避難器具の設置基準

避難器具の設置基準
1動作
一動作式の緩降機

※消防法令では避難器具は避難階と11階以上の階は設置不要です。
※避難器具の設置はその階ごとの収容人数決まります。

避難器具が必要な建物について

避難器具の設置基準は【用途】【建物の特性】【収容人数】【入居する階】などの条件を組み合わせて必要か不要か決めていくことになります。

避難器具は消防設備士の『避難設備』に分けられ、消防設備士では5類に分類されています。工事施工をる場合は『消防設備士甲種5類』の資格が必要になります。

設置基準は5つのグループで分けるとことができます。グループの特徴をつかめば設置基準の理解も比較的簡単と思われますので順に書いていこうと思います。

グループ分け

【第1グループ】
病院・福祉施設・幼稚園

【第2グループ】
ホテル・旅館・共同住宅

【第3グループ】
劇場・キャバレー・飲食、物販店舗・学校
図書館・浴場・神社など

【第4グループ】
工場・スタジオ・事務所など

【第5グループ】
上に該当しない

1. 病院・福祉施設・幼稚園

1グループの用途

  • 病院
  • 老人福祉施設
  • 幼稚園

これらの用途は通常よりも避難に時間がかかることが想定されるため、避難器具の設置基準が厳しくなっています。数多くの避難器具を設置することで安全に地上階に避難できるよう考えられています。

建物の条件 階の収容人数 避難器具の必要個数
2階以上】又は【地階  20人以上 1台:~100人
2台:101人~200
【100人増で1台追加】


主要構造部が耐火構造
    で
特別避難階段・避難階段が
2系統ある場合

1台:~200人
2台:201人~400
【200人増で1台追加】

下の階に入居する用途が
【下※1】用途の場合
 10人以上
下の階に入居する用途 蒸気風呂、一般浴場【9項】・工場【12項イ】
車庫【13項イ】・倉庫【14項】・事務所など【15項】

使用できる避難器具

6階以上 滑り台・救助袋・避難橋
4 階
5 階
滑り台・救助袋・緩降機・避難橋
3 階 滑り台・救助袋・緩降機・避難橋
2 階 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・避難用タラップ
1 階 不要
地 下 避難はしご・避難用タラップ

2. ホテル・旅館・共同住宅【5項】

ハッチ工事

2グループの用途

  • ホテル・旅館
  • 共同住宅
  • 下宿・寮

2グループも同様に避難に時間がかかってしまうことが考えられますので、1グループと同じような基準になっています。1グループとの違いは、階の収容人数が『20人→30人』と緩くなっています。ココだけを押さえておけばOKです。

建物の条件 階の収容人数 避難器具の必要個数
2階以上】又は【地階  30人以上 1台:~100人
2台:101人~200
【100人増で1台追加】


主要構造部が耐火構造
    で
特別避難階段・避難階段が
2系統ある場合

1台:~200人
2台:201人~400
【200人増で1台追加】

下の階に入居する用途が
【下※1】用途の場合
 10人以上
下の階に入居する用途 蒸気風呂、一般浴場【9項】・工場【12項イ】
車庫【13項イ】・倉庫【14項】・事務所など【15項】

使用できる避難器具

6階以上 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
4 階
5 階
滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
3 階 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・避難用タラップ
2 階 滑り台・避難ロープ・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
避難用タラップ
1 階 不要
地 下 避難はしご・避難用タラップ

3. 劇場・キャバレー・飲食物販店舗・学校・図書館・浴場・停車場・神社など

3グループの用途

  • 劇場
  • キャバレー
  • 飲食店
  • 物販店
  • 学校
  • 図書館
  • 浴場
  • 停車場
  • 神社

これらの用途は、福祉施設やホテルなどの宿泊施設とは違って、火災を確認後、速やかに避難する体制を取ることができるため収容人数の規定が緩くなっています。

建物の条件 階の収容人数 避難器具の必要個数
2階以上】又は【地階  30人以上 1台:~200人
2台:201人~400
【200人増で1台追加】


主要構造部が耐火構造
    で
特別避難階段・避難階段が
2系統ある場合

1台:~400人
2台:401人~800
【400人増で1台追加】

 備 考

主要構造部が耐火構造の場合の2階を除く

使用できる避難器具

6階以上 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
4 階
5 階
滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
3 階 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・避難用タラップ
2 階 滑り台・避難ロープ・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
避難用タラップ
1 階 不要
地 下 避難はしご・避難用タラップ

