙種防火対象物は甲種防火対象物よりも危険性が低いため「小規模用の消防計画」を作成すればよく、防火管理者も「乙種防火管理者」を選任することができます。また、乙種防火対象物は「甲種防火管理者」でも選任することができます。
6項ロは自力で避難することが困難な方を収容する老人ホーム、乳児院、児童施設、救護施設、乳児院、障害者施設などの福祉施設です。人命を優先する必要があるため全て甲種防火対象物に指定されます。※収容人数が10人未満の場合は該当しない。
特定用途と非特定用途については別の記事に記載していますのでこちらを確認していただければ有り難いです。
甲種防火対象物の場合
甲種防火対象物とは? | |
特定用途防火対象物 ※6項ロを除く |
非特定用途防火対象物 |
延べ面積300㎡以上 かつ 収容人数が30人以上 |
延べ面積500㎡以上 かつ 収容人数が50人以上 |
小規模用・中規模用・大規模用消防計画に分かれる |
6項ロは面積に関係なく10人以上を収容する場合には全て甲種防火対象物になります。
甲種防火対象物は「防災管理対象物」と「それ以外」に分かれます。防災管理対象物とは、用途により条件が異なりますが1万㎡を超えてくる大規模の建物です。このような物件はおそらく内部に防火管理を取り仕切る方がいるはずなのでここでは触れず「防災管理対象物以外」について書いていきます。
また「大規模用消防計画」は防災管理対象物に必要となり、それ以外の防火対象物には要求されないので以下、「大規模用消防計画」については説明を省略します。
小規模用消防計画と中規模用消防計画
甲種防火対象物で「小規模消防計画」でよいもの | |
特定用途防火対象物 | 非特定用途防火対象物の事業所 |
延べ面積300㎡以上 かつ 収容人数が30人未満の事業所 |
延べ面積500㎡以上 かつ 収容人数が50人未満の事業所 |
※建物所有者側で作成する消防計画は「中規模用消防計画」が必要です。
上の表は小規模用の消防計画でOKな甲種防火対象物です。ここで疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。そもそも収容人数が特定用途で30人又は非特定用途で50人未満の場合では、防火管理者の選任や消防計画は不要なのでは?と思われるかもしれません。
これは、あくまでも事業所単位であり、ビル全体としてみた場合には収容人数が特定用途で30人又は非特定用途で50人以上ある物件を前提としています。甲種防火対象物に該当しているけどテナントの収容人数が少ない場合は「小規模用消防計画」でよいというものです。ややこしいですね。
甲種防火対象物で「中規模用消防計画」が必要なもの | |
特定用途防火対象物 | 非特定用途防火対象物の事業所 |
延べ面積300㎡以上 かつ 収容人数が30人以上の事業所 |
延べ面積500㎡以上 かつ 収容人数が50人以上の事業所 |
※建物所有者側で作成する消防計画は「中規模用消防計画」が必要です。
事業所レベルでも多少大きい人数を収容する施設には中規模用消防計画を作成することが求められます。
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