防火設備の連動制御盤と3種煙感知器について

防火設備の連動制御盤と3種煙感知器について

自動火災報知設備と似たようですこし違う『防火設備』というものがあります。
防火設備は平たく言うと『防火シャッター』『防火扉』『防火ダンパー』などで防火区画の開口部に設置されています。これらの設備を設置することにより開口部から火や煙が侵入することを防ぐことができます。

防火区画に設置される防火設備

防火区画には建築基準法により規定以上の防火性能(耐火性能)が求められています。当然に防火区画の開口部にも防火性能が求められることになりますが、防火区画を行ったり来たりするための通路や扉が常に閉まっていて、いちいち扉を開けたりして使うのは結構な労力になってしまします。そうなると大変不便なので、、

『開口部を空けっばなしで使用してもいいですが、その代わりに火災感知器による連動で自動的に開口部が閉じる仕組みをつくってくださいね』ということで問題をクリアしているのであります。

開口部自動閉鎖システムの構成

防火設備仕組み


開口部を自動閉鎖するためのシステムは下記の構成によるものが一般的かと考えます。

  • 防火戸・防火シャッター・防火ダンパーなどの防火設備
  • マグネットリレー、レリーズ(防火設備本体側で使用)
  • 煙感知器(光電式スポット型3種)
  • 連動制御盤(複合火災受信機・連動制御盤単体)

しくみは大変シンプルです。システム全てを制御するための『連動制御盤』があります。この連動制御盤を軸として各種装置に信号のやり取りで自動閉鎖させることが可能です。

感知器を使用した場合の自動閉鎖装置の流れ

  • 火災感知器が煙や熱を感知
  • 火災信号を防火設備の制御盤へ信号は入る
  • 制御盤から防火扉、防火シャッターへ自動閉鎖信号を送られる
  • 防火戸・シャッター・ダンパーなどが自動閉鎖する

といった流れであります。

防火設備と自動火災報知設備の違いについて

  防火設備 自動火災報知設備
関係法令 建築基準法令 消防法令
管轄官庁 市区町村建築指導課など 消防署・市町村など
防災システム 連動制御盤による自動閉鎖 自動火災報知設備
防災システムの目的 火災感知で火や煙をブロック 火災感知で周囲に知らせる

防火設備は自動火災報知設備と大変似たような仕組みでありますが自火報設備ではありません。防火設備自体は建築基準法により設置されているため、消防署の管轄ではありません。

そのためワタクシたち消防設備士が消防署に相談に行き『防火扉の感知をココに設置しますね』といった場合『それは管轄外なので答えられません。役所の建築指導課で・・・』という回答となります。

同じような仕組みの設備でも管轄官庁が違うのです。

使用される火災感知器

丸印がつけられている光電式スポット型3種

自動閉鎖式の防火シャッター、防火扉は『光電式スポット型3種』という煙感知器が使用されます自動火災報知設備では『光電式スポット型2種』が使われています。2種と3種の違いは反応感度のみで構造は同じであります。

光電式スポット型2種  光電式スポット型3種煙感知器
煙りで作動する 2種よりも濃い煙で作動する

2種も3種も外観では同じ見た目のため、感知器には赤丸印やピンクマルで印がつけられています。【メーカーによりけり】

制御盤につて

火災受信機と一体型の複合火災受信機

システムを制御するたに『連動制御盤』という装置を使用します。この装置は自動火災報報知設備と一体化した『複合型火災受信機』や防火設備単体で使用される連動制御盤があります。

火災受信機で使用する場合の火災表示【警戒区域】は黄色で示されています。黄色い枠には防火戸、シャッター、排煙口等の防火設備が表示され、防火設備専用の感知器が作動した場合は受信機に表示された後この制御盤から『設備よ、閉鎖せよ』という信号が送られます。

システムが進化したことで、近年の複合型受信機は、火災報知設備の発報(画像の白い窓)で黄色い警戒区域の防火設備を作動させるようプログラムすることも可能です。

連動制御盤【防火設備の制御をおこなう】

火災受信機とは独立して設置されるタイプ

防火設備の設置が数カ所であったり、後付けで施工する場合は火災報知設備とは独立した連動制御を設置することがあります。連動制御には100Vの電源、火災感知器までの線、防火設備を起動させるための線を接続します。

独立した連動制御は1回線から複数回線のものがあります。

制御盤から信号が送られた信号を受信するレリーズ

マグネットリレーが内蔵されたレリーズ

自動閉鎖装置側にはこのようなマグネットリレーが設置されています。制御盤から送られる信号を受信した場合このリレーが働き防火設備が自動的に閉まる構造です。この画像は防火扉の裏側に設置されているタイプのレリーズです。ラッチと言ったりもします。

信号を受けることでレリーズが働きます。このようなリレー装置は扉やシャッターを起動させるリレーが働き実際に作動した場合は、制御盤に『扉が開きましたよ』という信号を送ることができます。送った信号は『防火設備作動』という形で制御盤で表示に表示されます。

防火扉を作動させてみた!!【動画】

まとめ

  • 防火区画の開口部には防火設備を設置
  • 開口部を常時開放で使用する場合は自動閉鎖装置を設置
  • 自動閉鎖は煙感知器連動型を使用される
  • 防火設備は消防管轄ではない
  • 煙感知器には3種のものを使用する
  • 連動制御盤は火災報知設備と一体型のものがある
  • 制御盤により防火設備の起動状態が確認できる

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