防火区画とフィブロック
建物の内部には防火区画といって決められたエリアごとに区画をし、火災が発生しても別の区画に燃え移らないようにすることが義務付けられています。
- 面積区画 【面積によって作る区画】
- 竪穴区画 【エレベータ、シャフト、階段室など】
- 異種用途区画 【隣接する区画が異なる場合】
があります。各防火区画には別々の区画基準があり床や壁、開口部などにも耐火性能がある仕様にする必要があります。また区画貫通後の空いた穴の処理も耐火処理することが求められます。
区画貫通後の穴の処理で空いた隙間を埋めるために耐火パテといった粘土を埋めたりすることもありますが、今回ブログで書く『フィブロック』を使用するケースが大変多くなっています。フィブロックは火を受けると自ら膨張し穴や隙間に火が入っていかないようガッチリブロックします。施工が大変に簡単である上に抜群の耐火性能があることから、あらゆる建物で使用されています。
今回使用した2種類のフィブロックと材料
使用した材料
- フィブロック : テープ状
- フィブロック : シート状
- PF管
- 石膏ボード : 9.5mm 準不燃
まずテープ状の2種類のフィブロックを使用します。しばらく車の中に眠っていた【5年くらい寝かせているヴィンテージ】ものを使用しているため少し角の繊維が溶けていたりしていますが、実験のためご勘弁願います。
PF管にテープ状のものを巻きます。ココで注意することはPF管を使用することです。似たようなものでCD管がありますが、CD管は使用してはダメです。
理由はPF管は『自己消火性』があり、CD管にはありません。CD管はコンクリート埋設工事等で使用します。
だいぶアバウトですがPF管にフィブロックをセットしたので実際に燃やしてみたいと思います。
実際に燃やしてみた
燃焼試験は弊社の屋外にあるワークステーションにて安全第一で実施しております。
フィブロックは熱吸収し膨張していきます。PF管が溶けていますが自己消火性能があるため一切燃えることがありません。フィブロックを巻いたPF感の穴はフィブロックの膨張で完全に埋まっています。これで裏側に火が入っていくことはなくなりました。
燃焼後のフィブロックです。石膏ボードとフィブロック接着面をマイナスドライバーでゴリゴリ剥がしてみましたが、石膏ボードが焦げているということはありませんでした。仕様に謳われている通り、灼熱の炎を受け膨張後、自ら開口部を塞ぎます。
燃焼後の裏側の画像を見てみると全く火が後部に回っていないことがわかります。PF管は若干溶けていますがフィブロックが完全に火をシャットアウトしていることから一切の炭化がみられません。
今まで何気なく施工現場で耐火処理をしてきましたが、実際に燃やしてみることで、防火区画の形成や、防火処理を施すことの重要性を再認識いたしました。
また、このような製品を発明する技術者の方々の凄さを思い知らされました。
フィブロックを燃やしてみた【動画】
細かい燃焼条件の設定を行わず、ただ燃やしてみた動画で大変恐縮ですが、フィブロックの凄さがわかる動画です。また、石膏ボードの耐火性能も確認できます。
まとめ
- 防火区画には耐火処理が必要
- 屋内配管は自己消火性能をもつPF管を使用する
- フィブロックを燃やすと膨張し、PF管の穴を塞ぐ
- 今回の実験では裏側は火が回っていない
- 耐火処理は非常に大切である