台風と自火報の誤作動
自動火災報知設備の誤作動の原因の1つに台風の到来が原因で誤作動を起こすことがあります。その原因は主に2つあり「気圧変化」と「横殴りの雨」です。今回は台風と誤作動の原因について具体的に書いていきます。
台風による誤作動発生の原因
台風と火災報知器の関係
台風による火災報知器の誤作動原因 | ||
気圧の変化 | 横殴りの雨が機器類にかかる | |
原因 | 作動する感知器は「差動式スポット」「差動式分布型」の熱感知器。 | 内部の端子や配線が水がかかりショートすることにより作動する。 特に、開放廊下にある押し釦(総合盤)内部に水が入り込みやすい。 |
対策 |
差動式の熱感知器は空気圧調整機構の「リーク孔」が設けられているため詰まりのない正常のものに交換する。 |
防水タイプの押し釦(総合盤)を使用し防水対策をする。 総合盤内部の端子が腐食しているかを確認する。腐食が認められる場合は過去に水がかかっていることが確定的。 |
台風によるご作動原因は「気圧の変化」と「横殴りの雨」による機器類への水分侵入です。細かい内容になるので個別に記載していきます。
気圧の変化と誤作動の関係
火災感知器の種類で「差動式」という種別の感知器があります。この感知器は空気の膨張を利用してスイッチを入れる仕組です。
台風は渦を巻きながらゆっくりと通過していきます。台風の中心部は台風周辺と比べると気圧が低くなります。空気は気圧が高いとこから低いところに流れる特性があります。
差動式感知器の空気室の空気は大気圧よりも高くなるため空気が外側に引っ張られる(膨張)ことになります。そのことが原因で誤作動が起こります。
当然ですが、全ての感知器が誤作動を起こすわけではありません。誤作動を起こしやすい感知器は一つだけ特徴があります。それは、リーク孔が詰まっているということです。
リーク孔は感知器内の空気圧と大気圧を保つために設けられている調整機構です。内圧が上がりすぎると火災信号を出してしまうので、膨張した空気を外部に放出することで誤作動を防止しています。
もしリーク孔が詰まっていたら空気が逃げ場を失いそのまま空気室内が膨らみ接点がショートし火災信号を発することになります。頻繁に誤作動が起こる場合は感知器の交換を検討していただければよいかと思います。
台風以外の誤作動について:火災報知器の誤作動よくある原因
横殴りの雨が機器類に入り込む場合
自動火災報知設備は電気で制御しているシステムのため水に弱いです。屋外に設置する場合は通常防水製品を使用します。ただ、防水製品を使用しても激しい台風やゲリラ豪雨などを防ぐことは困難です。
外部に開放した廊下に設置する総合盤(押し釦、ベル、ランプが格納している箱)は、横風に乗っかり雨が総合盤内部に侵入することがあります。運が悪ければ内部の端子で水が溜まり火災ベルが鳴ることがあります。
水が入りやすいかどうかは総合盤の蓋を開け、内部の湿気の状況、水が入った形跡、あるいは端子の腐食具合をチェックすれば分かります。また、総合盤に水が入った場合に以下の現象が生じることがあります。
・火災と断定しベルが鳴る
・火災受信機で電話信号を受信する警報がなる
・火災受信機でヒューズが飛ぶ
台風やゲリラ豪雨が発生すると様々なエラーが発生するのでその状況に応じで適切に対応することが大切です。