カラオケボックス、個室ビデオに設置する消防設備
久々にカラオケに関する依頼を受けましたので記事にしてます。
カラオケボックス、個室ビデオボックスなど、個室ブースを提供するような施設に消防設備を設置する場合は少し厳し目の取り扱いをすることになります。
令別表第一 2項ニ | |||
カラオケ | 個室ビデオ | ネットカフェ | マンガ喫茶 |
この方針は平成19年に起こったカラオケボックス火災が発端となり法令が改正されたことにより始まりました。その目的は、消防設備の設置を強化することにより、人命の安全を保証することです。その目的は、消防設備の設置を強化することにより、人命の安全を保証することです。
追加された設置基準 | ||
自動火災報知設備 | 地区音響装置 | 誘導灯・誘導標識 |
・義務設置 ・再鳴動式を設置 ・煙感知器を使用する |
周囲の音に影響することなく確実に聞こえるようにする ・カットリレー ・地区ベル増設 |
・通路誘導灯を床付近に設置又は、高輝度蓄光式誘導標識を床付近に設置 ・設置には歩行距離7.5m以下になるようにする |
火災受信機について
火災受信機は「再鳴動式」である必要があります。再鳴動とは一度火災を感知し非常ベルがなった場合に、音響停止操作を行っても一定の時間を経過したら再度非常ベルが鳴るようにした仕組みです。
現行の火災受信機は全て再鳴動式になっています。旧式の火災受信機は一度音響停止措置を行うと手動で停止措置を解除しなければベルなどの警報音響を鳴動させることができなくなっています。
そのためカラオケボックス、個室ビデオボックスなどの施設では再鳴動式の火災受信機が求められます。これら以外の施設にも「特定一階段等防火対象物」にも再鳴動式の火災受信機の設置が求められています。
感知器は煙感知器を使用する
火災感知器は「熱感知器」「煙感知器」「炎感知器」があり、熱感知器と煙感知器が一般的に使用されています。感知器が火災を感知するとき、熱よりも煙のほうが素早く感知することができいち早く火災の発生を知ることができます。
カラオケや個室ビデオボックスなどでは今まで熱感知器でよかったものの煙感知器の設置が求められるように変わりました。
地区音響装置について
地区音響装置とは建物の各エリアに設置されている非常ベルや非常用スピーカーのことを呼びます。これらの装置により火災が起こっていることを知ることができ、カラオケや個室ビデオボックスなどの用途では確実に音響が聞こえることが義務付けられています。
カラオケボックスやヘッドホンを使用した個室ビデオボックスなどは用途の性質により地区音響に気がつくことが困難になることがあります。なので、確実に聞こえるようにするための仕組みが必要になります。
大きく分けて2つ方法があります。1つはカットリレーを設置する方法、2つ目は地区音響装置を増設する方法です。カットリレーは主に非常放送設備が設置されているような建物で取られる措置となっています。火災感知器が火災を感知した後、自動的に非常放送をするのですが、その時同時にカラオケ装置やAV機器の電源を遮断する装置がカットリレーです。
カットリレーが作動するとカラオケ音響やAV機器の機能が停止するので非常放送の内容がクリアに聞き取れるようになります。
そもそも非常放送設備の設置がなくカットリレーの設置がないときは、地区音響ベルを増設することで対応します。カラオケ、AV機器音響を強制的に遮断させる仕組みを構築するより、ベルを増設するほうが手軽でコストがかかりません。
ただし1つ注意することがあります。地区音響ベルは設置できる上限個数が決められています。設置可能個数は火災受信機の容量によって異なりますので、火災受信機を確認し、上限を超えてしまう場合は別途増幅機を設ける必要があります。増幅器を設けることでベル鳴動に必要な電圧不足を解消できます。
誘導灯、誘導標識について
誘導灯は通常の設計に加え廊下や通路に誘導標識又は誘導灯の設置が必要になります。誘導灯は電源工事が必要になるので高輝度蓄光式の誘導標識を設置が多く見られます。
これらの標識類は床面又は床面に近い壁に設置し、廊下及び通路の各部から誘導標識までの距離が7.5メートル以下になるようにしなければなりません。壁に設置する場合は高さが概ね床面から1m以下になるように設置します。
まとめ
カラオケ、個室ビデオボックスなどに設置する消防設備について書いてみました。自治体によって別に細かい基準が設けられていることがあるので詳細については確認が必要になります。
カラオケボックスや個室ビデオボックスのような施設における火災対策は、法令改正以降、非常に重視されてきました。再鳴動式の火災受信機、煙感知器の採用、そして確実に聞こえる非常音響、これらは全て、安全な環境を保つための重要な要素です。
加えて、施設内から屋外へ適切な誘導を可能にするために、誘導標識や誘導灯も欠かせません。各種設備の選択と設置は、時には手間やコストがかかるかもしれません。
しかし、それは施設を訪れる人々の安全を確保するための価値ある投資です。安全な施設運営のため、これらの対策を適切に実施することが求められます。