6階以上に病院、老人福祉施設、幼稚園が入居する場合は要注意【避難器具の設置について】

6階以上に病院、老人福祉施設、幼稚園が入居する場合は要注意【避難器具の設置について】

6階以上に福祉施設として入居する場合の注意点

建物使用する際、避難上の安全性を担保するために法令により避難器具を設置することになっています。避難器具は「用途」と「収容人数」の組み合わせにより設置する避難器具の種類と設置数が決まります。

避難器具の設置基準につきましては下記の記事をご参照ください。

今回は特に注意が必要な用途について書いていきます。その用途とは「病院」「老人福祉施設」「幼稚園」です。

消防法施行令別表第一
【6項】
病院
老人福祉施設
幼稚園

こちらの用途に収容する方々は自力による避難に支障があることが想定されます。なので、通常の避難器具よりもより容易に避難ができる設備である必要があります。

6階以上は「滑り台」「救助袋」「避難橋」のみ設置可能

各階に設置できる避難器具【福祉施設の場合】

6階以上 滑り台・救助袋・避難橋
4  階
5  階
滑り台・救助袋・緩降機・避難橋
3  階 滑り台・救助袋・緩降機・避難橋
2  階

滑り台・避難はしご・救助袋・
緩降機・避難橋・避難用タラップ

1  階 不要
地  下 避難はしご・避難用タラップ

福祉系施設【6項】は通常の用途よりも消防設備の設置に関し厳しい基準が設けられています。理由は前述した通り避難に支障を来すおそれがあるためです。特に6階以上の階は、あらゆる施設で使用できる「緩降機」が設置できません。

より安全に避難できる「滑り台」「救助袋」「避難橋」の使用のみ認められています。

緩降機は体に巻き付けて装着する着用具と避難用のロープを連結させた避難器具です。イメージが難しいと思われるのでよろしければ下記の記事をご参照ください。

 

福祉系施設(6項)における避難器具の設置基準

病院、老人福祉施設、幼稚園の避難器具に関する設置基準は消防法施行令第25条に記載されています。法令条文を下の表にまとめましたのでご参照ください。

建物の条件 階の収容人数 避難器具の必要個数
2階以上
又は
地階
 20人以上 1台:~100人
2台:101人~200
【100人増で1台追加】


主要構造部が耐火構造
特別避難階段・避難階段が
2系統ある場合

1台:~200人
2台:201人~400
【200人増で1台追加】

下の階に入居する用途が
【下※1】用途の場合
 10人以上
下の階に入居する用途

劇場、集会場【1項】
遊技場、カラオケ、風俗【2項】
飲食店、料理店【3項】
物品販売店舗【4項】
蒸気風呂、一般浴場【9項】・工場【12項イ】

車庫【13項イ】・倉庫【14項】
事務所など【15項】

第二十五条 
避難器具は、次に掲げる防火対象物の階(避難階及び十一階以上の階を除く。)に設置するものとする。 別表第一(六)項に掲げる防火対象物の二階以上の階又は地階で、収容人員が二十人(下階に同表(一)項から(四)項まで、(九)項、(十二)項イ、(十三)項イ、(十四)項又は(十五)項に掲げる防火対象物が存するものにあつては、十人)以上のもの

e-gov:消防法施行令25条

福祉系施設で避難器具設置を免れる方法

診療所

6階以上の階に入居する場合で避難器具の設置を免れる方法は1つだけです。収容人数を設置基準未満にする以外ありません。福祉施設の場合は収容人数の基準が原則「20人以上」は避難器具の設置が必要で、更に当該階の下階に一定の用途(前節の表最下段)が入居している場合は「10人以上」で避難器具の設置が必要です。

小規模体制のテナントであればクリアできることもあるかと思いますが、収容人数の設定については慎重に検討する必要があります。算定方法については下記リンク記事でご紹介しております。記事内の【6項】をご確認ください。

参考:避難器具の設置基準について
   横倒し式の観光機を設置してみた
   収容人数の算定方法について
   

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