熱感知器に直接何かをぶつけると、火災発報することがあります。軽くぶつけたり何かが当たった程度で作動することはありませんが、『変形させた』『凹ませてしまった』場合にはほぼ発報することになるでしょう。※今回の記事に添付している画像タイプの熱感知器に限ります。サーミスタタイプの熱感知器は含みません。
外部打撃で発報する熱感知器
今回は弊社の実験用防災システムを使用して、実際に熱感知器に打撃を加えてどの程度で火災信号を発するのかをレポートいたします。熱感知器は『定温式スポット型』『差動式スポット型』を使用。
この2種類は一般的な建物(防火対象物)に設置されているもので、ぶつけて発報してしまうことがしばしば起こっています。引っ越しや搬入でうっかりぶつけてしまって作動させてしまったという方もいることでしょう。まずは使用する感知器の紹介を。
定温式スポット型感知器のご紹介
定温式スポット型感知器が設置されている場所は、
- キッチン
- トイレ
- その他水回り関連の部屋
- 押し入れ
などがあげられます。キッチン、トイレ、その他水回り関係の部屋は、天井面まである程度の高さがあるため、実際に物をぶつけてしまうということは少ないと考えます。しかし、押し入れに設置されている定温式スポット型感知器には注意が必要です。
押し入れは定温式スポット型感知器を設置します。押し入れの構造により感知器を省略できる場合がありますが、付けられている物件は多く、何かを収納する際にうっかり物をぶつけてしまうことがあります。
差動式スポット型感知器のご紹介
差動式スポット型感知器が設置されている場所は、
- 喫煙室
- 一般共同住宅
- 無窓階でない居室
などが挙げられます。この作動式感知器の表面は薄い金属製で作られており、外部からつつくことで簡単に凹んでしまいます。もしも凹んでしまったらそのまま火災信号に置き換わり非常ベルが鳴り響くことでしょう。居室内でゴルフスイングをしているお父様方、もしもすっぽ抜けて感知器にぶつかってしまうと火災信号を発してしまう可能性があります。くれぐれもご注意願います。
今回の内容とはそれてしまいますが、喫煙室にはこの差動式が設置されています。たばこのやにが付いてしまって汚れを落としたいということもあるかと思います。雑巾で表面をこすることで摩擦熱を発生させ発報してしまうこともあるのでご注意ください。
どの程度の変形で作動するのか?
定温式スポット型
まず、定温式から。定温式スポット型感知器は中央の金属部分にON・OFFスイッチが入っています。オンオフスイッチは、参考書を見てみると『バイメタルの反転』と書いてあります。
熱を受けたバイメタルが『変形してスイッチON』になります。何か物をぶつけてバイメタル自体が変形してしまうと、強制的にスイッチON状態になってしまうのであります。
※製造メーカーの皆様、この度は試験のため破壊して使用させていただきました。大変申し訳ありません。
差動式スポット型
差動式スポット型は、ドーム型金属部内部に空気室が収納されています。外部から金属部分を圧迫すると、内部の空気室に圧力がかかり火災信号を発してしまいます。この圧力は『緩やかに』加わると発報しない場合もありますが、『急激に』加わってしまった場合は間違いなく発報することでしょう。
※製造メーカーの皆様、この度は試験のため破壊して使用させていただきました。大変申し訳ありません。
実験動画
まとめ
熱感知器に外部打撃を与えてしまうと火災信号を発してしまいます。とてもシンプルでデリケートな構造のため取扱にはご注意くださいませ。
- 熱感知器が外部打撃で変形すると発報する
- 押し入れのものの出し入れ時には注意
- ゴルフスイングでぶつけないように注意