『エアゾール式消火器で簡単に消火できるのでしょうか?』『天ぷら火災は危険なので消火器は必要でしょうか?』と度々聞かれることがあります。実際の液体消火器と同じ薬剤を使用しているので『消えます』とお答えしているのですが、うまく表現することが難しいため今回の記事を書くことにしました。
一般家庭には消火器を設置する義務はありません。(※共同住宅で消防設備免除の代わりに各住戸に消火器を置いている場合を除く)。そのため家庭に設置する消火器のほとんどが自主的な設置ということになるでしょう。
消火器には『業務用』・『家庭用』があります。家庭用消火器は住宅で簡単に使用できるように設計されているため、非常にコンパクトに作られています。
家庭用は業務用と異なり使用期限5年間のメンテナンスフリーになっています(業務用は10年間という設定になっています)。家庭用消火器は『5年経過したら新しいものに交換してくださいね』という扱いになります。
家庭用消火器とは別に、『キッチンなど天ぷら火災を想定した簡易式消火器』があります。片手1本で使用できる『エアゾール式』で、非常に簡単に消火活動が可能です。消火器の補助的な目的で設置されることを想定し製品化されています。
エアゾール式消火器の特徴
- コンパクトで簡単に持ち運べる
- 指で押すだけで簡単に消火活動が可能
- 液体消火器と同様の消火性能がある
強いてマイナス点を上げるとすれば『内容量が消火器よりも少ない』くらいで、消火器の補助として使用するものであれば全く問題なく量的には十分です。家庭用の天ぷらくらいであれば十分なのではないでしょうか。。
どのような出火に対応しているか
このエアゾール消火器はでは下記の火災に使用することが可能です
- 小規模普通火災
- 天ぷら火災
- ストーブ火災
- 自動車用クッション火災
- 電気火災
などに対応しております。どの火災に対応しているかは本体の表示により確認できます。対応していない場合は✕印で示されています。
※エアゾール製品はいくつも製品化されてるため、モノによって対応していない火災がありますのでご注意ください。
キッチンの天ぷら油火災に最適
最近のコンロは温度上昇に反応するセンサーがついた製品が一般的になっています。天ぷらを揚げる際に予め温度設定をしておけば、自動的に火力を調整してくれるため大変便利であります。
しかし、古いタイプのコンロや、温度調整機能の故障などで、火をつけっぱなしにしてしまった場合、突然油が発火する可能性があります。大きな炎が出現するためパニックにならず、しっかり炎に対抗できるかが火災防止の鍵になります。
エアゾール消火器を使った対処法
- 火を止める
- エアゾール消火器を3.4メートル離れた場所から放出
- 一瞬火が燃え広がるように大きくなるが、ひるまず薬剤を放射し続ける
- 沈下するまで薬剤を放出
- 温度が下がるまで注視
消火時の注意
油に消火剤がかかるタイミングで炎が一気に広がります。薬剤が油に触れた瞬間に蒸発し油の温度が薬剤により冷却されます。次第に鎮火に向かいます。放射時炎は瞬間大きくなりますが、怯まず油に向かって薬剤を放出し続けられるかが鍵になります。
鎮火後の画像を見てみると表面に薬剤が覆っているのが確認できます。高温で発火した油に薬剤が入り冷却作用により温度を下げます。その後薬剤が油表面を覆い、酸素を遮断し窒息させます。冷却+窒息効果により鎮火する仕組みです。
エアゾール消火器を使ってみた!!
今回の実験は弊社試験センターにて実施いたしました。参考にしていただければ幸いに存じます。エアゾール消火器は1,000円程で購入できます。お守りとして備えておくという選択肢は十分にアリなのではないでしょうか。
まとめ
- 家庭用消火器のサブ的なエアゾール消火器がある
- コンパクトに持ち運べる
- 指で押すだけで簡単に消火可能
- 天ぷらなどの油火災に最適
- エアゾール消火器は1本1,000円ほど
- お守りとして購入することをおすすめいたします