Q. 消防隊の進入口前にものを置くまたは塞ぐのはまずいですよね??
A. はい、まずいですね、、、
まれにこのようなご質問をいただくことがあります。
消火活動をするため消防隊は建物内部に侵入する必要があります。そのために進入口または代替進入口部を設けることになっているのですが侵入を妨げるものがあっていは消火活動の妨げになってしまいます。なのでタイトルのつけ方がおかしいのですが障害物があってはダメです。ダメですが障害物の定義次第では障害物として該当しないということになるので今回は進入を妨げる構造について記述していきます。
進入を妨げるものとして扱うものとは
いつも参考にさせていただいている本『建築物の防火避難規定2019』を引用させていただくと
●外部から解放不能のドア
●金属製格子、手すり
●ルーバー
●窓を覆っている看板、ネオンなど
建築物の防火避難規定2019
上記が『進入を妨げる構造』として書いてあります。確かに代替開口部は進入口と違ってバルコニーのような進入するための足場がなく窓を破って入っていくわけですから容易に進入できる構造である必要があるわけです。
また進入口の構造は 『外部から解放、破壊』できればいいということになっています。簡単に破壊できる構造とありますがFIX窓で網入りでないものであればOKという解釈が一般的であると考えられています。またサインフィルムを貼ってもよいのかという質問をいただくことがあります。基本的には問題なしという場合が多いと思いますがこれも施工前相談で議事録を取っておくことをお勧めします。地域によって違いますし別途条例があったりしますので。。
第百二十六条の七
四 進入口は、外部から開放し、又は破壊して室内に進入できる構造とすること。
建築基準法第126条の7の4
代替開口部について
開口寸法には規定があります。開口経1m以上の円が内接することができるもの、幅75cm、高さ1.2m以上ものという定めがあります。消防法ではいろんな開口部寸法規定があります。例えば無窓階算定の開口部寸法や避難器具で必要な開口部の寸法など。どれも微妙に違っていて同業の消防設備士さんは覚えるのが困難かと思います。
ここでの開口寸法は若干ほかの開口部より大きめになっているのが特徴です。消防隊員がボンベなどの装備を背負って消火活動をおこなうためなのか裏は取っていませんが、、、ほかの開口部の暗記をする場合は若干大きめと覚えておくとよいでしょう。
第百二十六条の六の二
幅員四メートル以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面に窓その他の開口部(直径一メートル以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、七十五センチメートル以上及び一・二メートル以上のもので、格子その他の屋外からの進入を妨げる構造を有しないものに限る。)を当該壁面の長さ十メートル以内ごとに設けている場合
建築基準施工令第126条の6の2 代替開口部について
消防隊進入口を設けない代わりに窓や開口部を進入口として代替する開口部です。進入口を設置するには建物が小さすぎたり設計上困難な場合があるためこのような代替開口部として使用することが多くなっています。
実際現場でのおはなし
面積が小さい店舗で代替開口部が設置されています。そこには小さな可動式のカウンターが設置されています。本来であれば窓の開口寸法が取れず開口部としては不適です。しかし簡単に動かせることができる構造で施工した場合で消火活動上問題ないと消防署で判断された場合、障害物としてみなされないことがあります。このようなケースはありますが人命にかかわることなので大変危険です。必ず消防署へ相談することが必須です。。。
私たち消防設備を生業としているものからすると、できるだけ安全に運用できるようなシンプルな構造であることが望ましいと強く思っています。また別の立場に立ってみると違った状況、事情があることも事実です。最終的なジャッジをするのは消防署ですがお客様のご要望にできるだけ添えるよう尽力していきたいと強く思っています。
まとめ
- 進入を妨げるものは置いてはいけない
- 進入口外部から解放、簡単に破壊できる構造であること
- 決められた開口寸法の開口部であること