竣工直後物件へのP型1級自動火災報知設備設置|隠蔽配線で仕上げた施工実例

2024.11.10

新築竣工検査直後の物件に P型1級自動火災報知設備を 新設した工事の全工程を解説します。

今回の特徴は2点です。

・竣工検査直後のため入居者なしで施工できた  
弊社主導で理想的な隠蔽配線を実現

・エレベーターシャフト内の感知器に遠隔試験対応型煙感知器を使用
エレベーターシャフト内への立ち入りなしで点検が可能

弊社ブログをご覧いただいた方や 既存顧客のご紹介で このような施工事例のご依頼を 多くいただいております。 ぜひ最後までご覧ください。

自動火災報知システムの種類

自動火災報知システムは大きく分けて 「R型」と「P型」の2種類があります。R型は感知器にアドレス情報を持たせることができ 大規模物件で使用されます。

P型は小規模・中規模物件で 最も普及しているシステムです。 さらにP型は「P型1級」と「P型2級」に 分けることができます。

1級と2級の違いは 警戒できる回線数の上限です。P型2級は5回線以下に限定されますが、 P型1級は5回線以上の火災警戒が可能になります。

警戒区域の基本的な原則として、1警戒あたり「1フロア」「600㎡まで」「階段、エレベーターなどの竪穴はそれぞれ1警戒」となります。フロアの数がいくつもあり、階段に加えてエレベーターが設置されている建物は5警戒以上必要になることからP型2級では賄えず、P型1級を使用することになります。

工事前の下準備

今回の物件は建物竣工検査直後から施工ができるという条件でしたので、入居者は不在で完全に弊社主導で行える理想的な環境です。入居者がいる場合は 各部屋への入室タイミングや 生活への配慮が必要なため 工期が長くなりがちです。その点今回は 全フロアを自由に動けたため 施工効率が大幅に上がりました。

まず初めに 全フロアを回りながら どの場所にどの器具を設置するかを 決めて天井にプロットしていきます。感知器が設置できる場所は法令により定められているため、あらかじめ感知器の場所を確定しておき、配線ルートを探っていきます。

火災感知器は非火災報を防止するためにエアコンなどの空気の吹き出し口から1.5m以上離れている場所に設置する必要があります。また、煙感知器は壁や梁から60cm以上離隔しなければいけません。

居室の広さや間取りによっては この両方の条件を同時に満たせない ケースがあります。エアコンから離すと壁に近くなり 壁から離すとエアコンに近くなる というジレンマです。このような場合は状況にもよりますが居室の出入りする扉付近に設置することになります。

余談ですが、神奈川の某消防本部の予防課担当者より「設置できないなら壁を壊せ」と言われたことがあります。その居室の状況では壁を壊しても満足する条件で設置できるわけではありませんでした。

それにもかかわらず結構強い口調で詰められたことがあります。最終的には署内で検討し壊さなくてよいことになりました。

配線ルートの確保

弊社は埋め込み配線に命をかけているので、壁や天井内部で確認できるところはすべてチェックします。事務所や店舗と違って点検口はほとんどありませんのでダウンライトやコンセント、その他いろいろな場所をかなりの時間つかってルート探索を行います。

初めから保護モールで施工する方法もありますが、単なる作業となりがちなので隠蔽率100%を攻略するゲームのような感覚で臨んでいます。ただ、すべて隠蔽ということは難しかったりもするので、壁色に合った色付きの保護モールなどを使用することで目立たなくなり、逆にアクセントとして全く別の色を使用することで強調させることが可能です。時と場合により材料を使い分けて作業しております。

建物初見時は難しそうに感じていても実際に施工するとなんとかなってしまうことがあります。むしろ上手くいくことのほうが7割を超えているように思えます。壁と天井がすべて打ちっぱなしのような物件ではそもそも隠蔽が不可能なので金属管などの部材を使用しアクセントをつけて設置工事に挑みます。

共用部には受信機と総合盤を設置

 