4. 工場・スタジオ・一般事務所

避難ロープ

4グループの用途

  • 工場
  • スタジオ
  • 一般事務所

これらの用途は建物を使用する人が限られているので物件をある程度把握できているため設置基準がグッと緩くなっています。避難階までのルートがわかっていれば比較的容易に避難することが可能であります。

建物の条件 階の収容人数 避難器具の必要個数

3階以上の無窓階・地階

 100人以上 1台:~300人
2台:301人~600
【300人増で1台追加】


主要構造部が耐火構造
    で
特別避難階段・避難階段が
2系統ある場合

1台:~600人
2台:601人~1200
【600人増で1台追加】

3階以上【無窓階でない】  150人以上

使用できる避難器具

6階以上 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
4 階
5 階
滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
3 階 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・避難用タラップ
2 階 不要
1 階 不要
地 下 避難はしご・避難用タラップ

5. 1~4グループに該当しない場合

調速機

1から4グループに該当しない場合は5グループの基準が適用されます。どのような場合かと言うと、さまざまな用途が混在してい入居している『複合用途』の場合です。複合用用途(16項)の場合は様々な人々が自由に出入りすることができ、またテナントの管理権限がそれぞれ異なっていることから、火災による避難が困難になることが予想されます。そのため、どのグループよりも厳しい設置基準が適用されています。

建物の条件 階の収容人数 避難器具の必要個数

 3階以上の階のうち避難階から地上に通ずる階段が2以上設けられていない階

 10人以上 1台:~100人
2台:101人~200
【100人増で1台追加】


主要構造部が耐火構造
    で
特別避難階段・避難階段が
2系統ある場合

1台:~200人
2台:201人~400
【200人増で1台追加】

 備 考

キャバレー、飲食店などの場合は2階に設置

使用できる避難器具

6階以上 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
4 階
5 階
滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
3 階 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・避難用タラップ
2 階 滑り台・避難ロープ・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋
滑り棒・避難用タラップ

避難器具設置の緩和

避難器具の設置台数を減らすことができる場合があります。

  • 避難階段・特別避難階段を設置している場合
  • 渡り廊下を設置している場合
  • 避難橋を設置している場合
  • その他

避難階段や通路がある場合は避難器具を使用するより安全かつ確実に避難することができます。そのような場合は細かい条件がありますが避難器具の設置個数を減らすことができる場合があります。

特定一階段防火対象物に設置する避難器具

一動作式の避難器具の設置

使用方法

特定一階段防火対象物とは、地下又は3階以上に特定用途が入居している場合の防火対象物で、避難に使用する階段が屋内1系統のみある場合の建物を指します。
関連記事:特定一階段防火対象物とは

特定一階段防火対象物に避難器具を設置する場合は通常の設置と異なり、下記のとおり設置することが求められています。

  • 安全かつ容易に避難することができる構造のバルコニーに設置
  • 常時容易かつ確実に使用できる状態で設置されているもの
  • 一動作で確実に使用できるもの(保安装置を外す動作は含まない)

第二十七条 
避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。一 避難器具のうち、特定一階段等防火対象物又はその部分に設けるものにあつては、次のイからハまでのいずれかに適合するものであること。
イ 安全かつ容易に避難することができる構造のバルコニー等に設けるもの。ロ 常時、容易かつ確実に使用できる状態で設置されているもの。
ハ 一動作(開口部を開口する動作及び保安装置を解除する動作を除く。)で、容易かつ確実に使用できるもの。

消防法施行規則第27条

バルコニーや常時確実に使用できるもの以外の場合は一動作の避難器具を設置することが必要です。一動作式は『緩降機』『固定はしご(収納式)』があります。

特定一階段防火対象物の場合そもそもフロア面積が小さい場合が多いので一動作式の避難器具を設置する場所の問題が出てきてしまいます。収納式一動作タイプであれば建物の外に取付ることができます。

まとめ

  • 避難器具は避難階と11階以上の階は設置不要
  • 避難器具の設置は階ごとの収容人数で決まる
  • 避難器具の設置は用途、建物特性、収容人数、入居階により確定
  • 5つのグループ分けで設置基準が異なる
  • 用途によって設置できる避難器具が異なる
  • 避難器具の設置個数を減らすことができる場合がある
  • 特定一階段防火対象物は独自の設置基準がある
  • 特定一階段でバルコニーがない場合は一動作式を設置

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