自動火災報知設備と非常警報の関係
自動火災報知設備と非常警報の違い、補完関係についてのご質問をいただくことがあります。消防設備には大きく分けて『警報設備』『消火設備』『避難設備』があります。自動火災報知設備と非常警報設備は警報設備にカテゴライズされています。警報設備はベルやサイレンにて火災を周知させることを目的に作られている機器であります。
自動火災報知設備と非常警報は非常に似ている設備ですが役割が違いますので2つの役割について書いていきますと、
自動火災報知設備には自動的に火災を発見することができる火災感知器が接続されます。非常警報にはありません。この事項が最大の違いになります。共通していることは、どちらにも押しボタン(発信機)があるということです。
おそらくこの違いが、混同してしまう原因なのかと考えております。また、非常警報の中でもいくつも種類がありますので、関係について理解しており必要があります。
自火報とその他警報設備は分けて考える
自動火災報知設備とその他の警報設備は分けて考えると理解しやすいかと思います。設置基準に該当する場合の法規制の序列は
非常警報(自動式サイレン)< 自火報 < 自火報+非常放送
となります、自火報が設置されている物件では自動式サイレンの機能も兼ねているため設置することに意味がなく不要となります。
・非常警報に火災感知器は設置しない
・自火報と非常警報を同時に使用する場合はベルの代わりにスピーカーを使用できる。
【共通事項】
手動で起動するための押しボタンが設置される(非常電話)
警報設備の設備器機器類
警報設備名 | 使用する機器の組み合わせ |
自動火災報知 | 火災受信機・総合盤(ベル・発信機・表示灯) 火災感知器 |
自動式サイレン | 自動式サイレン・非常ベル・表示灯 |
非常放送 | 非常放送アンプ・非常スピーカー・カットリレー アッテネーター |
よく似た自火報と非常警報の押しボタン
非常警報設備には非常ベル、自動式サイレン、非常放送があります。その中でも小規模物件に使用されるのが自動式サイレンになります。現在はサイレン式が主流となっていますが、一昔前はベル(ゴング)を使用されていました。
自動火災報知と非常警報の押しボタンは外観上非常に似ていますが、全く異なる仕組みになっています。ワタクシたちのような業者はパッと見ただけで判別することが可能ですが、そうでない方には同じように見えることでしょう。
最新式の非常警報設備(自動式サイレン)では自動火災報知で使用するものと全く同じような外観の製品があります。そのような場合は、火災受信機の有無を確認すれば簡単に判定が可能になります。
それでもよくわからないといった場合は、物件情報から設置基準を追ったり、または消防署に申請した届出書類を確認し断定することで断定できることでしょう。
非常放送設備を設置している場合
非常放送設備はある程度の大人数を収容するような大規模物件に設置することになります。なので、同時に自動火災報知の設置が義務になっていることと考えられます。そのような場合は自動火災報知設備と非常放送設備を連動させて建物を警戒することになります。
非常放送は館内の皆さまに音声で案内することができます。自動火災報知設備には、火災信号を受信したあとベルで館内に警報を発するための仕組みが備わっています。
自火報の場合は、火災信号を受信したら非常ベル(ゴング)が鳴り響きます。放送設備を使用した場合は自動音声警報により、『〇〇階の火災感知器が作動しました』といった、より具体定期な情報を在館者に届けることができます。
そのため、自火報の音響を使用するより非常放送の機能を利用したほうがより効率的で、安全に避難誘導することができるため、互いに接続し連動させ使用することが一般的になっています。
旧式の非常放送アンプ
一昔前の非常放送アンプには音声警報ではなくサイレンをスピーカーで鳴らす方法をとっていました。そのよう場合は、火災感知器が作動したら、一旦自火報の非常ベルが鳴り、状況を確認した防災センター要員が在館者へ放送機器で状況と避難誘導を行います。放送時は非常ベルの音響が強制的に停止されるようになっています。
ベル・サイレン音響の違い【動画】
まとめ
ざっくりではありますが、非常警報設備の概要についてまとめてみました。
言葉の定義が広く、さまざまなモノを指しているため混同してしまうと思います。この記事ですこしでも理解の助けになればいいなと思っております。
- <警報が鳴る設備は警報設備に該当する
- 自火報は自動式サイレンの機能を兼ねている
- 自火報の設置は面積による設置(例外あり)
- 非常警報設備は収容人員による設置
- 大規模物件は自火報+非常放送を設置
- 自火報と非常放送は連動させることにより効率的に避難誘導が可能になる