自動火災報知設備の配線は親機(火災受信機)から各階の総合盤(押しボタン、ベル、ランプが収容している盤)に送られた後、各フロアの火災感知器に配線接続をしていきます。共用部には火災受信機と総合盤を設置します。総合盤は居室内部でも問題ないのですが、どうしてもランプが赤く光る関係で居室に設置すると居住性の低下に繋がります。なので共用部に設置します。

共用部の配線は階をまたぎ縦方向に上げていく必要があるので、基本的には電気配線用シャフト(EPS)を使用しています。建物によってはシャフトを設けていないことがあるので、躯体内部に打ち込んである配管や床を貫通させて縦方向に露出配線をするという方法があります。

今回は電気配線シャフトを使用して施工しました。シャフト内部は電気機器で使用するいくつもの配線があるため、自動火災報知設備で使用する弱電線とは一定の離隔を保って施工する必要があります。

「金属管」「PF管」などの配管材料を使用すれば安全に離隔させることができます。配管を使用しない「ケーブル露出工事」自体は認められている工法なので配管を使用しなくても問題はありません。

エレベーターシャフトに感知器を取り付ける

自動火災報知設備は階段やエレベーターシャフトなどの竪穴区画にも設置することが義務付けられています。エレベーターシャフトに火災感知器を設置する場合には最上部に点検用の小窓を設置することが一般的です。

しかし、既存建屋で鉄筋コンクリート物件の壁を壊し開口するとなると構造的にリスクが生じます。今回のような場合では、遠隔試験が可能な中継機を経由させ煙感知器を設置することで壁に開口を設けずに遠隔点検ができるしくみがつくれます。

1点注意が必要です。 火災受信機すべてがこの遠隔試験に対応しているわけではありません。対応受信機はメーカーによっても異なるので、あらかじめしっかり確認したうえで機器類の選定が重要になります。

配線が終わったら器具を設置する

 

感知器の取り付けは照明のラインに合わせて行えばスッキリします。また照明の器具の距離の中間に設置すればバランスもよく感知器の存在感を和らげることができます(先述しましたが感知器は設置方法が法令により決められているため法令優先となります)。

火災感知器だけでなく、誘導灯や非常照明配線も埋め込んでいきます。非常灯の場合は埋込み型と露出型がありますが、可能な限り埋込み型を使用します。露出型はそれなりにボリュームがあり存在感が出るため居住性を考えると可能な限り埋め込んだほうがスッキリします。以上で全工程が完了です。

まとめ

今回は竣工検査直後という恵まれた環境のもとほぼ全て隠蔽配線で仕上げることができました。隠蔽配線にこだわった消防設備工事のご依頼はお気軽にご相談ください。

既存の工事は配線でほとんど決まります。配線をどのようにするかは建物の調査に時間を掛ける必要があります。調査に時間を掛けた結果残念ながら隠蔽することができないということもあります。

その場合は調査工数が発生しますが、弊社は今までその調査にかなりの時間を使ってきており建物のパターンを把握しています。

費用は物件の規模・階数・配線方法によって大きく異なります。隠蔽配線を選択した場合は露出配線より工数がかかるため費用が高くなる傾向があります。
詳細はお見積りにてご確認ください。

隠蔽配線で施工したい方はお気軽にご連絡ください。

消防法施行令
消防法施行規則

この記事の監修・執筆者
株式会社タイムラン代表
株式会社タイムラン代表 / 消防設備士・電気工事士・行政書士
村串 大輔
2005年より消防設備業界に携わり、2011年に株式会社タイムランを設立。自ら現場に立ち、自動火災報知設備やスプリンクラー、避難器具など、電気系から消火系まであらゆる消防設備の施工を数多く手掛ける。
2023年4月にはタイムラン行政書士事務所を開設し、現場知識と法務の両面から防災をサポート。これまでに手掛けた消防関連の申請届出は3,000件以上。現場のことはお任せください。
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