火災感知器誤作動原因の1つとして、水が挙げられます。水が原因で発報してしまうような場合は、例えば配管から水が漏れて火災感知器にかかってしまった。豪雨によりクラックから水が回り込み機器類が濡れてしまったなどなど。今回は実際の火災感知器を使用して、直接水をかけ、どの部分が水に濡れると発報してしまうのかについてレポートしてみたいと思います。
水と感知器
感知器は大きく分けて熱・煙・炎の3種類があります。炎感知器は一般的では無いため今回は省いて、熱・煙の2種類でお話を進めていきたいと思います。
火災感知器回路は常にDC24V程度の電圧がかかっています。感知器回路がショートすることで火災信号を発信する仕組みになっています。水(純水を除く)は電気を通すため水自体が電気回路になりショートしてしまうのです。
今回使用する2タイプの火災感知器
実際に使用する感知器は
- 防水タイプ【定温式スポット型感知器 防水タイプ】
- 防水タイプではないもの【ベースを使用するタイプの非防水】
【定温式防水タイプ】は感知器自体にあらかじめ防水処理がされているため水がかかっても発報することはありません。
定温式スポット型感知器【防水型】水では発報しません
先にご紹介いたしました防水型の熱感知器です。この感知器とリード線の接続部分が予め樹脂で固められ、防水処理がなされています。そのため感知器自体に、水がかかっても発報するこはまずありえないでしょう。
もし発報することがあるとすれば、感知器と感知器を結ぶ配線と感知器のリード線の接続部分が水によりショートしてしまっている場合であることが考えられます。このため接続部分には、しっかりと防水処理を施す必要があります。
実際に水に浸してみる
実際に水に浸してみました。1時間以上経過しても当然ですが発報することはありません。防水タイプは雨がかかろうが嵐が来ようが、水関連で作動することはありません。
非防水タイプの感知器【水により誤作動を起こす】
非防水タイプの感知器はどのようなものかと言うと、上に書きました『定温式スポット型の防水』以外の火災感知器になります。
大抵の非防水型の感知器は『火災感知器』と『ベース』に分かれています。ベースは電線を火災感知器につなぐための端子が設けられています。設置工事の際ベースに電線を挟み込み天井に固定したら、感知器本体を装着します。
天井部に開口し線を通していますので、もし天井裏で水漏れが起こった場合には感知器本体が水浸しになってしまいます。そして火災感知器は誤作動を起こします。
実際に水につけてみて作動させてみた
今回は実際のビルで使用している『自動火災報知設備』のシステムを完全に動かし、火災感知器を水に浸けてみたいと思います。
水は溶け込んでいる不純物の量により電気を通したり通しにくかったりします。不純物が多いほど電気を通しやすく発報しやすくなります。
水を浸け想定通り発報しました。しかし感知器についているLEDランプは点灯していません。感知器の作動では無いことがわかりました。サンプルが1個だと寂しい気がするので次、煙感知器を水に浸けてみます。
次は煙感知器を
熱感知器と同様に感知器が作動した際に点灯するLEDランプは点灯していません。念の為ベースを水につけてみて感知器が作動した状態を強制的につくりだすとどうなるかやってみたいと思います。
ベースのみにして、強制的に発報させてみました。火災感知器が作動した場合にはこのように赤LEDが点灯します。以上の結果をもとに、感知器が水に浸ったことが原因で発報したわけではなく、ベースが水に浸かったことが原因で作動するということがわかりました。
あとがき・まとめ
雨季になると自動火災報知設備の誤作動も増えてきます。屋外に面している開放廊下があるような物件は感知器や総合盤に水が入り込んで誤作動を起こしてしまうケースもよくあります。
乾けば元通りに復旧すると考えておりますが、慢性的に水を受けているような場合は、機器類や、端子が錆び、腐食していることもあるので定期的にメンテナンスすることで、誤作動が起こりにくくなることでしょう。
実験動画
まとめ
- 定温式スポット型防水タイプは水では誤作動をおこさない
- 定温防水タイプは厨房などの水気の多い場所で使用可能
- 通常の感知器のほとんどが非防水タイプである
- 開放廊下に設置されている総合盤や感知器には注意
- 定期的にメンテナンスすると誤作動を減らせる