消防設備の緊急対応でよくある事象

消防設備の緊急対応でよくある事象

ワタクシども消防設備業者はしばしば緊急対応のため出動することあります。弊社の場合の設備別緊急対応頻度は『警報設備』>『消火設備』>『避難設備』の順で、避難設備に関する緊急対応はどありませんでした。

今回はよくあるトラブルや今まで対応してきた緊急対応について書いていきたいと思います。

また、現場に伺う前にオーナー様、管理会社の方、その他関係者様に応急処置をしていただくことがあります。交通状況、諸事情によりどうしても急行できないこともありますが、そのような場合は本当に助かっています。この場をお借りして御礼申し上げます。

警報設備関係

いたずらなどで発信機が押された

表示灯内蔵発信機

お酒を飲まれて多少気分がよくなられた、理性が飛んでしまった、むしゃくしゃしてなどなど・・・理由は様々ですが押し釦を押されてしまって火災報知機のベルが鳴りっぱなしになるということがまれに起こります。実際の火災かどうか確認し『非火災』である場合は早急に復旧作業が必要になります。

原因と対処方法

押したボタンは保全措置のため押しっぱなしになります。そのままでは復旧作業はできません。押したボタン引っ張り出す作業が必要になります。現行の押し釦本体には戻すための爪が付いています。メーカーによって形状や機構が違いますが、その爪を上げる、下げる、押すなどありますが、その操作を行えば自動的にボタンが元通りに戻ります。ボタンを戻した後大本の機械である火災受信機で復旧作業を行います。ボタンを戻さないで受信機復旧操作はできません。

火災感知器が作動してしまった【非火災】

P型1級受信機

こちらは押し釦(発信機)を押したわけではないけれど火災報知機が作動してしまったというパターン。設置している自動火災報知設備が何かに反応して作動することはまれにおこります。その場合は感知器かネズミがあやしいです。

原因と対処方法

  • 煙感知器  エアコンからホコリやゴミが飛んできて吸い込んだ
  • 熱感知器  ぶつけた、気温の変化や気圧の変化(差動式)
  • ねずみ   配線をかりショート(ショートすると発報します)

特に多いのが作動式スポット型の熱感知器。この火災感知器は気圧の変化を利用しているため、気候の変化や寒暖の差がある日などに誤作動を起こしやすくなっています。経年劣化した感知器は特に誤作動を起こしやすくなっていますので設置年月が経過した感知器は交換をオススメいたします。

また、鼠によるいたずらである可能性もあります。ネズミの場合は配線が傷んでいる可能性が高いため配線の引き換をご検討くださいませ。。

工事中の消防設備作動または破損

煙感知

工事中は大量にホコリ舞い上がり時には煙感知器が発報してしまうことがあります。『誤って配線を切ってしまった』『床や壁を削っている工事で見えない配管があり突き破ってしまった』『実は配線が埋め込まれていた』などなど。

原因と対処方法

工事前に各種消防設備を撤去し熱感知器等の煙でも作動しないものに取り替えておけば安心して工事を行うことができます。内装管理室などがある比較的大きなビルの場合は事前に手続きが必要であったりするためこのようなトラブルは起こることはないと思いますが、大抵の雑居ビルの場合はそういった管理室はなく、各々工事業者に任されているといたケースが多いのかなと感じております。後々のトラブルになることを避けるために事前に然るべき処置をすることが重要であります。

断線エラー

軽量鉄骨

断線はいろいろな原因が考えられます。

  • 線が切れている
  • 感知器の線が外れかかっている
  • 配線の圧着(接続)部分が甘くなっている
  • その他

原因と対処方法

配線のどこかが切れている又は切れかかっています。火災受信機で断線エラーが出たり消えたりする場合は、配線の接触不良を起こしているため配線の部分引き換えまたは全引き換えが必要になることでしょう。

非常放送が勝手に作動してしまった

非常電話

非常電話は『11階以上』の高層建築物、『10,000㎡』を超えてくるような大型物件に設置されています。この非常電話は放送設備と連動した消防設備で、受話器を上げると非常放送設備が作動して館内放送が流れるしくみです。非常電話を見つけて興味本位で受話器をとってしまわないよう十分お気をつけください。

消火設備関係

泡消火設備・粉末消火設備など車による物損事故

メインバルブ

自走式の立体駐車場に泡消火設備が設置されていることがあります。駐車場スペースやスロープなどいたる箇所に『泡消火設備の起動装置』が設置されています。この消火設備の起動は、駐車場天井(一斉開放弁)から降りてきた配管に弁(起動レバー)が付けられ、この弁を開くことにより泡消火薬剤が自動的に放出されるという仕組みです。起動用の配管に車が接触し配管内の圧力が逃げると一斉開放が開き消火設備を作動させます。駐車場の内部が泡まみれになります。

ワタクシ管理人はこの泡騒動を今までに3回対応しました。ワタクシだけで3回も対応しているので、全国では結構な数になるのではないでしょうか。

応急処置

放出してしまったら一斉開放弁付近のバルブ、流水検知装置のバルブを閉め消火薬剤の放出を止めまてポンプを停止します。すぐ専門業者を呼んでください。

スプリンクラーヘッドに物をぶつけてしまって水が漏れている

SPヘッド

スプリンクラーヘッドにモノをぶつけてしまってチョロチョロ水が出てしまったということがごくまれに起こります。水が漏れ配管内部の圧力が下がってしまうとスプリンクラーポンプが起動してしまいます。

原因と対処方法

まず、アラーム弁が設置されている制御弁室に移動します。アラーム弁は『スプリンクラー制御弁室』という標識が設置されてます。 アラーム弁の『メインバルブ』を締め『ドレンバルブ』を開いて漏れているスプリンクラーヘッド内の配管内部の水を抜いておきます。 この作業が早ければ早いほど水損が少なくて済みます。

壊れたスプリンクラーヘッドは交換して再度水を張り復旧します。

スプリンクラーヘッドポンプが起動してしまう

アラーム弁室

スプリンクラーポンプが起動する原因は配管内部の圧力が低下することが原因であります。どこかで圧力漏れを起こしているのでその場所を特定することが必要になります。

原因と対処方法

  • ポンプが自動的に作動しないよう定期定期にポンプアップを行う
  • 補助加圧ポンプを使用し上記を自動的に行う
  • 早めに圧力漏れ箇所を探し改修する

消火栓ポンプが起動してしまった

消火栓

自動火災報知設備の発信機(押しボタン)が押されていると考えられます。押されっぱなしの押しボタンを元に戻し消火栓ポンプ制御盤にてポンプ停止作業を行います。押しボタンの復旧ができない場合は火災受信機で消火栓連動停止ボタンをで連動停止後、火災復旧ボタンを押し消火栓制御盤でポンプ停止作業を行います。

さいごに

消防設備は緊急時の使用するためのモノのであります。緊急対応が必要なトラブルが起こってしまっても大丈夫大丈夫と先送りにしてしまってそのタイミングで火災が起こってしまった、という『マーフィーの法則』のようなことが起こらないとも言い切れません。

突然やってくる突発的な発的なエラーではありますが、原因は必ずあるので根気強く特定していくことが重要であります。

ということで 乱文にて失礼いたしました。

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