すこし前にとある若手消防設備士さんから『点検と工事はやっぱ工事のほうが難しいですよね??覚えることがたくさんありそうで・・・』という質問をいただきました。とても感覚的な問題なので回答が非常に難しかったですが、点検と工事について自分が思うことを完全に主観ですが書いてみたいと思います。
点検と工事について
消防点検は法令により半年に1度実施することになっています。点検項目をしっかり理解し同じ現場を何回か経験することで点検効率もよくなり、スムーズな作業になることと思います。またしっかりメンテナンスされている物件や、テナントの入れ替えがなかったり間仕切り変更で設備自体の設置内容に変更がない場合は非常にやりやすい物件といえます。きっとこういった理由で工事のほうが難しいと思ったのかな?と解釈しました。
ワタクシ管理人は修業時代は工事から入りました。当時点検部隊は人員的に間に合っていたし、たまたま工事案件が多かったという理由です。なのでまず工事に必要な消防設備士1類から7類までざっと取得し各類の施工を一通りやってきました。朝から夜までひたすら工事工事工事の毎日を過ごしてきました。設備の中でもなかでも火災報知設備が多く、物件が大きくなると非常放送、避難器具、スプリンクラーもセットなってついてきます。最終的にはこれらの設備を外注さんに頼まずすべて自前の手(後輩設備士など)でこなしていました。(当時はなんでも自分でやってみたかったから)
後輩たちも施工技術がついてきて業務が分散できるようになり点検業務もやってみました。あらゆる施工に携わって各種消防設備のエラー、メーカーによる特性、法令関係面では設置基準や試験方法を学べてきたことで点検ではほとんど迷うことがありませんでした。もし点検から先にやっていたら工事を覚えるまでにものすごく時間がかかっていたと思います。
工事をするというメリット
工事は事前審査や消防官立会検査があるが点検では無い
消防設備を施工する場合は必ず法令通りに施工する必要があります。設計をし管轄する消防署へ届出をします。消防署では書類の審査をし設計に不備があれば設備を追加したり法令通り施工をします。施工後は消防署による立会検査があります。この検査は設計通り工事されているか、また正常に設備が作動するかを確認していきます。不備があればやり直します。是正完了後ようやく検査済証が発行されます。検査があることでしっかりした法令、各設備の設置基準や施工方法を学べ同時に技術を身に付けることができます。そういうことを繰り返すことでノウハウを蓄積しあらゆることに対応できるようになります。関連記事:トラブルを楽しもう!!
対して消防点検は報告書を提出することで完了します。その後報告書通り点検が実施されているかを消防署が調べに来ることは今までありませんでした。(※各自治体により違う可能性がある)。なぜ来なかったかといいますと点検した消防設備士や消防設備点検資格者の有資格者に責任が担保されているためです。
書類上で何か不備があれば担当消防官から直接電話がかかってきます。そこで点検内容の事実確認や不備の確認をすることもあります。実際に火災や事故が起こった場合で点検内容に不備があれば点検をした有資格者に責任が問われます。また法令にもあるとおりビルオーナー、管理者も同様に責任が問われることでしょう。もし施工スキルがあり消防設備の違和感を感じとることができれば事故確立を下げることができるとワタクシは考えております。
※点検業務を専門にやられている業者様もノウハウを持った素晴らしい会社はありますので誤解のないように書いておきます。
点検時に不良個所の特定が可能
竣工からある年数が経過した防火対象物では徐々に設備が劣化し不良個所がちょいちょい出てくるようになります。水漏れや錆、湿気や雨などで原因不明の自火報誤作動やエラー表示、漏電や断線が発生します。そうなったときに工事や施工方法がわかっているとある程度当たりを付けることができます。あとは消去法でつぶしていけば原因を特定できるといった具合です。
またフルリニューアルしなくてはダメなのか、部分改修でOKかどうかを簡単に判別できます。その結果改修お見積りもスピーディに作成可能になります。
お客さんに喜んでもらえる
弊社はお客様に『見積もりが早いね』とよく言われます。誉め言葉なのか、仕事が欲しいから早く出しているのか??(笑)実際どう思われているのかは不明ですが、当然誉め言葉として受け取らせていただいております。スピードは中小零細の特権です!
でも申し上げにくいことですが、明らかなたたき台のための相見積りや、悪意あるお見積依頼は体調不良を起こしてしまうため大変遅いです。(申し訳ございません)
さいごに
ワタクシ管理人は機械工学を専攻してこともあり機械いじりが好きでした。なので消防設備士修業時代は工事、工事、工事、ひたすら工事ばかりでしたが毎日がとても充実していて本当に楽しかったです。あと一工程で作業が終わろうかという状況でも、違うやり方をしたらどのような状態になるのか、どのようなエラーが出るのかを実験したりしていました。こんなワタクシと一緒にやってくれた同僚にも今思うと本当にありがとうを言いたいです。
もし点検を先にやっていたら違った目線で発見があったのかもしれませんが、工事点検トータルで覚えるのに時間がかかっていただろうなというのが正直な感想です。機械が好きな人は消防設備は楽しいと思います。自分はこの仕事が今でも本当に好きですし、人々の人命を守るこの仕事を誇りに思い、消防の仕事に出会えて本当によかったと心から思っております。
まとめ
- 工事をやれば様々エラーやメーカーによる特性がわかる
- 工事は法令通りの設置基準で設置する
- 工事は消防署による完了検査がありダメな場合は是正することになる
- 工事は法規と技術を同時に習得できる
- 工事は楽しい!!
- 機械が好きな方は消防設備をおすすめします!!
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