自動試験機能付きの自動火災報知設備を選択されるお客様が増えてきました。自動試験機能付【PA】は火災受信機と感知器間を電送信号により、遠隔試験が可能となるハイテクな設備です。
自動試験機能のないノーマル式とくらべると若干、費用が高くなります。高い分だけのメリットを上げるとすれば、煙や熱を直接加える試験を省略できるといったところでしょうか。
火災感知器の数が多い物件であればあるほど作業時間短縮になり、メンテナンスコストを減らすことができます。【※感知器の目視点検は必要です】
また、留守の居室や、諸事情で入室できないときは遠隔試験が活躍してくれます。
リニューアル工事を行う場合、既存配線をそのまま使用でき、追加配線工事を要すことなくアップグレードが可能となります。
自動試験機能付の有無と設備の特徴
火災報知設備は大きく分け、R型とP型があります。R型は火災感知器に個別アドレスを持っている設備で、どこが作動したかを感知器に入っている個別データにより特定するシステムです。
一般的なP型システムは個別アドレスを持たないシンプルな自動火災報知設備です。火災受信機から総合盤を経由して各々のエリアで警戒するということが一般的でした。そのP型が進化しR型のように感知器にアドレスを持つことができるようになったものが自動試験機能付のP型です。
自動試験は定期的にシステムに接続されている感知器を遠隔監視しながら火災を警戒しているスグレモノです。
R型 | 一般P型 | P型 自動試験機能付 | |
自動試験 | あり | なし | あり |
感知器を外すとエラーがでる
自動試験機能付の感知器は感知器自体に識別アドレスを持っているため、感知器を取り外すと当然に未接続エラーが発生します。また、増設で新規感知器を取り付けた場合でも、余計な感知器がついているという未登録エラーが出てしまいます。システムに登録されていない感知器は全て異常と処理されることになります。(※メーカ、機種によりそうでない場合がある)
新規設置後は感知器をシステムに登録する
感知器を設置したら受信機に感知器情報を登録します。登録の方法はメーカーによって異なります。基盤を操作し登録する場合や、感知器を接続しシステムを再起動すると自動的に登録されるものなどさまざまです。今回のシステムでは基盤操作による登録を行います。
遠隔試験で感知器を作動させてみる
感知器は遠隔起動による火災試験を行うことが可能です。画像の場合ですとL1エリアのアドレス17番の火災感知器が発報ということになります。もしコレが通常のノーマル火災受信機の場合はL1というエリア表示のみになります。
火災受信機周辺には警戒区域図という図面を設置することになっています。ノーマルP型では火災信号を受信し表示されているエリアを図面と照らし合わせます。
一方試験機能付きP型の場合は、図面上にアドレス番号が書かれているため作動している感知器を簡単に特定することができます。
リニューアルについて
ノーマルP型から自動試験機能付へのリニューアルが可能かどうか質問を受けることがあります。結論は可能です。配線は全く同じ本数を使用しているシステムのため追加工事を必要としません。機器の交換のみで完結させることが可能です。
リニューアルのタイミングを迎えるビルオーナー様方、定期自動試験及び、遠隔操作が可能なハイテクP型システムを候補の一つにご検討されてみてはいかがでしょうか。
参考:消防法施行令 火災受信機・非常放送設備を移設交換してみた!!
設置工事には消防設備士甲種4類が必要です