排煙口の起動装置を移設してみた【機械式の排煙設備のしくみと手動起動装置】

排煙口の起動装置を移設してみた【機械式の排煙設備のしくみと手動起動装置】

機械式排煙設備

機械式排煙を移設してみた

排煙設備は機械によって強制的に吐き出すものと、窓を展開することにより自然に排出する自然排煙があります。機械式排煙は火災受信機に接続されているものと、ダイレクトに排煙制御盤とつながっているものがありますが大抵前者であることが多いのかと思います。

排煙設備は「機械排煙設備」「自然排煙設備」があります。機械式の排煙設備は、通常天井や壁面に開口部があり、この開口部を開く措置を行うと電気信号の伝達により排煙機が起動するしくみです。排煙機は通常屋上に設置されています。

排煙設備を設置する根拠は、建築基準法令に置かれる場合と、消防法令に置かれる場合があります。消防法令を根拠とした設置の場合、多少大きめの物件になるため、小規模、中規模の物件のほとんどが建築基準法令により設置されていると言えます。

根拠となる法令の目的の違い

排煙設備は消防法と建築基準法では設置の根拠となる考え方に違いがあります。建築基準法令では在館者が安全に避難することを目的としていますが、消防法令では消防隊が安全に消火活動をできるようにすることを目的としています。

建築基準法令 消防法令
安全に避難することが目的 消防隊の安全な消火活動が目的
排煙口を開けた画像

この装置は機械排煙設備用の排煙口です。排煙口を開くには、近くにある排煙口起動装置により作動させる方法と、排煙口から垂れ下がっている紐を引っ張ることにより開口させるものがあります。

排煙起動スイッチは、電気式のものと手動式のものがあります。電気式はボタンを押すことで排煙口を開くことができます。また、電気式は押したボタンを戻すことで開いた排煙口を復旧できるものもあります。

手動式の起動装置は、起動装置と排煙口をワイヤーでつなぎ、起動装置のワイヤーを引っ張ることで排煙口のロックが外れるシンプルな仕組みです。

機械式排煙のしくみ

排煙口を開けるためのスイッチが起動すると排煙口が開きます。そうなると、制御盤に排煙スイッチが起動した信号が入り、制御盤から排煙口を開く信号と、排煙機を回す信号が発信されます。これで煙を強制的に外部に放出することができます。

既存の排煙口から配線を外す

排煙口内部の端子版
既存配線を撤去

既存の排煙口を開けるためにはまず火災受信機を停止させる必要があります。停止させないと前述のとおり排煙機が動いてしまします。火災受信機には排煙連動停止スイッチがありますので停止させておきます。また、排煙口を開けると同時に防火ダンパーが作動することがあるので防火ダンパーの連動停止スイッチも停止させます。次に念のため排煙機を制御している排煙制御盤のブレーカーを落としておきます。火災受信機で排煙連動が停止されていない場合はブレーカーを落としておけば排煙機は回りません。

排煙器の制御盤

排煙制御盤

耐熱配線とアウターワイヤー入れる

耐熱配線、ワイヤー類

配線を外したら新規に設置する排煙口まで配線を引きます。
配線は耐熱配線を使用します。既存の配線を外し新規配線を接続する場合は必ず耐熱テープを巻く必要があります。この配線は排煙口が展開したときに火災受信機に信号を送るための線です。

配線引いたらアウターワイヤーを入れ込みます。このワイヤーは自電車のブレーキと同じ仕組みで、排煙口を開ける際、インナーワイヤを引張るためのガイドワイヤです。アウターのカーブが急角度になっている場合はインナーワイヤーに摩擦が生じ容易に排煙口を展開させることができなくなるので緩やかな曲線を描くように設置する必要があります。

排煙オペレーターの設置

オペレーター設置

排煙オペレーターは、黒いアウターワイヤーを先行して設置した後インナーワイヤを入れていきます。アウターワイヤーが緩やかな曲線で設置されていればインナーワイヤーは軽い力でも簡単に入っていきます。ワイヤーを張ったらオペレーターにしっかりと固定すれば通常の警戒状態になります。

排煙口が閉じている
完成!

機械式排煙工事に関する注意事項

排煙設備を消防設備として設置する場合には、消防設備の設置届が必要になります。根拠法令が建築基準法か消防法かに注意し施工する必要があります。

参考:消防法令による排煙設備の設置基準 建築基準法

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