火災報知設備のエラーの中で最も厄介なのが断線エラーではないでしょうか。断線が出たら受信機で該当エリア表示が点滅し警報音が鳴り出します。断線してしまった場合は働かない感知器もあるのでそのまま放置してしまうのは大変危険です。
断線信号の仕組み
画像のように端末に終端抵抗を設置し火災受信機で抵抗値を監視します。
断線がおこったら、感知器回路(LC)の抵抗値を計測します。線間には終端抵抗分の抵抗値10kΩがあるはずですが、断線があると終端抵抗値がでなくなります。
火災受信機は終端抵抗の有無で断線を判別する大変シンプルな構造です。(通常現行の終端抵抗は10kΩを使用しますが、古い受信機に使用しているモノでは5kΩ、その他の数値であったりすることがあります)
通常火災感知器の回路の端末には断線を判別させるために終端抵抗や終端器と呼ばれる抵抗が設置されています【R型の感知器のような個別感知器を識別できるものにはない場合もある】。この画像はよく使用されている10kΩの抵抗です。メーカーや型式によっては違いがありますのが10kの抵抗を終端器として採用している場合が多いです。
主要4メーカーの現行終端器
- 能美防災社 10KΩ
- ホーチキ社 10KΩ
- パナソニック社 10KΩ
- ニッタン社 専用CRE【コンデンサ】
メーカーよって設計思想が異なりますので統一されていません。
火災報知設備回路には常に直流の電圧がかかっていますので、断線が起こった先には電気が供給されません。そうなると火災感知器が作動できなくなってしまいます。
断線箇所を特定するには電圧チェック
断線箇所のピンポイント特定は時間と労力を要します。なのでジャストを狙わずに断線しているであろうエリアで探していきます。エリアを特定するには片っ端から該当エリアの火災感知器の電圧をチェックしたり炙り試験でアブリだしていきます。。。感知器を取り外し端子電圧がない場所や作動しないエリアをなんとなく特定できればOKです。
ざっくりエリアが絞れたらテスターで感知間の導通を当たります。電圧がない感知器をショートさせその他の電圧がない感知器で導通の有無を探っていけば配線ルートもなんとなく分かってくると思います。
よくある断線原因
断線原因でよくあるのが配線の接続部分が折れてしまっているということです。感知器回路は1.2ミリ、0.9ミリの銅線を使用しているため被覆を剥く際に芯線まで傷をつけてしまい折れやすい状態になります。そうなってしまったら時間の経過とともに折れてしまい断線が起こってしまいます。なので一旦配線の総合盤や各感知器などの接続部を総点検してみると比較的に断線箇所が見つかるかもしれません。
ワタクシの経験談になってしまいますが、断線チェックで配線接続不良によるものはとても多かったです。
エリアがわかったら配線を引き換える
配線は天井の中に埋まっているので1箇所とは限りません。ネズミによる仕業の場合は無数に危ない箇所があるので、ある程度断線エリアを特定でき、これ以上の調査に時間がかかりそうである場合はさっさと配線を引き換えてしまったほうが合理的とワタクシは考えております。
原因がネズミによる断線は部分的に修理してもいずれまた断線が発生し、何度も何度も修理することが想定されます。参考記事:ネズミにかじられた自火報配線
中には『上に報告するのに場所の特定が必要である』とか『証拠写真が必要だから』とかなんとかで自分で決められない場合もあるかもしれません。その場合は上の指示に従ってください笑。
工事中や点検中に起こるの断線エラー
工事や点検中に全く触っていないエリアで断線エラーが出てしまうことがあります。経験がある人ならわかると思いますがその時点では真っ青になっていると思います。『あー、これでもう今日は家に帰れなくなったとか。。。』
この手のエラーは改修工事で経験を積んだ方ならわかると思いますが、まれに起こることです。正直なところ原因は全くわからず謎です。触っていないと言っても自分たち以外に機械を操作する人はいません。なので点検業者や工事担当者が真っ先に疑われてしまいます。
そういった場合の原因は
- 火災受信機の基盤が故障している
- 配線が切れかかって、ついたり離れてたりしている
のいずれかになると思います。可能であれば火災受信機の電源とバッテリーを外して再び電源を入れ直せば復旧するることがあります。
※受信機の電源操作は独自の判断でお願いします。あくまでも断線が消えることがあるという意味で書いていますのでワタクシは一切関係ありませんm(_ _)m
まとめ
- 断線は終端器という抵抗値で感知している
- 断線特定は電圧チェックや作動試験をする
- 配線の芯線に傷がつくと折れやすくなり断線の原因になる
- 工事中の断線は可能であれば電源をオフにしてみる