飲食店舗に自動式簡易消火器を設置しました。揚げ物を調理するフライヤーという調理設備がありまして、フライヤーに油をたっぷり入れて180℃~200℃で美味しいフライが出来上がります。フライヤーには温度を調整するためのセンサーが備え付けられていて、異常な温度上昇が起こっても火災、事故を防止するために安全装置が作動する仕様になっています。
安全装置が故障し油温度が急激に上昇してしまったら発火する可能性があります。厨房設備などの火気設備周辺には法令、条例により消火器を置くことになっていますが、消火器は人が操作するため、パニックになってしまったら安全に使用するできるかどうかわかりません。また、その場から離れていた場合で出火に気づかず素早い消火活動ができません。
今回は簡易式ではありますが自動的に温度を感知して自ら放射できる消火器を設置しました。この自動消火器を設置することで突然火が出てしまっても自動的な消火活動が可能になります。
この消火器を設置するメリット
厨房設備には自動消火装置として設置される『ダクト・フード消火装置』という消防設備があります。この消火設備は法令による設置基準をもとに取り付けられます。義務的な設置が不要な場合でも、大手飲食店チェーン店舗や鉄道の高架下などでは自主的に設置している店舗が多く火災予防に力を入れています。
この消火設備は小規模物件では設置義務に該当ことがほとんどないため、自主的に設置したいな!! という場合でもしっかりとした設備になるため費用もそれなりにかかってしまうことになります。
代わりとして今回の自動消火器を設置することで簡易的ではありますが火災予防に大変効果を発揮することになります。※簡易式の消火器なので本家の消火設備と比べたら薬剤量・性能に違いがあります。
使用する消火器
今回使用する消火器はモリタ宮田工業のキッチンレオです。この消火器は先端に熱感知ノズルがつけられていおり、『95℃』の熱を感知したら先端の温度ヒューズが溶け薬剤が放出される仕組みになっています。
消火器容器にはあらかじめ『0.8MPa』ほどの圧力が蓄圧されています。天ぷら火災に有効な強化液が使用され約30秒間放射します。
消火器は日本消防設備安全センター性能評定合格品のため各種試験をクリアして製造されており製品自体の信頼性は非常に高いです。
消火器のスペック
型 式 番 号 | FHL4 |
型 式 番 号 | 評58-001号 |
種 別 |
天ぷら油消火用簡易装置 |
適 用 火 災 | 天ぷら油火災 |
公称防護面積 | 0.5㎡ |
消 火 薬 剤 | 強化液1.5L |
総 質 量 | 約3.6kg |
感 知 温 度 | 95℃ |
使用温度範囲 | -10℃ ~ +40℃ |
放 射 時 間 | 約 30秒 |
外 形 寸 法 | H : 460mm W : 96Φ |
施工してみた
設置方法は同封されたマニュアルのとおりに設置していきます。重量がそれなりにあるのでガッチリと固定する必要があります。重さに負けて脱落してしまうと重量があるため大変危険なので、しっかりとビスを打ち込める場所にガッチリと固定します。
取り付けは金属製の専用のステーが同封されているので金属用の超強力両面テープで固定後ドリルビスで打ち込みます。
取付部がステンレスの場合なかなか穴が空きません。そんなときはドリルに油をさしてから下穴を空けます。下穴を空けたあとにドリルビスで打ち込みます。今回は5ミリのドリルビスで4点とめました。ステンレスの穴あけはコツが要りますが慣れれば比較的簡単に空けられるようになります。
ノズル先で熱を感知するため簡単に熱を拾ってしまうような場所に取り付けることができません。仕様書を見ると70~190cmの高さで放射角度60°で取り付けるように書いてあります。
フライヤーによっては背後に熱を放出する煙突のような排気口が付いているものがあるのでそのような場合は高めにノズルを設置することが必要になります。また消火器の設置場所がが高温になると容器内の圧力が上がってしまいます。ノズル長が2メートルあるので熱を持たないような場所へ設置すればOKです。
まとめ
- フライヤーは安全装置が作動しないと危険である
- 天ぷら火災に強い自動式簡易消火器が便利
- 95℃に達したら温度ヒューズが溶け自動的に薬剤を噴射
- 約0.8MPaで30秒間放射する
- メーカーのマニュアル通り設置する
- 重量があるのでシッカリ固定する
- 消火器を設置する場所の温度が高くなるような場合は注意
使用温度範囲(-10℃~40℃)