基盤の故障
自動火災報知設備が頻繁に誤作動を起こし困っていると問い合わせをいただきました。誤作動にはいくつかのパターンがあるので、状況について質問をした結果火災受信機の基盤が故障しているのではないか?と当たりをつけてみました。
誤作動にはいくつかのパターンがあります。頻度や気象、作動した時間帯などのが関係しています。誤作動につきましてはブログリンクをご参照ください。
今回は基盤が怪しいと感じたかというと、単純に火災受信機の設置場所に湿気がたまりやすそうだったからです。またビルの竣工から10数年しか経過しておらずシステム的には全く問題なさそうだったので基盤が湿気で壊れたと推察しました。
受信機交換と基盤交換
火災受信機は基盤によって制御されています。基盤が壊れている場合は火災受信機を交換する方法と内部の部品である基盤を交換する方法があります。受信機の交換となると、受信機の省エネ化によりベルやランプが対応できなくなり、周辺機器まで省エネタイプに交換する必要が出てきます。対して基盤交換は現行の受信機の基盤交換なので周辺機器類を交換する必要はありません。
なら基盤交換でいいのではないか?という声が上がることでしょう。ここで一つ注意することがあります。
自動火災報知設備には日本火災報知器工業会により耐用年数が設定されており、おおよその交換時期が設けられています。この耐用年数は法的義務ではないので守らなければならないことではないのですが、基盤以外の部品の劣化もあるので、その辺りを考慮して受信機交換や基盤交換を選択する必要があります。
基盤が故障する原因についていくつかありますが、火災受信機の場合は湿気によるものがほとんどではないでしょうか。稀に雷が近くに落ちて電線を伝って受信機の基盤に回り込むこと【雷サージ】が原因で故障することも考えられます。
費用面に関して
単純に受信機交換と基盤交換費用を比較すると、基盤交換が工数が少ないので安くなります。設置後15年以上経過している場合で、設置場所の条件が悪い場合(湿気が溜まりやすい、ホコリが溜まりやすいなど)は基盤以外の部品が駄目になっていることもあるので結果受信機を交換したほうが安くなるケースがあります。
基盤交換作業開始
この画像の基盤を交換していきます。外観上特に目立った特徴はありませんがお客様からの情報を収集した結果経験上基盤以外考えられなかったのでこのまま作業を進めていきます。
今回の火災受信機はP型1級というタイプで、制御基板と表示基盤の2枚を搭載した機器です。念のため制御基板、表示基盤の両方を交換していきます。
2枚の基盤の交換を終え通電してみました。基盤によっては設定が必要なものがありますが、今回のタイプは不要だったのでそのまま各種試験を行います。結果問題なく機能していたので、時間の経過を見て誤作動が起こらなくなれば完全復旧となります。
現在工事から5ヶ月経過し1度も誤作動が起こっていないので、基盤不良でビンゴでした。
外した基盤の裏側を確認すると、結露による水滴が乾いた跡、黒く変色している箇所がいくつも確認できました。築年数が浅い物件でも火災受信機の設置場所によってはこのような劣化が起こることがあります。原因不明の誤作動が起こっている場合は基盤によるものかもしれません。
受信機の調子がおかしいと感じたら
受信機の調子が悪いと感じましたらご連絡ください。受信機交換をせずに基盤交換で対応できる場合があります。物件の状況や設置年数などを考慮して適切な改修をご提案いたします。