スプリンクラー設備の感熱開放継手を取付けてきました。感熱開放継手を使用することでダクトや物品などの散水障害を是正することができます。感熱開放継手を使用する場合は開放型のスプリンクラーヘッドを使用します。
一般的なスプリンクラーヘッドには感熱部があり、一定の温度(今回使用したものは72℃)に到達した時に内部の弁が自動的に開き消火用水を放出します。一方、開放型ヘッドは弁機構がなく、その役割を感熱開放継手で行います。
感熱開放継手を設置してみた
スプリンクラーヘッドの周辺にダクトや棚などの障害物がある場合に、うまく散水できない箇所があります。そのような場合でも、法令に適した条件を満たすためにヘッドを増やしたり、散水障害が起こらない場所に移設する必要があります。
ただ、スプリンクラー設備には配管径により設置できるヘッドの個数が決められているため、増設・移設は容易ではありません。それを簡単にしてくれるのが感熱開放継手です。
既設ヘッドを取り外しそのまま感熱開放継手を設置します。設置後感熱開放継手から枝管で新規配管をした後、エンドに開放型ヘッドを取付けます。
イメージで言うと、既存のスプリンクラーヘッドにある感熱部と弁機構をそのままの位置に残しつつ、ヘッドのみを適切な場所に移動させるというものです。
スプリンクラー配管は水を充満させて火災を警戒していますが、感熱開放継手で一旦水がストップします。感熱開放継手が熱を感知し一定以上の温度(今回72℃を使用)に到達したときに弁が開き、開放型ヘッドに水が一斉に流れ込みます。
集熱盤(防護板)と感熱開放継手
以前の基準では天井から30センチ下げる場合には集熱板を設けることとされていました。しかし集熱板を設けても集熱効果は薄く効果がないという実験結果になりました。感熱開放継手は天井付近に設置するため集熱効果があり、当継手より下部の開放型ヘッドから放水するため集熱問題の解消が図れるようになりました。
感熱開放継手を使用する際の注意点
感熱開放継手の設置には消防法施行令第32条の特例申請が必要になります。勝手に取り付けることはできないので、必ず所轄の消防署との協議を要します。
施行令32条とは簡単に言うと、管轄の消防長や消防署長が安全と判断した場合に権限により消防設備を基準の適用を緩和、除外したりすることができるといったものになります。
第三十二条
消防法施行令第32条
この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。